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キーワードトレンド機能の紹介:「どん兵衛」を通じて読み解く検索量データとオートコンプリートデータ

はじめに

検索量に基づくデータ分析は、基本的に1か月単位で行われることが一般的です。パネルやサンプリングを活用して、1か月より短い期間でサービスを提供するケースもありますが、このような場合、検索データが持つ偏りのない網羅的なデータという特長が弱まるため、有意義なデータとは言い難いことがあります。例えば、検索量が月1回更新されるといっても、検索ポータルが提供するタイミングが通常翌月10日~15日頃になるため、実際にデータを使用できるのは翌月15日以降となります。そのため、マーケティングの結果を迅速に知りたい場合や、業界の変動が激しく、その変動が事業に大きな影響を与える場合には、このデータに物足りなさを感じることもあるでしょう。

そのような場合に有効なのが、Googleが提供する「オートコンプリート(Autocomplete)」の活用です。オートコンプリートは変動が大きいため、整理や活用に苦労することもありますが、目的キーワードやその派生キーワードをGoogle検索窓に入力することで、Googleはその時点で最も多く検索されている関連キーワードを提案します。この提案は通常8~10個に限定されており、この変化を収集することで、目的キーワードの周辺で検索ユーザーがどのような意図(Intent)を持ち、どのような変化が生じているかを把握することができます。

オートコンプリートは、関連キーワードと比べて変化を迅速に反映するのが特長です。関連キーワードは検索事業者の立場からすると、検索結果内で表示されるもので、ユーザーに対するおすすめの意味合いが強く、長期的なユーザーの関心(Long Term Interest)と最新のトレンド(Trend)のバランスを考慮して反映されます。一方で、自動補完はトレンドを重視し、データの鮮度(Freshness)を重要視していると言われています。

つまり、「キーワードトレンド」サービスでは、検索量ではなくオートコンプリートのデータを活用している点が重要です。オートコンプリートを利用することで、目的のキーワードに対するユーザーの関心の変化を、より迅速かつ正確に把握することが可能です。このようなデータ特性を活かすことで、より効果的なマーケティングや戦略立案が期待できます。

使い方

キーワードトレンドにキーワードを登録する方法はとても簡単です。検索欄に対象のキーワードを入力して登録ボタンを押すだけで、その時点からデータの収集が始まります。情報として意味を持つようになるまでには通常1週間程度かかりますが、まずは興味のあるキーワードを登録するところから始めてください。

キーワード登録画面

使用ガイド ラボ キーワードトレンドを参考にしてください。

解釈と意味

以下では、「どん兵衛」に関連する観察結果をもとに内容を説明します。

「どん兵衛」の検索量変動

インテントファインダー検索りょう変化分析画面

検索量要約を見ると、「どん兵衛」を含むトークンのキーワードはㅎ現在795,500個存在します。これらのキーワードの全体的な検索量は、7月と比較して10月に105%増加しました。増加の理由としては、「CM」や「はいよろこんで」といった関連キーワードが挙げられます。

「どん兵衛」の「他の人はこちらも検索」変動

SERP画面

上記で検索数が急増している「はいよろこんで」ですが、執筆時点の12月11日現在、まだ「他の人はこちらも検索」に反映されていないようです。Googleは具体的な理由を公表していませんが、関連検索ワードやオートコンプリート機能の仕組みを考えれば、ある程度の推測は可能かと思われます。

仮説①「はいよろこんで どん兵衛」と「どん兵衛」が同一の検索セッション内で発生していない可能性が考えられます。つまり、「どん兵衛」を検索した後に「はいよろこんで どん兵衛」を検索するというよりも、広告やプロモーション情報から直接「はいよろこんで どん兵衛」と検索する、もしくは広告などのプッシュ型情報がきっかけとなって検索するケースが多いと推測されます。これは広告やキャンペーンの影響を強く受けている可能性を示唆しています。

仮説②「どん兵衛」に関する既存の検索テーマへのユーザーの長期的な関心が根強い可能性があります。長年にわたってユーザーが持続的に検索している定着したキーワードがある一方で、「はいよろこんで どん兵衛」は新しいトレンドとしてまだ確固たる地位を確立できていない可能性があります。この場合も、実際のユーザーの自然な関心というよりは、広告展開の影響によってトラフィックが生成されている可能性が高いと考えられます。

Googleのアルゴリズムの詳細を完全に把握することは不可能です。これは意図的なものと考えられます。なぜなら、アルゴリズムの仕組みが明らかになれば、コンテンツ作成者がそれに合わせて最適化を行い、結果としてユーザーの検索体験の質が低下する可能性があるためです。

関連検索ワードやオートコンプリート機能が持つ影響力は侮れません。一度検索結果に表示されると、ユーザーはそのキーワードが検索目的と強い関連性があると認識し、さらなる検索行動を誘発することになります。これにより、当初の影響がさらに増幅される形となります。このような連鎖的な効果が、検索トレンドの形成に大きな役割を果たしているのです。

「どん兵衛」のオートコンプリート変動

オートコンプリート推移を見せるキーワードトレンド

12月5日から12月12日までの期間、「どん兵衛」のオートコンプリート候補に「はいよろこんで どん兵衛」は表示されていません。この「はいよろこんで どん兵衛」のTVCMは10月14日から放送が開始されましたが、放送当初はかなりの広告効果があって、今は他のCMに消費者の関心が移行していったものと推測されます。

広告を通じて人々の関心を引きつけることは、重要なマーケティング戦略の一つだと考えられます。ただし、一時的な盛り上がりで終わらせないためには、ユーザーに適切な関連情報を継続的に提供していく必要があります。そして、その情報がユーザーの検索を通じて見つけられ、さらに拡散されていくような取り組みが不可欠です。

執筆時点の12月12日現在のオートコンプリートと他の人はこちらも検索は以下の通りです。

他の人はこちらも検索
オートコンプリート

結論

オートコンプリート機能はデータの鮮度(Freshness)を重視し、ユーザーの検索量が増加すると即座に反映されます。また、目標としているキーワード周辺で発生している問題(Issue)を把握するのにも役立ちます。しかし、長期的にユーザーの関心を引き続けられない場合、この機能はすぐに廃止される可能性があります。目標とするブランドの商品が引き続きユーザーの関心を集めているか、またその関心が長期的に意味を持つのかを把握するために、キーワードトレンド機能を活用できることを期待しています。

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