AI時代にも変わらない、ユーザーと市場を理解するための質問と、検索データとペルソナの組み合わせについて見てみましょう。
下記の動画は日本語字幕での視聴も可能です。
本記事は、DMTS2024で発表した「タイトル : AI時代、検索データで見る隠された消費者の欲望、サブタイトル : 検索データで見る消費者のニーズと欲望」セッションの一部を要約したものです。
※本記事では韓国のデータを事例として使用しております。
検索データで見る消費者のニーズと欲望
AI時代にも変わらない、ユーザーと市場を理解するための8つの重要な質問
私たちはみんな、ユーザーについて理解したいと思っています。マーケター、商品企画者など関係なく、ビジネスを行う方々は以下の質問に答えることができるべきだと思います。
これらは難しい質問ではありませんが、簡単に答えられる質問ではありません。
既存データ(CRM、FGI、ソーシャルデータ)の限界
このような質問に答えるために、多くのデータを活用します。
CRMデータ、FGI、FGDなど、私たちに馴染みのある方法でデータを収集し、分析します。
しかし、このようなデータにはジレンマがあります。
CRMデータの場合、既に自社の製品を購入した人々のデータであるため、非常に正確です。正確なデータですが、サンプル(標本)の場合が多いです。
自社の顧客数が十分であれば話は変わりますが、顧客数が100人、1000人、10000人であれば十分でしょうか?全国規模のブランドを育てるとなると、十分ではない数と見なされるでしょう。
では、母数を広げるにはどうすれば良いでしょうか?
母数を広げたデータには歪みと偏りが生じます。
そのため、私たちが普段から興味を持って見ているものの、偏りがあるデータの1つが「ソーシャルメディアのバズデータ」です。
ソーシャルデータはテキストとハッシュタグを分析するため、本当の欲望が見えず、隠れていることがよくあります。
ソーシャルデータは感情や感想、リアクションを含んでいます。
そのため、人々が感じるものの一部だけが見えるのです。ユーザーの実際の欲望、要望、悩みは、表面下に隠れています。
では、このような欲求や悩みを知ることができるデータは何でしょうか? それはまさに検索データです。
偏りのない全数データ、検索データ
検索データを見ると、5300万人の韓国の国民が悩んでいることを覗き見ることができます。
検索データには偏りがなく、正直な悩みが含まれています。検索ワードにはユーザーの様々な心理状態、欲求、悩みに関するストーリーが詰まっています。このように正直な検索データは以下のように活用できます。
検索データ分析の活用
- 消費者の興味を把握し、行動予測や市場変化に対応する戦略の策定に活用
- 顧客データをベースにした共感性の高い広告や、コンテンツクリエイティブの開発に活用
- 新製品開発に不可欠なターゲット顧客の発掘と精密なペルソナ構築に活用
- 多様なマーケティングキャンペーンの効果測定と認知度の測定に活用
- 成果が期待されるデジタルマーケティングキャンペーン用メディアプランニングの企画と編成に活用
検索データから見つけ出すニューペルソナ
通常、ペルソナには年齢、ライフスタイル、主に使用するメディア、好きなブランドなどを記載します。
ペルソナを作成する際に最も重要視しないといけないのは、ユーザーが抱えている悩みや何を求めているのか、つまり目的を明確に定義することです。しかし、このペルソナを作成する際にはFGI、FGDなどのアンケート調査を通じてユーザーを定義します。
こうして定義されたペルソナは、標本の限界により過度に単純化されたり、事実のない推測に基づいたりし、顧客のニーズに対する理解も表面的になります。
結局のところ、実際の消費者の動機とニーズを把握することは難しいです。
検索データとJTBDの結合
このようなペルソナの限界を克服するための努力は継続的に行われてきました。
JTBD (Jobs to be done)の定義は、顧客は自分の問題や悩みを解決するために製品やサービスを購入するということです。
ニューペルソナは、既存のペルソナをJTBDで克服しつつ、消費者の検索ジャーニーを基に定義されました。
ニューペルソナの事例1 : 絵を購入したい40代~50代の女性
下記のクラスタービューは、絵の購入を目的とする、検索経路が同じ人々をまとめたものです。このように同じ意図で検索する人々をグループ化することで、インテリアフレームを購入しようとするグループが存在することがわかりました。
- ユーザーの状況: 40~50代の女性、新居(アパート)への引っ越しか、住宅をリフォームしたい
- ユーザーの目標:新居のリビングの壁と玄関の壁をおしゃれにしたい
- 主なタスク:新居のインテリアアイデアとして、適した絵を購入することを決心
ニューペルソナ事例2:ミスカルを探すユーザー
ミスカルに関する様々な検索経路の中で、特に注目すべき2つは、ミスカルでの体重増加とダイエットでした。
ユーザーが解決しようとしている問題を基に、以下のようなニューペルソナを定義できます。
- ユーザーの状況: 20〜30代の男性、定期的に運動をしており、より良い効果を得るためにプロテイン、食事について悩み中
- ユーザーの目標:栄養成分と三大栄養素のバランスを考慮した食事を並行して、バルクアップを目指す
- 主なタスク: 定期的な運動と健康的な食事によって体重増加(バルクアップ)を達成するために、栄養価が高く、簡単に摂取できるミスカルの購入を決定
このようにペルソナを再定義することで、ユーザーの問題とニーズが反映され、実際に活用できるようになります。
今日はAI時代にも変わらない、ユーザーと市場を理解するための質問、既存のビッグデータの限界、検索データとペルソナを組み合わせたニューペルソナについて紹介しました。
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