「先月からオーガニック流入が減っているんですが、AIモードの影響でしょうか?」
現場でこうした質問が増えています。Search Consoleを開くたびにCTRの低下が気になり、「SEO対策は続けているのに、なぜ?」と感じているマーケターも少なくないはずです。
しかし、本当に必要な問いは別にあります。
「流入が減った原因は何か」ではなく、「検索の構造が変わった今、何をどの順番でやるべきか」——この問いに答えられなければ、対策を打っても手応えが得られません。
Google経由のサイト訪問数が日本でも過去2年間で約3割減少したという報告があります(業界調査、2025年)。この背景にあるのが、GoogleのAI検索機能の本格普及です。
この記事では、以下の3点を体系的に解説します。
- AI Overview(AIによる概要)・AIモードの仕組みとSEO・広告・マーケティング戦略への具体的な影響
- SEO・GEO・LLMOの違いと、今すぐ着手すべき対策の優先順位
- 検索行動データを活用して、AI時代の変化を先読みする方法
「AIモードという言葉は聞いたことがあるが、自社への影響がまだよくわからない」という方にも、「すでに対策を始めているが整理したい」という方にも、実務に直結する内容をお届けします。
AIモード・AI Overviewとは:3つの機能と仕組み
AIモードおよびAI Overview(AIによる概要)は、GoogleのAI技術を検索結果に統合した機能群であり、その導入以降、ユーザーの検索行動とサイトへの流入構造を根本から変えています。

GoogleのAI検索機能とは、生成AI技術を検索結果に組み込み、ユーザーの質問に対して直接的な回答を生成・表示する機能の総称です。従来の「10件のリンクを並べる検索」から「AIが答えを作って表示する検索」へ、検索の形そのものが変わりつつあります。
押さえるべき機能は、以下の3つです。
① AI Overview(AIによる概要)とは
AI Overviewとは、Google検索結果の最上部に表示される、AIが自動生成した情報要約のことです。日本では「AIによる概要」とも呼ばれ、複数のWebページから情報を抽出し、ユーザーの質問への回答を1つのボックスにまとめて提示することで、情報探索を効率化します。
2024年8月に日本でも一般公開され、特に「〜とは」「〜のやり方」「〜の比較」といった情報探索型クエリで表示率が高くなっています。なお、AI Overviewは設定からの非表示が基本的にできない仕様となっています。ユーザーがこの要約だけで疑問を解決してしまうため、その下に表示されるWebサイトへのクリック率が低下する「ゼロクリック問題」が起きています。
② AIモードとは
AIモードとは、2025年9月より日本でも提供が開始された、対話型のAI検索画面のことです。ChatGPTのようなチャット形式で、ユーザーが追加質問を重ねながら情報を掘り下げられる設計になっており、検索行動そのものを会話型に変えています。
従来の検索が「キーワードを入力→リンク一覧を見る」という一方向のやりとりだったのに対し、AIモードは「質問→回答→追加質問→回答」というループ構造を持ちます。これにより、ユーザーが同じテーマで複数の関連語を順番に検索していく行動パターンが生まれています。
③ 多角的視点の自動提示とは
多角的視点の自動提示とは、1つの検索キーワードに対して、メリット・デメリット・評判・注意点など、複数の観点からの情報をAIが自動で抽出・表示する機能のことです。ユーザーが一度の検索でバランスのとれた情報を得られるようにすることで、情報探索の効率を高めています。
この機能により、「〜 メリット」と検索した場合でもデメリットが自動表示されるようになりました。単一の視点だけを扱うコンテンツは、AIに選ばれにくくなっています。
AIモード・AI Overviewが市場に与える3大影響
AIモード・AI Overviewの普及は、オーガニック流入の減少・検索インテントの複雑化・ブランド信頼の重要性増大という3つの構造的変化をもたらしており、従来のSEO施策だけでは対応しきれない状況になっています。

AIモードとAI Overviewの登場は、「便利になった」という話にとどまりません。マーケターや広告担当者、経営者にとって、ビジネスの前提を揺るがす3つの変化が同時進行しています。
影響① オーガニック流入の構造的な減少
Google経由のサイト訪問数が、日本でも過去2年間で約3割減少したという報告があります(業界調査、2025年)。AI Overviewが検索結果の上部を占めることで、ユーザーはリンクをクリックせずに疑問を解決できるようになりました。
特に「〜とは」「〜の方法」「〜の違い」といったKnowクエリ(情報を知りたいクエリ)では、AI生成の要約で満足してしまう割合が高く、CTR(クリック率)の低下が顕著です。「検索1位を獲得しているのにアクセスが増えない」というパラドックスが、多くのサイトで起きています。
影響② 検索インテントの複雑化
AIが複数の視点を同時に提示することで、ユーザーの情報探索パターンが変化しています。一度の検索で満足せず、「もっと詳しく」「別の観点は?」とAIに追加質問を繰り返す行動が増えているためです。
ListeningMind JPのクラスター分析では、「ビタミンC」という一つのキーワードに対する検索コミュニティ(意図グループ)数が、1年前の21から現在は166以上へと約8倍に急増しています。「サプリで摂取したい」「食べ物から摂りたい」「美容目的で知りたい」「子供の摂取量が心配」など、同一キーワードでも全く異なる意図を持つユーザーが急増しており、検索インテントの複雑化がこの数値に表れています。(出典:ListeningMind JP、2026年4月)
単一キーワードへの集中投資ではなく、関連キーワードを複数カバーするコンテンツ設計が求められています。

【ヒント】ListeningMindのパスファインダーでは、あるキーワードを起点にユーザーが次にどの語へ移行するかを経路データで確認できます。AIモード普及後に検索経路がどう変化したかを把握することで、対策すべきキーワードと優先順位が明確になります。<パスファインダーの機能紹介>
影響③ ブランド信頼と情報の権威性が差別化要因に
AIは複数のサイトから情報を混合して要約するため、個別コンテンツの差別化が難しくなります。そこで重要になるのが「このサイト・このブランドの情報なら信頼できる」という認知です。
著者の専門性・実績・一次情報の有無といった「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」が、AI時代の新しい競争軸になっています。情報の内容が同じであっても、誰が・どのような根拠で書いたかによってAIの引用可否が変わります。
SEO・GEO・LLMOの違いと相互関係
SEO・GEO・LLMOは競合する概念ではなく、SEOを土台にGEOとLLMOを上乗せする階層構造で理解することが正確であり、3つを統合的に進めることが現時点での最適解です。
「LLMOとGEOって何が違うの?」「SEOはもう古いの?」——ListeningMind JPの検索経路データでは、「llmo aio 違い」「geo llmo seo 違い」といった混同を示す検索が多数確認されました。ここで3つの概念を整理します。
SEOとは(定義の再確認)
SEOとは、Search Engine Optimizationの略であり、GoogleなどのWebサーチエンジンで自社サイトを上位表示させるための最適化施策の総称です。良質なコンテンツ・適切な内部構造・被リンクの獲得などを通じて、検索エンジンのアルゴリズムに評価されることを目的とします。
AI時代においてもSEOは有効です。AI Overviewが引用するコンテンツの大部分は、検索結果1ページ目(上位10サイト)から抽出されているためです。「SEOの上位化」と「AIへの引用」は、今のところ強い相関関係にあります。
GEOとは
GEOとは、Generative Engine Optimizationの略であり、ChatGPTやGoogleのAI Overviewなどの生成AIエンジンに自社コンテンツを引用・回答させるための最適化手法のことです。GEOを実践することで、AI検索が普及した環境下でも自社の情報をユーザーに届けられるようになります。
GEOの概念は、Aggarwal et al.(Princeton大学・Georgia Tech、2023年)の研究論文で初めて定式化されました。同研究では、引用確率を高めるための施策として「情報の簡潔な構造化」「統計データや固有名詞の明示」「信頼できる外部サイトからの引用」が有効であると示されています。
具体的な施策としては、H1〜H3の明確な階層設計、箇条書きによる情報の整理、構造化データ(schema.org)の実装、定義文の簡潔な記述などが挙げられます。
LLMOとは
LLMOとは、Large Language Model Optimizationの略であり、ChatGPT・Claude・GeminiなどのLLM(大規模言語モデル)ベースのAIに自社情報を正しく認識・回答させるための最適化手法のことです。LLMOに取り組むことで、AIチャットボット経由での自社ブランドへの認知と信頼を高められます。
SEOがGoogleのクローラー向けの施策であるのに対し、LLMOはAIモデルのトレーニングデータやリアルタイム検索への最適化を指します。ブランドの正確な情報を公式サイトやWikipedia・業界メディア等に掲載し、AIが参照しやすい状態を整えることが基本です。
3つの違いと関係:比較表
| 比較軸 | SEO | GEO | LLMO |
|---|---|---|---|
| 対象エンジン | Googleなどの検索エンジン | AI Overview・生成AI検索 | ChatGPT・Claude・Geminiなど |
| 主な目的 | 検索上位表示・流入獲得 | AIへの引用・回答獲得 | AIの知識ベースへの情報登録 |
| 主な施策 | 内部対策・被リンク・コンテンツ | 構造化・定義文・統計明示 | 公式情報の整備・一次情報発信 |
| 効果が出る期間 | 数週間〜数カ月 | 数週間〜数カ月 | 数カ月〜数年単位 |
| SEOとの関係 | 土台 | SEOの延長 | SEO・GEOと並行して実施 |
3つは競合するものではなく、SEOを土台に、GEOとLLMOを上乗せする階層構造で理解するのが正確です。現時点では「まずSEOの基盤を固めながら、GEO対応のコンテンツ構造を整える」という順序が最も効率的です。
3つは競合するものではなく、SEOを土台に、GEOとLLMOを上乗せする階層構造で理解するのが正確です。SEOとGEOの具体的な違いや実装方法については、SEOとGEO(LLMO・AIO)の違いとは?で詳しく解説しています。

【ヒント】ListeningMindのkeyword_infoでは、各キーワードに AI Overviewが表示されているか・検索量トレンドが上昇しているかを 一覧で確認できます。GEO対策に着手するKWを、感覚ではなく データを根拠に優先順位づけできます。<クエリファインダーの機能紹介>
AIモード・AI Overview時代のコンテンツ対策5ステップ
AI検索時代のコンテンツ対策は、キーワードの複層化・多角的視点の設計・情報の鮮度管理・E-E-A-Tの可視化・会話型検索への対応という5つのステップで体系的に進めることが、AI引用率とSEO評価の両方を高める最短ルートです。
「何から始めればいいかわからない」という声に応えるため、優先度順に5つのステップで解説します。各ステップは独立していますが、順番に実施することで相乗効果が得られます。
メインキーワードだけでなく関連KWまで同一コンテンツ内で網羅し、AIに引用されやすいワンストップ型の記事設計に切り替える
メリット・デメリット・注意点・実例・FAQまで含め、多角的な情報を1記事に整理して読者満足度とAI評価を高める
更新日を明記し、統計・業界動向・料金・法改正など変化しやすい情報を定期的に見直して信頼性を維持する
執筆者の経験・専門性・実績・引用元を具体的に示し、AIにも読者にも信頼できる情報源として認識されやすくする
次に生まれる疑問を先回りして補足し、疑問文形式の見出しやFAQ、内部リンクを活用してAI検索と音声検索の両方に対応する
ステップ1:ターゲットキーワードの複層化
メインキーワードだけでなく、関連キーワードを複数カバーするコンテンツ設計に切り替えることで、AI Overviewに引用される確率が高まります。
AI Overviewは、複数のサイトから情報を引用して要約を作成します。1つのコンテンツが複数のキーワードに対応していれば、それだけ引用される機会が増えます。「SEO対策」というメインキーワードに対して「SEO対策 やり方」「コンテンツSEO 事例」「GEO対策 始め方」といった関連キーワードも同一記事内で網羅する設計が有効です。
具体的な手順としては、まずラッコツールでメインキーワードの上位3記事の見出しを抽出し、競合が共通して扱っているH2を特定します。次に、自社コンテンツに不足している視点を補う形で記事を設計します。

【ヒント】ListeningMindのパスファインダーでは、「ビタミンCおすすめ」→「おすすめ市販」→「DHC比較・口コミ確認」のように、購買ステージごとの検索語の流れを可視化できます。カバーすべき関連KWの全体像を経路データから設計できます。<パスファインダーの機能紹介>
よくあるミス: メインキーワード1語に特化しすぎて、関連する疑問を別ページに分散させてしまうケース。読者の疑問を1ページで完結させる「ワンストップコンテンツ」の発想が、AI引用率を高めます。
ステップ2:複合的視点のコンテンツ設計
1つのテーマについてメリット・デメリット・注意点・実例など複数の視点を網羅したコンテンツが、AIに選ばれやすく、かつ読者の満足度も高まります。
AIは「このサイトで多角的な情報が得られる」と判断した場合、優先的に引用する傾向があります。「テレワーク導入」をテーマにするなら、企業側のメリット・従業員側のメリット・コスト試算・失敗事例・導入手順をすべて1記事に盛り込む設計が有効です。
FAQセクションの追加も効果的です。AIモードでは対話型の追加質問が増えるため、「次にユーザーが疑問に思うこと」を先回りしてFAQとして設置することで、AIに引用される機会が増えます。
ステップ3:情報の正確性と鮮度の維持

記事の更新日を明記し、統計データや業界情報を定期的に見直す運用体制を作ることが、AIに信頼できる情報源として認識されるための基本条件です。
AIは古い情報や不正確な情報を避ける傾向があります。特に以下の情報は更新頻度を高めてください。
- 統計データ・調査結果(公開年が2年以上前のものは要更新)
- 業界のトレンド情報(半年ごとに見直し推奨)
- ツールの料金・機能情報(変更があり次第更新)
- 法改正・規制変更に関わる情報(改正のたびに即時更新)
記事末尾に「この記事は〇年〇月〇日時点の情報をもとに更新しています」と明記することで、AIが情報の鮮度を判定しやすくなります。
ステップ4:E-E-A-Tの可視化
執筆者の職歴・資格・実績をコンテンツ内に明記することは、AI引用の前提条件であり、読者の信頼獲得にも直結します。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の4要素を、コンテンツ内で具体的に示す方法を以下にまとめます。
| 要素 | 意味 | 具体的な実装方法 |
|---|---|---|
| Experience(経験) | 実際に体験・使用した証拠 | 実際に使用したツールの画面・実体験に基づく具体的な数値 |
| Expertise(専門性) | 特定分野の深い知識 | 執筆者の職種・担当領域・業界歴を記事内またはプロフィールに掲載 |
| Authoritativeness(権威性) | 業界内での信頼された立場 | メディア掲載歴・登壇実績・資格・共著などを著者プロフィールに記載 |
| Trustworthiness(信頼性) | 情報の正確性と透明性 | 引用元のサイト名とURLを明記、更新日を記事に表示 |
「実際にListeningMindのパスファインダーを使用してユーザーの検索経路を分析しました」という一文と実際の分析画像を組み合わせることが、Experience(経験)の具体的な示し方の一例です。
ステップ5:会話型・音声検索への対応

ユーザーが「次に疑問に思うこと」を記事内に先回りして盛り込む構成が、AIモードでの引用機会を増やし、記事の滞在時間も向上させます。
AIモードでは対話型検索が増えており、最初の質問に回答した後に「関連する次の疑問」が発生しやすい設計になっています。これに対応するには、各H2の末尾に「よく一緒に調べられる質問」を1〜2件追加し、内部リンクで関連コンテンツへ誘導する構成が効果的です。
また、音声検索では「〜はどうすればいいですか?」「〜とは何ですか?」という疑問文形式の検索が増えます。記事内に疑問文形式の小見出しとその回答を組み込むことで、音声検索・AI検索の両方への対応が可能になります。
ゼロクリック時代の流入チャネル再設計
AI Overviewによって「表示されてもクリックされない」時代が到来した今、Search Consoleで影響を数値化しながら、SNS・メール・資料配布の3チャネルを並行して構築することが、安定した流入を確保するための現実的な戦略です。

「AI Overviewに掲載されているのに流入が増えない」という状況は、今後さらに一般化します。SEOだけに依存するリスクを分散させるために、流入チャネルを再設計する必要があります。
Search Consoleで影響を数値化する
対策を打つ前に、自社サイトへの影響を正確に把握することが先決です。以下の3手順を実施してください。
手順1:CTR推移の確認 Search Consoleのパフォーマンスレポートでキーワードを絞り込み、表示回数とCTRの推移を比較します。表示回数が維持・増加しているのにCTRが下落しているページは、AI Overviewに掲載されながらクリックされていない可能性が高いです。
手順2:Knowクエリ流入の変化抽出 「〜とは」「〜方法」「〜比較」などの情報探索型クエリからの流入を抽出し、3カ月前・6カ月前と比較します。大幅な減少が確認できたページから優先的に対策を進めます。
手順3:ブランド検索量の確認 AI Overviewへの掲載によってブランド認知が向上し、指名検索が増えるケースもあります。非ブランドキーワードの流入が減少していても、ブランド検索が増加していれば施策の方向性は正しいと判断できます。

【ヒント】ListeningMindのクエリファインダーでは、関連キーワードを ボリューム順・トレンド順に並べて確認できます。Search Consoleでは 見えにくい「市場全体の検索需要の増減」を補完することで、 強化すべきキーワードと縮小すべきキーワードの判断精度が上がります。<クエリファインダーの機能紹介>
代替チャネル3本柱の作り方
以下の3チャネルを段階的に構築することで、検索流入への依存を下げながら安定した接触機会を確保できます。
柱1:SNSによるブランド認知の強化 X(旧Twitter)・LinkedIn・Instagramのいずれかに絞り、記事のエッセンスをショートコンテンツとして発信します。月4〜8本の投稿から始めるのが現実的です。SNSでの認知が高まると「ブランド名+テーマ」での指名検索が増加し、ゼロクリックリスクを補えます。
柱2:メールマーケティングの活用 既存リードに対してメルマガやナーチャリングメールでコンテンツを届けることで、検索エンジンに依存しない接触機会を作れます。週1回の配信から始め、開封率とCTRをKPIとして設定します。
柱3:ホワイトペーパー・チェックリストの配布 「AI時代のSEO対策チェックリスト」など、ダウンロードできる実用資料を無料配布することで、リード獲得とE-E-A-Tの向上を同時に達成できます。これらの資料はGEOの観点からも有効で、AIがインデックスしやすい形式(PDF・Webページ)で公開することが重要です。
広告運用とAIモードの影響・対処法
AIモードの普及は検索広告のCTRと品質スコアの評価基準に影響を与えており、キーワードをDo・Go・Buyクエリに絞り込みながら、ランディングページのE-E-A-T強化とP-MAXキャンペーンの運用最適化を並行して進めることが有効な対処法です。
GoogleのAI検索機能の影響は、SEO担当者だけでなく、広告運用に関わるすべての担当者にも及んでいます。
AIモードへの広告掲載の現状と見通し
現時点でGoogleは、AIモードの回答内に広告を表示するテストを複数の市場で進めています。AI回答と広告が混在する検索結果が標準になれば、従来の「広告CTR」「品質スコア」の計算式が変わる可能性があります。
今すぐ取り組むべき準備としては、以下の3点が挙げられます。
- 検索広告のランディングページをE-E-A-T基準で強化する(著者情報・一次情報・更新日の明記)
- AI生成コンテンツとのクリエイティブ差別化を図る(実体験・固有の事例を広告文に反映)
- P-MAX(Performance Max)キャンペーンの実績データを蓄積し、AI最適化に備える
キーワードをDo・Go・Buyクエリにシフトする
ユーザーがAI概要で満足してしまうと、広告がインプレッションされてもクリックされません。この問題に対処するために、キーワードの見直しが必要です。
| クエリタイプ | 例 | AI Overview影響 | 推奨対応 |
|---|---|---|---|
| Knowクエリ | 「SEOとは」「AI Overviewとは」 | 影響大(ゼロクリック化しやすい) | 広告出稿を見直す |
| Doクエリ | 「SEO対策 依頼」「GEO対策 始め方」 | 影響中 | 継続・強化 |
| Goクエリ | 「ListeningMind ログイン」「Google Search Console」 | 影響小 | ブランド認知施策と連携 |
| Buyクエリ | 「SEOツール 価格」「LLMOコンサル おすすめ」 | 影響小 | 最優先で強化 |

広告予算の配分をKnowクエリから解放し、Do・Go・BuyクエリへのシフトL比率を高めることが、AIモード普及後の広告費用対効果を維持するための基本戦略です。
検索行動データでAI時代の変化を先読みする
AI OverviewやAIモードへの対応を属人的な感覚論で終わらせず、実際の検索行動データをもとに「何が変わったか・何を優先すべきか」を定量的に判断できる分析基盤を持つことが、AI時代のマーケティングで持続的に成果を出すための条件です。
「対策はわかった。でも、何から始めるか、どのキーワードを優先するか、どの施策が効いているか——これをどうやって判断すればいいか」という問いが残ります。この問いに答えるには、検索行動データの活用が不可欠です。
AI検索時代のマーケティング戦略立案には、ユーザーの検索行動がどのように変わっているかを定量的に把握できる分析基盤が必要です。従来のSEOツールでは把握しにくい「検索経路の変化」「関連語の急成長」「インテントの分布」を可視化することで、対策の優先順位と方向性が明確になります。
以下に、担当者の立場別に活用できる分析アプローチを整理します。
| 立場 | 活用できる分析 | 得られる示唆 |
|---|---|---|
| SEO・コンテンツ担当 | 検索経路分析 | ユーザーが次に何を検索するかを把握し、コンテンツのキーワード設計に活かす |
| Web広告運用担当 | インテント分布分析 | Do・Go・BuyクエリとKnowクエリを仕分け、入札戦略を最適化する |
| マーケティング責任者 | 検索パターンの時系列比較 | AIモード登場前後での変化を定量把握し、KPI設計の根拠にする |
| 経営者・事業責任者 | ブランドキーワード周辺の関心分析 | 自社ブランドが市場でどのように認識されているかを把握する |
こうした分析を一元的に実施できるプラットフォームを活用することで、AI Overviewやアイモードへの対応スピードが大幅に向上します。検索行動データに基づいた判断が、施策の精度と実行スピードの両方を高めます。

【ヒント】ListeningMindのクラスターファインダーでは、あるキーワードを検索するユーザーがどのような状況・文脈で関心を持っているかをコミュニティ分析で把握できます。自社ブランドのCEP(カテゴリーエントリーポイント)を特定し、AIに引用される文脈を設計する起点として活用できます。<クラスターファインダーの機能紹介>
AIモードの普及で検索行動が変化するなか、自社のカテゴリやブランドを めぐる検索経路・インテント・CEPがどう変化しているかを把握することが、 次の施策を決める出発点になります。 ListeningMindでは、本記事で紹介したパスファインダー・インテントファインダー・ クラスターファインダーをすべて実際のデータで体験いただけます。
よくある質問
Q1. AIモードとAI Overviewは何が違いますか?
AI Overview(AIによる概要)とは、通常のGoogle検索結果の上部に自動表示されるAI生成の情報要約です。すべての検索ユーザーに表示される点が特徴です。一方AIモードとは、2025年9月から日本でも提供が開始された対話型のAI検索画面で、ユーザーが意図的に切り替えて使う別モードです。AI Overviewは「気づかず見ている」もの、AIモードは「選んで使う」もの、と理解するとわかりやすいです。
Q2. AI Overview・GEO・LLMOの違いは何ですか?
AI Overviewは「Google検索結果に表示されるAI生成の要約機能」そのものを指します。GEO(Generative Engine Optimization)はそのAI Overviewや生成AIエンジンに自社コンテンツを引用させるための最適化手法です。LLMO(Large Language Model Optimization)はChatGPT・Claude・GeminiなどのLLMベースのAIに自社情報を正しく認識・回答させるための施策を指します。3つは競合するものではなく、SEOを土台にGEO・LLMOを上乗せする構造で実施するのが最も効率的です。
Q3. AI Overviewに掲載されているのに流入が減っています。なぜですか?
これは「ゼロクリック問題」と呼ばれる現象で、正常な変化として確認されています。AI Overviewがユーザーの疑問を検索結果ページ上で解決してしまうため、サイトへのクリックが発生しにくくなっています。特に「〜とは」「〜の方法」といったKnowクエリで顕著です。対策としては、Do・Go・Buyクエリのコンテンツを強化しつつ、SNS・メール・資料配布など複数の流入チャネルを並行して構築することが有効です。
Q4. AIモードの使い方と、表示されない場合の対処法を教えてください。
AIモードへのアクセスは、google.com/ai にアクセスするか、Googleトップページの検索バー上部の「AIモード」タブを選択することで利用できます。テキスト入力に加え、音声・画像での質問にも対応しており、回答後に追加質問を重ねることで対話形式で情報を掘り下げられます。表示されない・使えない場合は、①Googleアカウントへのログイン、②地域設定の確認(日本国内設定)、③ブラウザの更新を順番に試してください。なお、AIモードを非表示にしたい場合は、検索バー上部のタブで「すべて」などの通常モードに切り替えることで従来の検索画面に戻せます。
Q5. AI Overviewの情報は正確ですか?
AI Overviewは複数のWebサイトの情報を統合して回答を生成するため、情報の正確性にばらつきがあります。「aiによる概要 嘘だらけ」「ai 嘘ばかり」といった検索が実際に確認されており、ユーザー間でも懸念が広がっています。重要な情報(医療・法律・金融など)については、AI Overviewの回答をそのまま鵜呑みにせず、引用元のサイトを直接確認することを推奨します。なお、AI Overviewは現時点で設定から非表示にすることが基本的にできない仕様のため、コンテンツ発信者としては正確性・更新日・出典の明記によってAIへの誤引用リスクを下げることが重要です。
Q6. GEO対策とSEO対策は別々に取り組む必要がありますか?
別々に実施する必要はありません。GEO対策の基本はSEOの延長線上にあります。良質なコンテンツ・明確なH1〜H3の階層構造・情報の正確性といったSEOの基盤がそのままGEO対応の土台になります。GEO特有の上乗せ施策としては、定義文の簡潔な記述・統計データや固有名詞の明示・構造化データ(schema.org)の実装が挙げられます。まずSEOの基盤を固め、その上でGEO対応を加える順序が最も効率的です。
Q7. AIモードが使えない・表示されない場合はどうすればいいですか?
「AIモード 使えない」は月間約14,000件検索されている非常に多い悩みです。主な原因と対処法は以下の通りです。①Googleアカウントにログインしていない→ログインしてから再試行。②地域設定が日本以外になっている→設定から日本に変更。③ブラウザのキャッシュ・Cookieが古い→クリアして再読み込み。④利用制限に達している→時間をおいて再試行。これらを試しても解決しない場合は、Google公式ヘルプ(support.google.com)から問い合わせることを推奨します。
Q8. 検索行動データを活用してAI時代の対応を進めるにはどうすればいいですか?
AI検索への対応を感覚論ではなくデータに基づいて進めるには、ユーザーの実際の検索経路・インテント分布・キーワードの急成長傾向を可視化できる分析基盤が有効です。「どのキーワードでAI Overviewが表示されているか」「ユーザーが次に何を検索するか」「AIモード登場前後で検索パターンがどう変わったか」を定量的に把握することで、対策の優先順位と方向性が明確になります。検索行動データを活用した分析ツールの導入を検討してみてください。
まとめ
AIモードとAI Overviewの登場は、検索という行為の構造そのものを変えています。「リンクをクリックして情報を探す」から「AIに質問して答えをもらう」へのシフトが進む中、マーケターや広告担当者、経営者に求められる視点も変わりつつあります。
この記事でお伝えした内容を、3つに整理します。
1. 変化の構造を正確に理解する AI Overview・AIモード・多角的視点提示という3つの機能が、それぞれオーガニック流入・広告CTR・ブランド認知に異なる影響を与えています。まず「何が変わったか」を正確に把握することが、すべての出発点です。
2. SEO・GEO・LLMOを統合的に進める SEOを土台にGEOとLLMOを上乗せするという階層構造を意識することで、対策が整理されます。今すぐ着手できるのは、コンテンツの構造化・著者情報の整備・情報の更新管理です。特別なツールがなくても始められる施策から実行に移すことが重要です。
3. 流入チャネルと分析基盤を同時に整える SEO流入に依存しすぎるリスクを分散させるために、SNS・メール・資料配布の3チャネルを並行して育てることが、AI時代の安定した事業基盤につながります。
また、対策を継続的に改善するには、検索行動の変化を定量的にモニタリングできる基盤が欠かせません。どのキーワードで変化が起きているか、ユーザーのインテントがどう変化しているかを可視化することで、施策の修正を適切なタイミングで行えます。
AIモード・AI Overviewへの対応は、一度やって終わりではなく、市場の変化に合わせて継続的に更新していく性質の取り組みです。この記事が、その最初の一歩を踏み出すための参考になれば幸いです。
本記事の情報は2026年時点のものです。
執筆者紹介
株式会社 アセントネットワークス ソリューション事業部 シニアアナリスト 吉岡直樹
デジタル系プロダクションの設立の後、NEC(ヒアラブルデバイスUX設計)、JTB(輸出促進支援事業次席顧問)、TBS(Screenless Media Lab. テクニカルフェロー)、NHK(放送100年プロジェクト/データ分析)などへの参加を経て現職。
日本ディープラーニング協会 認定エンジニア (JDLA for ENGINEER 2022#2)、(米)PMI認定 プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP)、経営学MQT 上級 (NOMA)、データサイエンティスト協会 会員 (個人)、日本マネジメント学会 会員 (個人)。
著書:「AIアシスタントのコア・コンセプト/人工知能時代の意思決定プロセスデザイン(BNN:2017)」、「SENSE インターネットの世界は「感覚」に働きかける(日経BP:2022)」
※ NHK 放送100年「メディアが私たちをつくってきた!?」データ分析担当








