アメリカで注目されるインスタントラーメン│ブルダック vs マルちゃん

アメリカでのラーメンの検索トレンド

アメリカで急浮上する「ブルダク炒め麺」、日本ブランドにとっての脅威か?

アメリカにおける「ramen(ラーメン)」関連の月間検索数は、約1,395万件。年間ではおよそ1億8,450万件にものぼり、ラーメンが現地で高い関心を集めるカテゴリであることが明らかです。

検索上位キーワードを見ると、
1位は「ramen food near me」(月間161万件)
2位は「ramen」(月間131万件/月)
と、いずれも「レストランでのラーメン」に関連する“外食系”検索が中心となっています。

このような中、3位にランクインしているのが、韓国の「Buldak ramen(ブルダック炒め麺)」です。月平均検索量は約30.1万件と、インスタントラーメンとしては異例の注目度を示しています。

ブルダクの存在感が急拡大、日本勢との差は?

「Buldak ramen(ブルダック炒め麺)」は、過去4年間にわたり安定的に検索数を伸ばしており、アメリカ市場でのブランド浸透が進んでいます。
一方、日本のインスタントラーメンブランドの中で最も検索されているのは「Maruchan ramen(マルちゃんラーメン)」。月平均検索量は約13.5万件と一定の人気を維持しているものの、ブルダクには及ばない状況です。

今回は、アメリカ市場で注目を集める韓国の「ブルダック炒め麺」と日本の「マルちゃんラーメン」を、検索データから比較し、消費者行動の違いを分析していきます。

🔍 ブルダックvsマルちゃん│検索経路の違い

パスファインダーを活用し、Buldak RamenとMaruchan Ramenの検索経路を比較したところ、検索意図・購買ルート・関心トピックに構造的な違いが見られました。

検索意図:4段階の経路の構造的違い

ステージBuldak(ブランド型)Maruchan(カテゴリー型)
1段階buldak mukbang → 好奇心喚起(挑戦コンテンツに接触)ramen food near me → 即時ニーズ(空腹起点)
2段階buldak ramen flavors / carbonara で探索healthy ramen / cup noodles calories で比較
3段階buldak ramen → ブランド指名検索→購入ramen / instant noodles → カテゴリ選択
4段階buldak mukbang、レビュー共有リピート購入・実用的満足

ブルダクは「SNS→興味→購入→共有」という流れが特徴的で、マルチャンは「空腹→比較→購入→継続」というシンプルな購買行動が見られます。

1. 消費者認識:体験型 vs 実用型

消費者の検索傾向からは、ラーメンの“見られ方”の違いが明確です。

Buldak:「体験型の商品」として認識
経路上のキーワード:buldak ramen mukbang(25,466/月)、buldak mukbang(5,066/月)、buldak carbonara review(210/月)
消費者は“挑戦”や“体験”を目的として検索しており、モッパン(食べる動画)やチャレンジ系の映像コンテンツと強く結びついた、SNS中心の購買行動が見られます。
「私もやってみたい!」という参加型のモチベーションが、購買へとつながっています。

Maruchan:「日用品」として認識
経路上のキーワード:ramen food near me(1,610,000/月)、healthy ramen(13,000/月)、ramen toppings(15,900/月)
消費者は実用的なニーズから検索しており、「今すぐどこで買える?」という即時性の高い行動が目立ちます。
「お腹が空いたから、手軽に済ませよう」という問題解決型の動機が購買につながっています。

ブランド検索量の違い:指名検索か、カテゴリー依存か

ブルダックはブランド名での検索が多く、マルチャンは「ラーメン」カテゴリー内での選択という形が多い傾向です。

比較項目BuldakMaruchan
ブランド検索数buldak ramen301,000/月maruchan ramen50,000/月
カテゴリー検索数ramen1,313,333/月ramen1,313,333/月

3. 購買チャネル:特化チャネル vs 汎用チャネル

「どこで買えると思われているか?」にもブランドの違いが表れています。

Buldak
H-Mart(アジア系専門スーパー)との結びつきが強く、「h mart las vegas」などの地名検索や「buldak ramen near me」などで検索される傾向があります。

Maruchan
WalmartやTargetなど大手量販店を想定した検索や、「ramen food near me」に代表される即時購入ニーズに支えられています。

4. 消費者関心キーワードの違い

ブルダックは「味・辛さ・チャレンジ」への関心が高く、マルちゃんは「栄養・成分・ヘルシーさ」に重きが置かれています。

トピックBuldakの関心キーワードMaruchanの関心キーワード
味・チャレンジbuldak ramen flavors – 9,300
buldak carbonara – 18,366
spicy ramen noodles – 7,600
健康・情報healthy ramen – 13,000maruchan ramen calories – 4,466cup noodles nutrition facts – 5,066

✅ 両ブランドのポジションを整理

項目Buldak RamenMaruchan Ramen
ブランドポジション体験型 Experience Brand実用型 Utility Brand
ターゲット層チャレンジ・流行志向層価格・アクセス重視層
流通チャネルアジア系スーパー・SNS拡散大手スーパー・検索広告
コンテンツ戦略食レポ・レビュー・SNSバイラル価格・成分・購入情報
マーケティングメッセージ「SNSで話題」「挑戦したくなる味」「手軽で安心の一食」「コスパ抜群」

ブランドの個性・ターゲット・販売チャネルまで、両者は明確に異なるポジションを築いています。アメリカ市場での成長戦略は、この違いをどう活かすかが鍵となります。

📝まとめ:検索ジャーニー起点のブランド戦略へ

長年、アメリカ市場におけるラーメンカテゴリでは日本ブランドが中心的な存在でした。
しかし近年では、韓国発のインスタントラーメンが「体験」や「挑戦」といった新たな価値軸を武器に急成長を遂げており、その象徴が“ブルダック炒め麺”です。

今回の検索データ分析を通じて、同じ「ラーメン」カテゴリーであっても、消費者の検索動機や購買までのプロセスはブランドごとに大きく異なることが明らかになりました。

重要なのは検索数の多寡ではなく、「なぜ検索されているのか?」「どのような経路で購買につながっているのか?」を読み解くこと。
これこそが、海外市場におけるブランド戦略設計の出発点となります。

日本ブランドがアメリカ市場で再び存在感を発揮するためには、“検索ジャーニー”を起点としたマーケティング戦略の見直しが急務です。
今こそ、現地消費者のリアルな検索行動に目を向けてみませんか?

📢 Listening Mind アメリカ版、まもなく公開!

検索行動からアメリカの消費者のリアルなインサイトを発見できるリスニングマインドのUSデータは7月末にローンチ予定です。
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