SWOT分析とは?やり方・具体例・テンプレートを解説

SWOT分析とは?やり方・具体例・テンプレートを解説のサムネール

「自社の強みを活かした戦略を立てたいが、何が強みなのか整理できていない」「事業環境の変化にどう対応すべきかの判断基準がない」——戦略策定の場面でこうした壁に直面するケースは少なくありません。

SWOT分析とは、Strengths(強み)・Weaknesses(弱み)・Opportunities(機会)・Threats(脅威)の4つの視点から自社の内部環境と外部環境を整理し、戦略の方向性を導き出すフレームワークです。

この記事では、以下のポイントを解説します。

  • SWOT分析の基本的な意味と4つの要素
  • クロスSWOT分析を使った戦略の導出方法
  • 実際のビジネスでの具体例と注意点

SWOT分析とは?4つの要素の意味

SWOT分析とは、自社の内部環境を「強み(S)」「弱み(W)」で、外部環境を「機会(O)」「脅威(T)」で整理し、4象限のマトリクスに分類する戦略分析フレームワークです。

SWOT分析は1960〜70年代にスタンフォード研究所のアルバート・ハンフリー氏らの研究を起源として体系化されました。シンプルな構造でありながら汎用性が高く、経営戦略、マーケティング戦略、新規事業の検討など幅広い場面で活用されています。

内部環境の分析

内部環境とは、自社がコントロールできる要素のことです。4P分析(Product・Price・Place・Promotion)や4C分析(Customer Value・Cost・Convenience・Communication)を活用することで、自社の提供価値や市場へのアプローチを多面的に整理しやすくなります。

  • Strengths(強み):自社が競合に対して優位に立てるリソースや能力。技術力、ブランド認知度、顧客基盤、独自のノウハウなど
  • Weaknesses(弱み):自社が競合に対して劣位にある点。人材不足、資金力の限界、ブランド認知度の低さなど

👉4P分析(Product・Price・Place・Promotion)の詳細は、
「マーケティングの4p分析とは?意味・活用法・4Cとの違いを解説」で解説しています。

外部環境の分析

外部環境とは、自社ではコントロールできない市場や社会の変化のことです。PEST分析(Political・Economic・Social・Technological)でマクロ環境を、ファイブフォース分析(競合・新規参入・代替品・買い手・売り手)でミクロ環境を整理することで、機会と脅威をより体系的に把握できます。

  • Opportunities(機会):自社にとって有利に働く外部環境の変化。市場の成長、規制緩和、技術革新、顧客ニーズの変化など
  • Threats(脅威):自社にとって不利に働く外部環境の変化。新規参入、代替品の台頭、法規制の強化、景気悪化など
区分プラス要因マイナス要因主な分析手法
内部環境Strengths(強み)Weaknesses(弱み)4P分析・4C分析
外部環境Opportunities(機会)Threats(脅威)PEST分析・ファイブフォース分析

SWOT分析のやり方:5ステップ

SWOT分析のやり方は、「目的設定→情報収集→4要素の洗い出し→クロスSWOT分析→戦略オプションの導出」の5ステップで進めます。

ステップ1:分析の目的を設定する

「新規市場への参入可否を判断する」「既存事業の成長戦略を見直す」など、SWOT分析で何を明らかにしたいかを先に定義します。

【ヒント】分析の目的を設定する際は、市場の関心がどの方向に変化しているのかを確認しておくと、論点を絞りやすくなります。リスニングマインドのジャーニーファインダーであれば、消費者の関心がどのような流れで変化しているのかを把握しやすくなるため、「どのニーズの変化を見たいのか」「どの市場機会や脅威を明らかにしたいのか」といった分析の目的を整理しやすくなります。<ジャーニーファインダーの機能紹介>

ステップ2:情報を収集する

3C分析やPEST分析の結果、業界レポート、顧客の声、検索データなどから情報を集めます。外部環境の情報はマクロ環境(政治・経済・社会・技術)とミクロ環境(競合・顧客・業界動向)の両面から収集しましょう。

ビタミンCに関する検索を、サプリ・食品・美容・健康効果などのテーマ別にクラスタ化したキーワードマップ

【ヒント】情報収集の段階では、個別のキーワードを見るだけでなく、市場の中でどのような関心テーマやニーズのまとまりが存在しているのかを広く把握することが重要です。リスニングマインドのクラスターファインダーであれば、検索データをもとに消費者の関心クラスターや関連テーマを整理できるため、顧客ニーズや競争環境の理解に必要な情報を収集しやすくなります。<クラスターファインダーの機能紹介>

ステップ3:4要素を洗い出す

収集した情報をS・W・O・Tの4象限に分類します。各象限に5〜10項目程度リストアップするのが目安です。重要なのは「事実」を記載すること。「たぶん強みだと思う」のような主観的な項目は、データで裏付けてから記載しましょう。

ビタミンB6を起点に、基礎知識(他ビタミン・効果)からバナナなど具体的食品・摂取行動へと広がる検索導線を示したキーワード遷移図

【ヒント】消費者が「どの企業を比較検討するのか」という行動から、業界内での競争構造や自社の相対的なポジションを理解できます。リスニングマインドのロードビュー機能は、特定のブランド名同士の間にある語彙を特定し、消費者がどのように競合比較をしているのかを可視化することで、強み・弱みの特定をより客観的に進めることができます。<ロードビューの機能紹介>

ステップ4:クロスSWOT分析で戦略を導出する

4要素を掛け合わせて、4つの戦略オプションを導き出します。

  • S×O(強み×機会): 積極攻勢戦略。強みを活かして機会を最大限に取り込む
  • S×T(強み×脅威): 差別化戦略。強みを活かして脅威を回避・軽減する
  • W×O(弱み×機会): 弱点強化戦略。弱みを克服して機会を捉える
  • W×T(弱み×脅威): 防衛・撤退戦略。弱みと脅威が重なるリスクを最小化する
dhcビタミンCを起点に、効果・口コミ・飲み方から「効果ない・危険性」や他ブランド比較へと分岐する検索行動の流れを示したキーワード遷移図

【ヒント】自社の相対的なポジションと競合の戦略がどのように変化しているのかを理解することで、より実現性の高い戦略を導き出せます。リスニングマインドのロードビュー機能では、複数のブランド名同士の間にある語彙を特定し、消費者がどのように競合比較をしているのかを可視化することで、4つの戦略オプションの優先順位をより客観的に決定することができます。<ロードビューの機能紹介>

ステップ5:優先順位をつけて実行する

4つの戦略オプションに優先順位をつけます。一般的にはS×O(積極攻勢)を最優先とし、W×T(防衛)は緊急度が高い場合に対応します。

ビタミンB6に関する検索を、過去(摂取量・不足・副作用・食べ物など基礎情報中心)と現在(バナナ・食品・栄養など具体的な食材関心中心)で比較したキーワード分布図

【ヒント】選択した戦略の方向性が市場で実際にどのように認知されているか、機会や脅威がどのように変化しているかを検索トレンドで確認できます。リスニングマインドの過去比較機能では、現在と過去(3ヶ月〜12ヶ月)の検索トレンドを比較し、SWOT分析に基づく戦略が市場の変化に適応しているかを継続的に検証することができます。<過去比較機能の紹介>


SWOT分析の具体例:DHCビタミン商品群のケース

SWOT分析の具体例として、今回はビタミン市場の中で DHC のビタミン商品群をどのように捉えられるかを見ていきます。

強み(S)弱み(W)
ブランドの認知が高い
:ビタミン関連トピックの中で DHC トピックの月間検索量が 47,323 と大きく、ブランド単位で独立した関心が形成されている。 DHC内でも一部商品への関心集中が見られる
カテゴリ全体では埋もれやすい
:一般カテゴリである ビタミンC サプリ は 33,100 とさらに大きく、ブランド検索よりカテゴリ検索のほうが市場規模が大きい。
DHC内でも一部商品への関心集中が見られる
:DHC ビタミンC の月間検索量は 8,100 と高い一方で、DHC ビタミン は 1,000 水準にとどまり、ブランド全体より特定商品への依存がうかがえる。
複数のビタミン商品群で一定の需要がある
:ビタミンC だけでなく、ビタミンD、ビタミンB、マルチビタミンにも検索需要が分散しており、商品群としての広がりが確認できる
主力商品の指名検索が強い
:DHC ビタミンC が 8,100、DHC ビタミンD が 2,900、DHC ビタミンB が 2,566 と、成分別でも複数の商品が検索されている。
価格訴求だけでは差別化が難しい
:主要キーワードの広告競争度が 95〜100 と非常に高く、競争が激しいため、低価格だけでは優位性を保ちにくい。
機会(O)脅威(T)
ビタミン市場全体の需要が大きい
:一般カテゴリである ビタミンC サプリ は 33,100 と大きく、カテゴリ全体として安定した需要が存在する。
競合ブランドとの比較が起こりやすい
:ネイチャーメイド ビタミンC や iHerb ビタミン といった他ブランド系キーワードも一定の検索需要があり、比較検討が起きやすい市場と考えられる。
マルチビタミンや他成分への拡張余地がある
:マルチビタミン サプリ は 8,100 の検索量があり、DHC ビタミンC 以外の関連カテゴリにも十分な需要が見られる。
既存需要を起点にライン拡張がしやすい
:DHC トピックの中で ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB、マルチビタミン など複数の関心軸が確認でき、クロスセルや関連提案の余地がある。
既存需要を起点にライン拡張がしやすい
:DHC トピックの中でも ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB、マルチビタミン など複数の関心軸が確認でき、クロスセルや関連提案の余地がある。
特定商品の需要鈍化リスクがある
:DHC ビタミンC の増減率は -18%、DHC ビタミン は -23% と低下傾向も見られ、主力商品の勢いが弱まる可能性がある。

クロスSWOT分析の結果

  • S×O:DHCブランドの認知×ビタミン市場全体の需要拡大
    → DHC ビタミンC など既存の指名需要を起点に、マルチビタミンや他成分の商品群にも関心を広げ、シリーズ全体の購入機会を拡大する。
  • S×T:ブランド認知×カテゴリ競争の激化
    → 価格訴求だけに依存するのではなく、継続しやすさや定番ブランドとしての安心感を打ち出し、競争の激しい市場の中でも価格以外の価値で差別化する。
  • W×O:関心の一部商品集中×周辺カテゴリへの拡張余地
    → ビタミンCに集中している検索需要を入り口として、ビタミンD、ビタミンB、マルチビタミンなど関連商品への回遊を促し、ブランド全体で選ばれる導線を強化する。
  • W×T:カテゴリ検索の大きさ×競合ブランドとの比較激化
    → 指名検索だけに依存せず、ビタミンCサプリやマルチビタミンサプリといった一般カテゴリ検索でも露出を強化し、比較検討の段階から選択肢に入る状態をつくる。

SWOT分析の注意点と限界

SWOT分析で陥りやすい失敗は、「主観で項目を埋めてしまう」「SWOTの分類が曖昧になる」「分析で終わり戦略に落とし込まない」の3つです。

強みと弱みの判断は客観的なデータに基づくこと、外部環境と内部環境を混同しないこと、必ずクロスSWOT分析で戦略オプションを導出してアクションに落とし込むことが重要です。

SWOT分析のテンプレート

以下のマトリクスをそのままコピーして、自社分析にお使いいただけます。

swotのテンプレート

各象限には5〜10項目を目安に記入します。「たぶんそうだと思う」という主観的な判断ではなく、検索データや市場レポートなど客観的な根拠とセットで記載することで、その後のクロスSWOT分析の精度が高まります。


SWOT分析の外部環境理解を深める — Listening Mind(リスニングマインド)

Listening Mind(リスニングマインド)とは、日本語3億語・英語10億語・韓国語2億語の消費者検索行動データを基盤に、SWOT分析の「機会」と「脅威」を検索データから定量的に裏付けるSaaSプラットフォームです。

観点従来のSWOT分析Listening Mindを活用したSWOT分析
機会の特定業界レポート・推測検索トレンドの増加から定量的に特定
脅威の検知競合の動向観察競合ブランドへの検索流出から早期検知
顧客ニーズアンケート(記憶ベース)検索行動データ(行動ベース)

Listening Mindの実際の画面と分析デモを確認したい方へ
SWOT分析の外部環境を検索データで裏付ける方法を、実際のデモ画面で確認できます。


よくある質問(FAQ)

Q1. SWOT分析とは何ですか?

SWOT分析とは、Strengths(強み)・Weaknesses(弱み)・Opportunities(機会)・Threats(脅威)の4視点で内部環境と外部環境を整理し、戦略の方向性を導き出すフレームワークです。

Q2. SWOT分析と3C分析の違いは?

3C分析は「市場環境の整理」が目的で、SWOT分析は「戦略オプションの導出」が目的です。3C分析の結果をSWOT分析のインプットとして活用するのが一般的です。

Q3. クロスSWOT分析とは?

クロスSWOT分析とは、S・W・O・Tの4要素を掛け合わせて「S×O(積極攻勢)」「S×T(差別化)」「W×O(弱点強化)」「W×T(防衛)」の4つの戦略オプションを導出する手法です。

Q4. SWOT分析はどのくらいの頻度で行うべきですか?

年1回の定期見直しに加え、大きな環境変化(競合の参入、法改正、技術革新等)があった際に臨時で実施することを推奨します。

Q5. SWOT分析の「強み」と「機会」の区別がつかないときは?

内部要因(自社でコントロールできるもの)は強み・弱み、外部要因(自社ではコントロールできないもの)は機会・脅威に分類します。


まとめ

  • SWOT分析とは、強み・弱み・機会・脅威の4視点で環境を整理するフレームワークである
  • 内部環境(S・W)と外部環境(O・T)を明確に区別して分析することが重要である
  • クロスSWOT分析で4要素を掛け合わせ、4つの戦略オプションを導出する
  • 主観ではなくデータに基づいて項目を洗い出し、必ず戦略とアクションに落とし込む
  • 検索行動データを活用することで、機会と脅威の定量的な裏付けが可能になる

本記事の情報は2026年時点のものです。

執筆者紹介

吉岡直樹

株式会社 アセントネットワークス ソリューション事業部 シニアアナリスト 吉岡直樹

デジタル系プロダクションの設立の後、NEC(ヒアラブルデバイスUX設計)、JTB(輸出促進支援事業次席顧問)、TBS(Screenless Media Lab. テクニカルフェロー)、NHK(放送100年プロジェクト/データ分析)などへの参加を経て現職。

日本ディープラーニング協会 認定エンジニア (JDLA for ENGINEER 2022#2)、(米)PMI認定 プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP)、経営学MQT 上級 (NOMA)、データサイエンティスト協会 会員 (個人)、日本マネジメント学会 会員 (個人)。

著書:「AIアシスタントのコア・コンセプト/人工知能時代の意思決定プロセスデザイン(BNN:2017)」、「SENSE インターネットの世界は「感覚」に働きかける(日経BP:2022)」

※ NHK 放送100年「メディアが私たちをつくってきた!?」データ分析担当