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検索データで消費者の本音を可視化!ジョブ指向ペルソナの特定と戦略的アプローチ

はじめに

マーケティングにおいて、消費者の「解決したい課題」や「達成したい目的」に焦点を当てる「ジョブ指向ペルソナ」が注目されています。本記事では、従来のペルソナとの違いや、検索データを活用してペルソナの目的や課題を特定する方法について解説します。検索クエリから得られる消費者のインテントや行動パターンを分析し、それに基づいた戦略的アプローチの設計法や、ペルソナに対応したタッチポイントの構築、キャンペーンのインサイトを得る手法など、実践的なマーケティング戦略への役立て方を紹介します。

1. ジョブ指向ペルソナとは?

1.1 一般的なペルソナとジョブ指向ペルソナの違い

従来のペルソナ設計は、年齢・性別・職業などのデモグラフィックデータに基づいていますが、ジョブ指向ペルソナは「消費者の解決したい課題や達成したい目的」に焦点を当てます。背景には、「消費者が多様化し、性別・年代・世帯・収入などによる志向性の差が小さくなり、旧来の属性型ペルソナの有効性が弱まっていく中で、相対的に、解決したい課題や達成したい目的を意識して商品やサービスを選ぶ傾向が強くなっている」という考え方があり、ジョブ指向ペルソナはデモグラフィックの枠を超え、消費者の真のニーズを捉えることものとして注目されています。

ジョブ指向イメージ
(図)ジョブ型ペルソナの考え方は、多様化する社会に対応したもの。

1.2 なぜジョブ指向が重要なのか

検索エンジンは、消費者が抱える課題や欲求を直接的に反映しているため、ジョブ指向ペルソナの特定に検索データを活用することで、ユーザーの課題や目的を的確に捉え、効果的なターゲティングやメッセージの最適化を図ることができます。

2. ジョブ指向ペルソナをどのように捉えるか

2.1 消費者の目的・課題を特定する

検索データをもとに、消費者の「ジョブ(Job to be Done)」を探ります。例えば、「疲れをとるマクラ」を検索するユーザーは、「疲労回復」や「快眠」、あるいは「翌朝のすっきり感」を求めているかもしれません。検索クエリの文脈から、こうした目的を読み取ることができます。ただこうした作業は人間が行うには限界があり、各種ツールが開発されています。

2.2 ペルソナを構築するステップ

  •  目的・課題の特定:検索データからキーワードやトレンドを抽出し、消費者が解決したい課題や達成したい目的を把握します。
  •  行動プロセスの明確化:目的を達成するために、消費者がどのような検索を行い、どのようなステップを踏むのかを分析して意思決定プロセスを明らかにします。
  • ペルソナの具体化:目的や行動プロセスを基に、ジョブ指向ペルソナを作成。ペルソナには、「抱える課題」「求めるベネフィット」「行動プロセス」などの要素を組み込み、消費者のジョブに基づいた設計を行います。

3. 消費者の検索経路からジョブのバリエーションを把握する

消費者は、商品やサービスの情報を求める際に、さまざまな検索クエリを用いて調査を行います。その検索経路は消費者のニーズや目的に大きく影響されるため、これを分析することでジョブのバリエーションを把握することができます。ジョブのバリエーションを知ることは、消費者の行動をより正確に理解し、適切なマーケティング戦略を構築するために欠かせません。

3.1 検索クエリのパターン分析からジョブを抽出

検索クエリの分析は、消費者がどのような目的を持っているのかを理解する上で非常に重要です。同じ商品に関連する検索でも、「今すぐ買いたい」「情報収集したい」「問題解決の方法を知りたい」など、検索者の意図は多岐にわたります。

例えば、ある商品カテゴリーに対して以下のようなクエリが見られるとします。

  • 「〇〇マクラ 効果」:商品の効能を知りたい。
  • 「〇〇マクラ 比較」:他社製品と比較したい。
  • 「〇〇マクラ 口コミ」:他のユーザーのレビューや体験を知りたい。

こうしたクエリをパターンごとに分類することで、検索者の目的やジョブのバリエーションを把握することができます。これらのパターンに合わせて、消費者のニーズや意図を深く理解しましょう。

(図)経路の視覚化をおこなうパスファインダーの分析結果。この各経路がバリエーションに。
(図)経路の視覚化をおこなうパスファインダーの分析結果。この各経路がバリエーションに。

3.2 インテントごとのマーケティング戦略の設計

検索クエリに見られるインテントをもとに、それぞれの目的に合わせたマーケティング戦略を構築することが重要です。例えば、「〇〇マクラ 口コミ」と検索している人には、口コミ情報を掲載したコンテンツやSNSでのレビューを共有する広告が有効です。また、「〇〇マクラ 効果」と検索している人には、商品の効能を強調した記事や動画が効果的となります。

こうしたインテントに合わせたコンテンツやアプローチを行うことで、ユーザーにとって有用な情報を提供し、購買行動へのスムーズな誘導が可能となります。

3.3 ジョブのバリエーションによる包括的な戦略設計

検索クエリを通じて抽出されたジョブのバリエーションに基づき、それぞれに対応した包括的なマーケティング戦略を設計することが重要です。市場全体で共通する主要なジョブから、ニッチなニーズに至るまでカバーできる戦略を構築することで、幅広いターゲットにアプローチできるようになります。

市場シェアの拡大やブランド認知の向上を目指す場合、ジョブのバリエーションごとに適切なコンテンツや広告を展開し、消費者の検索経路を的確に捉えた戦略を策定することが必要です。

4. ジョブ指向ペルソナを用いた検索経路ベースのマーケティング
戦略

検索経路ベースの戦略設計は、ジョブ指向ペルソナを効果的に活用することで消費者のニーズに沿ったアプローチが可能になります。これにより、ユーザーの検索行動に合わせたマーケティングが実現でき、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供することができます。

4.1 検索行動とペルソナのマッチング

ペルソナと検索行動のマッチングは、いわゆる「パーセプションギャップ」の解消につながります。検索データをもとに、ペルソナごとの検索行動を理解し、それに対応するコンテンツやメッセージを提供することで、消費者の心に響くアプローチを実現します。これにより、潜在顧客が求めている情報や解決策を的確に提供でき、購買意欲を高めることが可能です。

4.2 ペルソナに対応した戦略的タッチポイントの設計

各ペルソナが検索経路のどの段階でどのような情報を必要としているかを理解し、それに合わせたタッチポイントを設計することが重要です。例えば、情報収集段階のユーザーにはブログ記事や動画コンテンツを提供し、比較検討段階のユーザーには製品の比較情報やレビューコンテンツを展開する、といった具合です。

このように、ペルソナの検索経路に対応した最適なコンテンツやチャネルを提供することで、消費者との接点を強化し、購買までのスムーズな道筋を作ります。

4.3 検索経路をベースとしたマーケティングキャンペーンの最適化

検索経路から得られるインサイトを活用して、マーケティングキャンペーンの最適化を図ります。キーワードの選定や広告クリエイティブの見直しを行い、A/Bテストなどによる効果検証を実施します。これにより、より効果的なターゲティングとコンバージョンが期待できるため、マーケティング活動のパフォーマンスを向上させることができます。

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10月3日(木)15~16時        市場分析編
検索データで消費者の本音を探る!ジョブ指向ペルソナの特定と戦略的アプローチ

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本ウェビナーでは、検索データを活用して消費者の課題や目的を深掘りし、
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10月10日(木)15~16時        広告編
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