消費者が「あの瞬間」に特定のブランドを思い出すのは、偶然ではありません。そこには必ず、想起を引き起こす「きっかけ」が存在します。
カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、消費者がある商品カテゴリーを想起する契機となる状況・感情・場面のことです。 バイロン・シャープ教授らが提唱したこの概念は、「どのブランドが選ばれるか」ではなく、「どのような状況でそのカテゴリーが頭に浮かぶか」に着目する点で、従来のターゲティング発想とは一線を画します。
CEPの定義・発見方法・活用戦略の全体像は以下の完全ガイドをご覧ください。
👉 カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?定義・種類・発見方法・活用戦略【完全ガイド】
この記事では、CEPが実際のブランド戦略においてどのように機能しているのかを、具体的な事例と検索データの分析を通じて解説します。
以下の3点が分かります。
- グローバルブランド(コカ・コーラ・ナイキ・スターバックスなど)が戦略的に確立してきたCEPの具体例
- ポカリスエットをはじめとする国内ブランドが、新しいCEPを積み上げることで市場を拡大したプロセス
- 検索データを活用してノンアルコールビールのCEPを実際に発見する分析の実例
カテゴリーエントリーポイント(CEP)の事例:グローバルブランドに学ぶ
CEPがどのように機能しているか、代表的なグローバルブランドの事例で確認します。
コカ・コーラのCEP:特別な瞬間から日常まで溶け込んだ飲み物
コカ・コーラは日常の様々なシーンや記念日などの特別な日に自然と思い浮かぶブランドではないでしょうか。
下記の図のようにコカ・コーラは“喉が渇いた時、気分転換に、疲れた時、買い物中に、アウトドアのお供に、食事と一緒に、スナック菓子と一緒に、ピザと一緒に、クリスマスに、ホームパーティーの時”に等、様々なシーンで真っ先に思い浮かぶ飲み物です。

このようにコカ・コーラは単なる飲み物の領域を超えて、暑い夏の日に真っ先に思い浮かぶ飲み物、喉の渇きを癒す爽快感の代表、“楽しい時間を共にするブランド”として定着しました。
ナイキのCEP:運動と目標達成の象徴

ナイキは運動を始めるモチベーションや、運動の目標を達成するためのモチベーションを提供してくれるブランドです。高品質なスポーツウェアとシューズは運動を始めようとする時に自然と思い浮かび、「Just Do It」というスローガンは、目標を達成したい消費者の挑戦する気持ちを奮い立たせます。これにより、ナイキは単なるスポーツブランドではなくそれ以上の存在となり、運動と目標達成の代表となりました。
また、ナイキはバスケットボールやサッカーなどのチームスポーツ用品も販売しており、チームスポーツを楽しむ消費者にとっても重要なブランドとして認識されています。さらに、ファッションブランドとしても強い存在感を示し、日常でのスタイリッシュなウェアとしても定着しています。
ナイキはこのような様々なシーンで、運動とコーディネートを同時に叶えるブランドとして位置づけられています。
レッドブルのCEP:エネルギーが必要な時に自然と思い浮かぶブランド
レッドブルは、消費者にエネルギーを提供する飲み物として定着しています。運動前や長時間運転時などの集中力が必要な瞬間や、残業や徹夜作業中に欠かせないエネルギー源として認識されており、今では大人だけでなく、学生達にも大事な試験の前に飲む飲み物として認識されています。また、エクストリームスポーツとの連携により、挑戦と冒険の象徴となり、レッドブルは高強度の運動やエネルギーが必要な瞬間に自然と思い出される飲み物となりました。

このようにレッドブルの公式サイト内でも色んなCEPを訴求しております。
スターバックスのCEP:コーヒー以上の、くつろげる日常の空間
スターバックスは単にコーヒーを提供するだけでなく、消費者にとって大切な生活空間として定着しました。
朝の通勤中に立ち寄り、素早くコーヒーを購入する習慣から、スターバックスが“1日の始まりを共にするパートナー”として消費者に認識され、午後には疲れを癒し、短時間の休憩を取る場所としてのイメージも確立しました。また、スターバックスのきれいで落ち着いた環境と無料Wi-Fiは、仕事の打ち合わせや勉強の場所としての役割も果たします。
このような様々なCEPを通じて、スターバックスはコーヒーブランド以上の価値を提供し、消費者の日常に深く根付きました。
appleのCEP:プレミアムライフスタイルのアイコン
appleは単なる技術製品を超え、プレミアムライフスタイルを代表するブランドとなりました。
クリエイティブな仕事をする人達にとって、appleは必須のツールとして認識され、ハイクオリティな体験を求める消費者にとっても魅力的なブランド・製品です。
iMessageやFaceTimeは日常のコミュニケーション手段として定着し、appleはデジタルコミュニケーションの中心となりました。
また、appleはライフスタイルブランドとしてプレミアム技術と革新を求める人達にも愛されており、iPadは教育現場で必須の学習ツールとして定着し、教育分野においても認識されています。
appleはこのような様々なCEPを通じて、消費者に独自のライフスタイル体験を提供し、日常生活の重要なパートナーとして定着しました。
リスニングマインドで発見するCEP:ノンアルコールビールの事例
実際にリスニングマインドを使い、ノンアルコールビールのCEPを調査した実例をご紹介します。
①クエリファインダーでCEPを把握

まずはシンプルにノンアルコールビールとセットで検索されているキーワードからCEPを把握してみます。
リスニングマインドのクエリファインダーに“ノンアルコールビール、ノンアルビールを”入力すると一緒に検索されている単語をトピックとして括ってくれます。
その結果、①運転をする時 ②ダイエット中(カロリー) ③妊娠中というノンアルコールが思い浮かぶシーンが3つ見えました。
運転をする時→ノンアルコールビール
妊娠中だけどお酒が飲みたい時→ノンアルコールビール
ダイエット中だけどお酒が飲みたい時→ノンアルコールビール
②クラスターファインダーでCEPを把握

次にクラスターファインダー機能を使ってCEPを把握してみます。
クラスターファインダーは入力したキーワードの前後に検索されているキーワードを収集し、意図別にグループ化してくれます。
“ノンアルコールビールおすすめ”を入力した結果、先ほど把握できた、運転、妊娠授乳中、ダイエット以外にもお酒が飲みたいけど健康面が気になる時や、筋トレの後にノンアルコールビールが思い出されていることが分かりました。
③クラスターファインダーで新たなCEP確立のヒントを把握

1つのクラスターとして出来上がっていなくても、前後に検索されているキーワードから新たなCEPを作り出すヒントを得ることができます。
前後に検索されているキーワードの中から“時、前、中、後”など時間と関連のあるキーワードを抽出することで、ノンアルコールビールを飲んでも良いのか気になるシチュエーション=ノンアルコールビールを思い出す状況を把握できます。
キーワードを抽出してみたところ、
前:筋トレ前、健康診断前(前日)、バリウム前日、寝る前、運動前、仕事前、運転前
中:妊娠中、授乳中、仕事中(勤務中、休憩中)、禁酒中、抗がん剤治療中、運転中、ダイエット中、入院中、療養中
後:筋トレ後、運動後、手術後、マッサージ後、ランニング後、白内障手術後、薬飲んだ後
時:痛風、風邪
等、様々なシーンが検索されていました。
この中でノンアルコールビールを飲んでも良いシーンがあれば、新たなCEPとして確立することもできます。
まとめ:ノンアルコールビールのCEP

今回、リスニングマインドで把握できたノンアルコールビールのCEPは上記のようにまとめることができます。商品カテゴリー内で共通のCEPもあれば、商品・ブランドごとに異なるCEPもあります。
検索データからCEPを発見する — ListeningMind(リスニングマインド)
リスニングマインドは、日本語3億語以上の検索データをもとに消費者のリアルな検索行動を分析できるインテントマーケティングプラットフォームです。クエリファインダー・クラスターファインダー・パスファインダーなどの機能を組み合わせることで、「どのようなシーンで自社カテゴリーが想起されているのか」を定量的に把握できます。
自社のCEPを探したい方、新たなCEPを発見したい方は、まずはデモでその分析力をご確認ください。
よくある質問:CEP事例と検索データ分析について
Q1:CEP事例はどのように自社に応用すればよいですか?
まず自社カテゴリーで「どのようなシーンで商品が想起されるか」を書き出すことから始めてください。コカ・コーラやポカリスエットの事例のように「既存のCEPを深掘りする」だけでなく「まだ確立されていない新たなCEP候補を探す」という視点が重要です。検索データを使えば、消費者が実際に検索している文脈からCEPを定量的に特定できます。
Q2:検索データ以外にCEPを発見する方法はありますか?
はい、消費者インタビュー・SNS分析・購買データ分析など複数の手法があります。ただし検索データは「消費者が能動的に情報を求めた瞬間」を捉えられるため、CEPの発見において特に精度が高い方法です。インタビューと検索データを組み合わせることで、定性・定量の両面からCEPを検証できます。
Q3:ノンアルコールビールの事例のような分析は、どのカテゴリーでも使えますか?
はい、クエリファインダーとクラスターファインダーは業種・カテゴリーを問わず活用できます。食品・飲料・コスメ・家電・サービス業など、消費者が検索行動を取るカテゴリーであれば同様の分析が可能です。カテゴリーによって検索ボリュームの規模は異なりますが、CEP発見のプロセス自体は共通です。
Q4:競合ブランドのCEPも把握できますか?
検索データからは「カテゴリー全体で消費者がどのようなシーンで検索しているか」を把握できるため、競合ブランドが獲得しているCEPのシーンも間接的に理解できます。リスニングマインドのロードビュー機能では、自社と競合の間でどのような検索語が橋渡しになっているかも確認できます。
まとめ
この記事では、カテゴリーエントリーポイント(CEP)のブランド事例と分析実例について以下のポイントを解説しました。
- コカ・コーラ・ナイキ・レッドブル・スターバックス・Apple は、複数のCEPを戦略的に獲得することでブランドの裾野を広げている
- ポカリスエット は新しいCEPを積み上げることで、カテゴリーの枠を超えたブランド想起を実現した
- 検索データを活用すれば、クエリファインダー・クラスターファインダー を使って自社のCEPを定量的に発見できる
CEPの定義・発見の5ステップ・活用戦略の全体像は、以下の完全ガイドをご参照ください。
👉 カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?定義・種類・発見方法・活用戦略【完全ガイド】
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