動画マーケティングとは?効果・手法と成功のポイントをデータで解説

動画マーケティングとは、動画コンテンツを活用して認知拡大・理解促進・購買行動につなげるマーケティング手法です。YouTubeやSNS、動画広告、自社サイトへの埋め込みなど、複数のチャネルで映像を用いて顧客との接点をつくる施策全体を指します。

ただし、動画を制作して配信すれば成果が出るわけではありません。本記事では、動画マーケティングの基本を整理したうえで、実際の検索データ(ListeningMind・日本市場)をもとに、成果を分けるのは「制作」ではなく「テーマ設計」であることをデータで示します。

この記事でわかること

  • 動画マーケティングの定義と、動画広告との違い
  • メリット・デメリットと、代表的な6つの手法
  • 日本市場の実データが示す「動画本数を増やしても成果が出ない理由」
  • 目的設定から効果測定まで、動画マーケティングの進め方5ステップ

動画マーケティングとは

動画マーケティングとは、映像コンテンツを活用して商品やサービスの魅力を伝え、認知獲得から購買、顧客との関係構築までを行うマーケティング手法です。動画広告やテレビCMだけでなく、YouTubeチャンネル運用、SNS動画、ウェビナー、採用動画、自社サイトへの動画埋め込みなど、映像を用いた施策全体が含まれます。

動画の特徴は、視覚と聴覚の両方に訴えかけられる点にあります。テキストや静止画に比べて短時間で多くの情報を伝えられ、感情に働きかけやすいため、記憶に残りやすいという性質があります。

一方で、動画マーケティングは「動画を作ること」が目的ではありません。他のマーケティング施策と同様に、目的とKPIを定め、効果を検証しながら改善していく取り組みです。この前提を外すと、制作コストだけがかさむ結果になります。

なぜ今、動画マーケティングが注目されるのか

動画マーケティングが重要性を増している背景には、視聴環境の変化と市場の拡大があります。

スマートデバイスの普及と通信の高速化により、ユーザーは時間や場所を問わず動画を視聴できるようになりました。その結果、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームが急速に浸透しています。市場規模も拡大を続けており、サイバーエージェントの調査によれば、国内の動画広告市場は2024年に7,249億円へ成長し、2028年には1兆円を超える規模に達すると予測されています。

さらに近年は、検索結果やAIによる回答のなかにも動画が組み込まれるようになりました。動画は「広告枠で見せるもの」から、「検索やAIを通じて発見されるもの」へと役割を広げつつあります。この変化が、動画マーケティングの設計に新しい観点を求めています。

Webマーケティング全体の中での位置づけについて詳しく知りたい方は、Webマーケティングとは?手法・始め方を初心者向けに解説を参考にしてください。

動画マーケティングと動画広告の違い

動画マーケティングと動画広告は混同されやすいですが、動画広告は動画マーケティングの一部です。

動画広告と動画マーケティングの役割分担を比較した図。動画広告は認知拡大(短期)で広告枠への出稿、動画マーケティングは認知・理解・購買促進(中長期)で検索・自社サイトなど接点全体をカバーする

動画広告は、YouTube広告やSNS広告などを通じて短期間で認知を広げる施策を指します。一方の動画マーケティングは、広告に加えてYouTubeチャンネル運用、動画SEO、ウェビナー、自社サイト掲載など、動画を活用した顧客接点全体を含みます。

項目動画広告動画マーケティング
主な目的認知拡大認知・理解・購買促進
配信方法広告枠への出稿広告・SNS・検索・自社サイトなど
効果期間広告停止で終了しやすい資産として蓄積できる施策もある

両者は対立するものではなく、目的に応じて組み合わせるものです。短期の認知獲得は広告で、中長期の集客基盤は検索やチャンネル運用で、という役割分担が基本になります。

動画マーケティングのメリットとデメリット

動画マーケティングには明確な強みがある一方、無視できないコストとリスクも伴います。両方を理解したうえで着手することが重要です。

メリット

動画マーケティングの主なメリットは次の4点です。

  • 情報伝達力が高い:映像・音声・文字を組み合わせられるため、複雑な内容も短時間で直感的に伝えられます。実演やビフォーアフターなど、テキストでは表現しにくい情報も届けられます。
  • ターゲティングしやすい:YouTubeやSNSの広告配信では、年齢・地域・興味関心などの属性に基づいて配信先を絞り込めます。限られた予算でも効率的にアプローチできます。
  • 多媒体に展開できる:1本の動画を、Webサイト・SNS・広告・展示会・採用説明会など複数の場面で再利用できます。制作した動画は資産として蓄積されます。
  • 効果を数値で測定できる:再生回数、視聴維持率、離脱ポイント、コンバージョン率などを詳細に把握でき、改善のサイクルを回しやすくなります。

デメリット

一方で、次の点には注意が必要です。

  • 制作コストと工数がかかる:企画・撮影・編集・公開まで、テキスト記事に比べて必要なリソースが大きくなります。外注する場合は費用も発生します。
  • 修正が容易でない:公開後に内容を変更したい場合、テキストのような部分修正はできず、再撮影や再編集が必要になることがあります。
  • 作れば見られるわけではない:最も見落とされやすい点です。動画を公開しても、そのテーマにユーザーの需要がなければ再生も露出もされません。

この3つ目のデメリットこそが、動画マーケティングで最も多くの企業がつまずくポイントです。後半のデータ分析で詳しく見ていきます。

動画マーケティングの主な手法6つ

動画マーケティングの手法は、配信先と目的によって整理できます。すべてに取り組む必要はなく、自社の目的とターゲットに応じて選択します。

6つの動画手法を「認知〜獲得」「短期〜中長期」の2軸でマッピングした図。SNS動画や動画広告は認知寄り、YouTube運用・動画SEOは資産型、ウェビナーや採用動画は獲得寄りに位置づけられる
手法主な目的特徴
動画広告(YouTube・SNS)認知拡大短期間で広くリーチできる。出稿を止めると露出も止まる
YouTubeチャンネル運用認知・理解促進資産として蓄積される。検索・関連動画からの継続流入が見込める
SNS動画(TikTok・Instagram等)認知・拡散縦型・短尺が中心。拡散力が高い一方、寿命は短い
自社サイトへの動画埋め込み理解促進・CV向上検索結果の動画ブロックからの流入も期待できる
ウェビナー・セミナー動画リード獲得・育成BtoBで有効。検討段階の見込み顧客に深い情報を届けられる
採用動画採用・ブランディング企業文化や働く環境を伝えられる

このうち、検索結果からの流入を狙う施策は動画SEO(VSEO)と呼ばれ、動画マーケティングのなかでも中長期の資産形成に直結する領域です。

検索結果に動画を露出させる方法について詳しく知りたい方は、動画SEO(VSEO)とは?検索結果の動画ブロックをデータで解説を参考にしてください。

BtoBにおける動画マーケティングの活用

BtoB領域では、動画マーケティングは「認知拡大」よりも「理解促進」と「営業支援」で効果を発揮します。

BtoBの商品やサービスは機能や導入メリットが複雑になりやすく、文章だけでは理解に時間がかかります。また検討期間が長く、決裁までに複数の関係者が関与するため、同じ情報を繰り返し伝える必要があります。動画はこの負荷を下げる手段になります。

  • サービス紹介動画:初回接点で、何ができるサービスかを短時間で伝える
  • 導入事例インタビュー:検討段階の不安を、第三者の声で解消する
  • ウェビナー動画:見込み顧客を育成し、リードとして獲得する
  • 操作説明・画面録画動画:導入後の利用イメージを具体化する
  • 展示会後のフォロー動画:接点を持った相手に、追加情報を届ける

BtoBの場合、再生回数よりも「誰が見たか」「視聴後に商談が進んだか」が重要な指標になります。

動画マーケティングでよくある失敗

動画マーケティングの失敗は、制作の巧拙ではなく、その手前のテーマ設計で起きています。代表的な失敗は次の3つです。

  • 企業が伝えたい内容を優先してしまう:製品紹介やCMなど「言いたいこと」を動画にする一方で、ユーザーが知りたい課題解決の情報が抜け落ちる
  • 競合動画が多い領域に、同じような動画を投入する:すでに飽和した領域に参入し、露出を取れないまま制作費だけがかさむ
  • 再生回数だけを追い、検索意図を確認しない:数字は動いても、狙ったターゲットに届いているかが検証されない

動画は制作コストが高いため、需要が確認できないテーマで作ると、公開後に流入も成果も得られないまま終わります。重要なのは「何本作るか」ではなく、「ユーザーが動画で解決したい課題は何か」です。

では、その課題はどう見極めればよいのか。次章では、実際の検索データで検証します。

【データ分析】成果を分けるのは「制作」ではなく「テーマ設計」

動画マーケティングの解説記事の多くは、「どう作るか」「どこに出すか」に紙面を割きます。しかし実際の検索データを見ると、成果を分けているのはその手前、「何をテーマに動画を作るか」であることがわかります。

ここでは、ListeningMindの検索データ(日本市場)を使い、美容・健康分野で検索需要の大きい「コラーゲン」を例に分析します。

動画が求められる検索意図は、全体のごく一部

ListeningMindの検索結果分析画面。「コラーゲン」11,536キーワード中、動画ブロックが表示されるのは482件(4%)にとどまる

「コラーゲン」を起点に抽出された検索キーワードは11,536件(月平均ボリューム10以上)。このうち、実際の検索結果に動画ブロックが表示されていたキーワードは482件、全体の4%にとどまりました。

一方で、AI概要(AI Overview)が表示されるキーワードは、同じ「コラーゲン」で51%にのぼります。

この差が意味するのは、動画が有効な検索意図とそうでない検索意図がはっきり分かれているということです。動画を作れば見てもらえるわけではなく、「動画で知りたい」とユーザーが思っている領域を先に特定する必要があります。

動画本数が多い領域ほど、検索需要は小さい

さらに踏み込むと、動画マーケティングにおける最も重要な構造が見えてきます。動画ブロックに露出しているキーワード群をカテゴリー別に整理し、「投入されている動画本数」と「検索需要」を並べた結果が次の通りです。

 動画ブロックのカテゴリー別分析。動画155本の「美容マスク・パック」より、動画14本の「コラーゲン摂取」のほうが検索量が大きい逆転構造

動画本数と検索量が、見事に逆転しています。

「コラーゲン配合美容マスク・パック」には155本もの動画が投入されていますが、そこに紐づく検索量は3,628。動画1本あたりに換算すると23にすぎません。対して「コラーゲン摂取」はわずか14本の動画で47,531の検索量に露出しており、1本あたり3,395。その差は約147倍です。

なぜこうなるのか。企業は「自社が言いたいこと」(製品紹介・CM・パックの使い方)を動画にする一方で、ユーザーが動画で知りたいのは「自分の課題をどう解決するか」(どう摂取するのか、どうすれば増やせるのか)だからです。需要と供給がずれたまま、多くの企業が動画を量産しているのが実態です。

動画マーケティングで狙うべきは、動画本数が少なく検索需要が大きい領域です。

分析の考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

動画マーケティングの成功事例

前章のデータを、チャンネル単位で見てみましょう。動画マーケティングの成功と失敗が、そのまま表れています。

動画ブロックのチャンネル別分析。動画4本のこばとも先生のスキンアカデミーが総検索量77,384、動画8本の森永製菓は10,914で、本数の多さが露出量に直結していない

成功事例:動画2本で検索量48,364に露出した専門チャンネル

「やさしい内科医」は、わずか2本の動画で22キーワードの検索結果に表示され、総検索量48,364に露出しています。内容は「コラーゲンを効率的に摂取・キープする方法」の解説。ユーザーが検索している課題に、専門家として直接答える構成です。

同様に「こばとも先生のスキンアカデミー」は、4本の動画で68キーワード・総検索量77,384に露出しています。うち1本(約11分の解説動画)だけで、6キーワード・検索量47,335をカバーしています。

対照例:動画8本でも検索量10,914にとどまった大手メーカー

一方、大手メーカーである森永製菓は8本の動画を投入していますが、露出している総検索量は10,914にとどまります。動画本数は専門チャンネルの2〜4倍にもかかわらず、露出量は7分の1以下です。

内容を見ると、その多くはCM動画や商品紹介動画でした。企業が「伝えたいこと」を動画にした結果、ユーザーが検索している「知りたいこと」とずれてしまったと考えられます。

成功事例に共通する3つの条件

  • 課題解決型のテーマを選んでいる:「どう摂取するか」「どうすれば増やせるか」など、ユーザーの検索意図に直接答えている
  • 専門性が明確である:医師・専門家として、誰が話しているのかがはっきりしている
  • 本数ではなく1本の精度で勝負している:1本の動画が複数キーワードに横断露出するため、テーマが正確なら少数でも成果につながる

動画マーケティングで効いているのは、本数でも予算でも企業規模でもなく、検索意図との適合度です。 これは、リソースの限られた企業にとってむしろ好機と言えます。

動画マーケティングの進め方【5ステップ】

データが示した通り、動画マーケティングの成否は着手前の設計で大きく決まります。次の5ステップで進めます。

01
目的とKPIを定める
認知・理解促進・獲得のどれを狙うかで、手法もKPIも変わる。
02
検索の流れをたどる
パスファインダーで、ユーザーが購入前後に何を検索しているかを把握する。
03
動画で応える意図を特定する
検索結果分析で、実際に動画ブロックが表示されている意図を見極める。
04
制作し、適切なチャネルで配信する
冒頭数秒で価値を伝え、字幕・サムネイル・タイトルを最適化する。
05
効果を測定し、改善する
「どの意図を狙った動画が伸びたか」をテーマ単位で振り返る。

データが示した通り、動画マーケティングの成否は着手前の設計で大きく決まります。ここでは「コラーゲン サプリメント」(月間平均検索ボリューム12,100)を例に、ListeningMindの検索データを使った具体的な進め方を5ステップで解説します。

ステップ1:目的とKPIを定める

まず「何のために動画を使うのか」を明確にします。認知拡大なのか、理解促進なのか、リード獲得なのか。目的によって適した手法もKPIも変わります。

ListeningMindで「コラーゲン サプリメント」を分析した画面。月間平均ボリューム12,100・インテントは取引型で、コラーゲン・効果・副作用など関連トピックの検索量が一覧表示されている

「コラーゲン サプリメント」の検索意図をListeningMindで確認すると、取引型(商品を探している)に分類されます。ただし、この段階で「では商品紹介動画を作ろう」と判断するのは早計です。取引型キーワードのSERPには動画ブロックが表示されておらず、代わりにAI概要が表示されている――この事実を踏まえて、次のステップで「動画が本当に求められている意図」を探します。目的が曖昧なまま制作を始めると、そもそも動画が表示されない領域に投資してしまいます。

ステップ2:パスファインダーで検索の流れをたどる

ターゲットが何を検索し、その前後でどんな課題に向かっているかを、パスファインダーで可視化します。パスファインダーは、あるキーワードにたどり着くまで/たどり着いた後の検索経路を示す機能です。

パスファインダーで「コラーゲン サプリメント」の検索経路を可視化した画面。中心のキーワードから「効果」「いつ飲むのが効果的」「副作用」「効果ない論文」などへ検索が枝分かれしている

「コラーゲン サプリメント」で検索経路を見ると、ユーザーは購入前後で次のように検索を深めていました。

  • 効果の実感タイミングを知りたい:サプリメント → 効果 → 「いつ飲む」→「いつ飲むのが効果的」→「効果的な取り方」
  • 本当に効くのか疑っている:→「効果ない論文」「効果嘘」「意味がない」
  • 副作用が不安:→「副作用」→「ニッピコラーゲン 副作用」→「効果なし 知恵袋」

つまり「コラーゲン サプリメント」を検索する人の多くは、商品スペックではなく、「いつ・どう飲めば効くのか」「本当に効果があるのか」という不安と疑問を抱えていることがわかります。「自社が伝えたいこと(商品の良さ)」とㄱㄱ「ユーザーが知りたいこと(飲み方と効果の真偽)」は、明確にずれているのです。

ステップ3:クエリファインダーで「動画が求められる意図」を特定する

検索経路で見えた疑問のうち、どれを動画にすべきか。クエリファインダーの 検索結果分析(ディスカバリー)で、実際に動画ブロックが表示されている意図を特定します。

「コラーゲン サプリメント」の検索結果分析。484キーワード中26件(5%)に動画ブロックが表示され、摂取・効果の意図に集中している。専門家チャンネルが1本の動画で高い検索量に露出している

「コラーゲン サプリメント」で分析すると、484キーワード中、動画ブロックが 表示されたのは26キーワード(5%)。しかもその動画は「サプリメント」という 商品そのものではなく、その一つ上の「どう摂取し、どう効果を得るか」という 課題に集中していました。ステップ2でたどり着いた「いつ飲むのが効果的か」と、 まさに同じ意図です。

一方で「おすすめ」「ランキング」などの比較・購入直前の意図には、動画ブロックは ほとんど現れません。同じキーワードまわりでも、動画で狙う意図とテキスト・AIで 狙う意図は分けて設計する――それが制作前にできるようになります。

ステップ4:制作し、適切なチャネルで配信する

狙う意図が決まってはじめて制作に入ります。「コラーゲン サプリメントはいつ飲むのが効果的か」を、専門家が根拠とともに解説する――このように検索意図に直接答える構成が基本です。冒頭数秒で「この動画が何に答えるのか」を示し、字幕・サムネイル・タイトルを検索意図に合わせて最適化します。

前章の成功事例が示した通り、ここで効くのは制作本数でも予算でもなく、意図との適合度です。1本の動画が複数の関連キーワードに横断露出するため、正確なテーマ設計は少数の動画でも大きな成果につながります。

ステップ5:効果を測定し、改善する

公開後は数値で検証します。再生回数だけでなく、視聴維持率やサイト遷移を確認し、「どの検索意図を狙った動画が伸びたか」をテーマ単位で振り返ります。ListeningMindで定点的に検索結果分析を行えば、狙った意図で自社動画が動画ブロックに表示されるようになったか、競合の動画がどう増減したかも追跡でき、次のテーマ設計の精度が上がります。

顧客の購買段階ごとの施策設計について詳しく知りたい方は、ファネルマーケティングとは?TOFU・MOFU・BOFUの施策と実践ガイドを参考にしてください。

動画マーケティングのKPIと効果測定

動画マーケティングは、テレビCMなどと違い、施策の結果を細かく数値で把握できる点が強みです。目的に応じて指標を選びます。

目的主なKPI
認知拡大再生回数、リーチ数、インプレッション数
理解促進視聴維持率、平均視聴時間、再生完了率
検討促進クリック率(CTR)、サイト遷移数、チャンネル登録数
獲得コンバージョン率、問い合わせ数、資料請求数

注意したいのは、再生回数だけを追わないことです。再生回数が多くても、視聴維持率が低ければ内容がターゲットに合っていない可能性があります。また、動画単体の数値だけでなく、「どの検索意図を狙った動画が成果を出したか」というテーマ単位の検証を行うことで、次の制作判断の精度が上がります。

ListeningMindで「動画が求められるテーマ」を見つける

動画マーケティングで最も難しいのは、制作技術ではなく「何を作るか」の判断です。ListeningMindは、実際の検索データからこの判断を支えます。

クエリファインダーで対象キーワードを入力し、検索結果分析(ディスカバリー)を開くと、次のことが確認できます。

  • 動画ブロックタブ:どの検索意図クラスターに動画需要が集中しているか、どのチャンネルが少ない本数で高い露出を獲得しているか
  • AI概要タブ:AIがどの意図で回答を返し、どのコンテンツを引用しているか
  • パスファインダー:ユーザーがそのキーワードの前後をどう検索しているか(検索経路)

本記事で示した「動画ブロック4%」「動画1本あたりの検索量147倍差」「少数動画で大手を上回るチャンネル」は、すべてこの機能で確認したものです。同じ分析を、自社のキーワードでそのまま再現できます。

分析条件

本記事のデータ分析は、ListeningMindの日本市場検索データをもとにしています。

  • 対象市場:日本
  • 分析キーワード:「コラーゲン」を起点とする関連キーワード群
  • 分析対象数:11,536キーワード(月平均検索ボリューム10以上)
  • 分析観点:動画ブロックの表示状況、AI概要の表示状況、検索需要、チャンネル別の露出量

検索データを用いることで、企業側の仮説ではなく、実際にユーザーが求めているテーマを把握できます。

FAQ

Q1. 動画マーケティングとは何ですか?

動画マーケティングとは、映像コンテンツを活用して認知拡大・理解促進・購買行動につなげるマーケティング手法です。動画広告、YouTubeチャンネル運用、SNS動画、自社サイトへの埋め込み、ウェビナー、採用動画など、映像を用いた施策全体を指します。

Q2. 動画は本数を増やせば成果が出ますか?

いいえ。本記事の分析では、動画155本が投入されたカテゴリーの検索量が3,628だったのに対し、動画14本のカテゴリーは47,531でした。動画1本あたりでは約147倍の差です。成果を決めるのは本数ではなく、検索意図との適合度です。

Q3. 予算の少ない企業でも動画マーケティングで成果は出せますか?

はい。実データでは、動画2〜4本の専門チャンネルが、動画8本の大手メーカーを大きく上回る検索量に露出していました。1本の動画が複数キーワードに横断露出するため、テーマを的確に選べば少数でも高い費用対効果が期待できます。

Q4. 何から着手すればよいですか?

制作ではなく、テーマ設計から着手してください。「目的とKPIの設定 → ターゲットの検索意図の把握 → 動画で応えるテーマの設計 → 制作・配信 → 効果測定」の順序が基本です。制作から始めると、検索需要の薄い領域に投資してしまうリスクがあります。

Q5. 動画マーケティングのKPIは何を見ればよいですか?

目的によって異なります。認知拡大なら再生回数・リーチ数、理解促進なら視聴維持率・再生完了率、獲得ならコンバージョン率です。再生回数だけを追うと、内容がターゲットに合っていない場合を見逃すため注意が必要です。

まとめ|動画マーケティングは「本数」ではなく「テーマ」で決まる

動画マーケティングで成果を出すために必要なのは、動画を量産することでも、制作予算を積むことでもありません。ユーザーが「動画で知りたい」と思っているテーマを、データで見極めることです。

  • 定義:映像コンテンツを活用し、認知から購買までをつなぐ施策全体。動画広告はその一部
  • 手法:動画広告/YouTube運用/SNS動画/サイト埋め込み/ウェビナー/採用動画の6つ
  • 動画が有効な意図は限られる:動画ブロックが表示されるキーワードは全体の4%
  • 本数と需要は逆転する:動画1本あたりの検索量に最大約147倍の差があった
  • 規模より適合度:動画2本の専門チャンネルが、動画8本の大手メーカーを上回る露出を獲得
  • 進め方:目的設定 → 検索意図の把握 → テーマ設計 → 制作・配信 → 効果測定

制作から始めれば、需要の薄い領域で消耗します。テーマ設計から始めれば、少ない本数でも大きな成果につながります。この順序を逆にしないことが、動画マーケティング最大の成功要因です。

自社のキーワードで動画需要のあるテーマを特定したい方は、お問い合わせからご相談ください。

本記事の情報は2026年時点のものです。

執筆者紹介

吉岡直樹

株式会社 アセントネットワークス ソリューション事業部 シニアアナリスト 吉岡直樹

デジタル系プロダクションの設立の後、NEC(ヒアラブルデバイスUX設計)、JTB(輸出促進支援事業次席顧問)、TBS(Screenless Media Lab. テクニカルフェロー)、NHK(放送100年プロジェクト/データ分析)などへの参加を経て現職。

日本ディープラーニング協会 認定エンジニア (JDLA for ENGINEER 2022#2)、(米)PMI認定 プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP)、経営学MQT 上級 (NOMA)、データサイエンティスト協会 会員 (個人)、日本マネジメント学会 会員 (個人)。

著書:「AIアシスタントのコア・コンセプト/人工知能時代の意思決定プロセスデザイン(BNN:2017)」、「SENSE インターネットの世界は「感覚」に働きかける(日経BP:2022)」

※ NHK 放送100年「メディアが私たちをつくってきた!?」データ分析担当