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「指名検索」マーケティング:検索データでブランドの成長を管理する方法

田部正樹氏の「指名検索マーケティング」に関する2つ目の記事です。
前回の記事では、なぜ検索データを成果指標として活用すべきかについてお話しました。
今回の記事では、検索データをブランド成長の過程で活用できる、より多くの方法についてお話ししたいと思います。
※今回の記事も、本の内容に基づいて書いておりますが、筆者の考えや解釈も含まれていることを予めお伝えします。

ブランドの成長は売上と関連しています。
そして、売上が最もダイレクトに反映される指標は、ブランドの検索量です。
ブランドの検索量に加えて検索データは、ターゲットを定義し、ブランドの強みを確認し、キャンペーンの効果を測定することもできます。
ブランドが成長する各段階で、検索データをどのように活用できるかを見ていきます。

ブランドはどのように成長するか (= 売上はいつ増加するか)

当たり前の話ですが、ブランドは“まだ満たされていない顧客のニーズを解決できる時”に存在意義を発揮します。
消費者が必要性を認識した時に思い浮かぶブランドは、顧客が自然と使おうとし、購入に繋がります。

しかし、立ち上げたばかりのブランドの場合、既に他のブランドが作り上げた市場で最初に思い浮かぶブランドになるのは簡単ではありません

そこで、著者は非常にニッチな市場で認識の優位性を築き、これをレバレッジとして市場を徐々に拡大する必要があると主張しています。
実際、著者はラクスルを成長させるために、ネット印刷会社ではなくチラシ印刷会社と定義し、「チラシ印刷ならラクスル」という代表的なブランドとしてポジショニングした後、事業を拡大し、急激な成長を遂げることができた実例をお持ちです。

ラクスルのCM
安くて、早くて楽というネット印刷の強みをアピールしたラクスルのCM

多くのマーケターは、このような成果を特定の分野でのTOM(Top of Mind、第一想起)という指標で評価しています。
しかし、前回の記事で述べたように、単に顧客が知っているかどうかを評価する認知度は、ブランドにとって重要な指標ではありますが、売上に直接結びつく指標ではありません。
重要なのは、知っていると同時に“今すぐ欲しいと思っている消費者の気持ちが合わさったデータであり、これはブランドの検索量という指標で確認することができます。

つまり、ブランドの売上は検索量が増加する瞬間と非常に密接な関係があります。

認知度とブランド検索量の違い

検索量とブランドを同時に成長させる4STEP

“ブランドの検索量を増やす”というのは非常に単純な原理ですが、その方法は決して簡単ではありません。
顧客のインテント(意図)に基づいて、どのような段階を経てブランドを成長させることができるでしょうか?
各段階で検索キーワードを活用する方法をご紹介します。

STEP1:顧客がブランドを選ぶ理由を見つける
この段階では、実際のロイヤルカスタマーに会うことがベストです。
顧客の深いストーリーを聞くことが必要だからです。
どれだけ小さなブランドであっても、お金を払って何度も製品を購入してくれる顧客には明確な理由があるはずです。
ロイヤルカスタマーとのインタビューを通じて、ブランドの存在理由を発見することが重要です。

【STEP1での検索データの活用法】
毎回ではありませんが、検索を通じて見逃していたブランドの存在理由(Jobs to be done)を発見することがあります。
詳しい内容は下記の記事をご確認ください。
ニューペルソナ: Jobs To Be Doneとペルソナの結合

STEP2:目標とする市場を定義する
顧客がブランドを選んだ理由を確認し、ブランドがどのような問題を解決できるのかを定義します。
定義した市場が現時点では小さくても問題ありません。
小さな市場でも確かな問題を解決し、確かなブランドの存在感を作ることが重要です。

【STEP2での検索データの活用法】
市場全体の検索量を通じて、自社が目標とする市場のニーズの規模と動向を確認することができます。

自転車の年間検索量
検索量を見ると、市場の規模と消費者の認識の違いが分かります。(出典:リスニングマインドのインテントファインダー)

STEP3:検索量を増やすためのマーケティング活動に集中する
前述のように、ブランドの検索量は今すぐ欲しい、今すぐ購入したいという気持ちに近い消費者の数が密接に反映された指標です。
テレビ、ラジオ、チラシ、TikTok、オフラインプロモーションなど様々なマーケティング活動を実施しながら、どの活動が顧客の検索量を増やす効果的なマーケティングなのかを把握します。
それをより強化して、ブランドの検索量が右肩上がりになるようにし、売上を増加させるベースを作ります。

【STEP3での検索データの活用法】
下の図の真ん中の線グラフのように、マーケティング活動による検索量の上昇トレンドを継続的に確認し、マーケティング活動とその成果を管理することができます。

インテントマーケティングのフレームワーク
ASCENTのインテントマーケティングのフレームワーク

STEP4:カテゴリーの検索量よりもブランドの検索量が高くなると目標達成
ブランドの検索量が右肩上がりになると、カテゴリーの検索量よりもブランドの検索量が多くなる時期がやってきます。

カテゴリー検索量とブランド検索量
検索ワードを時系列で見ると競合他社やカテゴリー内の検索量を把握できる。

思ったよりも、カテゴリー検索量よりもブランド検索量が多い場合があります。

100均、100円ショップよりもダイソーの検索量が圧倒的に多く、
タンブラーよりもスタバ タンブラーの検索量が多いです。

カテゴリー検索量よりブランド検索量が多い事例
(左)100円ショップ、100均よりもダイソーの検索量が多い(右)タンブラーよりもスタバタンブラーの検索量が多い

おそらく、これらのブランドも最初からこのように多くの検索はされていなかったでしょう。
市場の反応と認知を獲得するプロセスを繰り返し、数年、数十年かけてカテゴリーを代表するブランドになったのです。
このように、市場を代表する製品は共通して、カテゴリーの検索量(代わりになる製品を検索する消費者の数)と同じであったり、圧倒的に多く検索されています。

+次の目標を設定して実行する

ブランドの検索量が、カテゴリーの検索量よりも多い状況が継続的に続いたとしても満足してはいけません。
次はこれを基に更に大きな市場に進出して行かなければなりません。
1から4の段階を経て、ブランドは成長し、市場と顧客も変化しているでしょう。
再びSTEP1に戻って同じプロセスを繰り返します。
そして、ブランドの領域を継続的に拡張していきます。

市場拡大の図
STEP1~4を繰り返すことで徐々に市場を拡大できる

まとめ

今回ご紹介した4STEPのブランド成長プロセスに、皆さんがよく知っているブランドを当てはめてみると、ほとんどのブランドがこれらのプロセスを繰り返してきたことが分かると思います。
この過程で、検索データは非常に直感的でありながら、多方面で活用できるということもお伝えしました。

この記事では、主にマーケティングの成果を測定する方法について説明しましたが、検索データを見るとブランドのイメージや競合他社、知らなかった顧客の認識など、皆さんのマーケティング活動に必要な様々なインサイトを見つけることができます。

以下の記事で、検索データの様々な使い方を確認し、リスニングマインドでもインサイトを見つけてみてください。

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