【日米韓比較】「スターバックス検索の旅路」から見る生活者インサイトの違い~ブランド検索に現れる“文化的ニーズ”の比較分析~

この記事では、グローバルブランド「スターバックス」に関連する検索行動を通して、日本・アメリカ・韓国のユーザーがどのようにブランドと接点を持ち、どんな目的で検索しているのか、その「検索ジャーニー(Search Journey)」を比較・可視化していきます。
単なるブランド認知を超えた、「どこで・なぜ・どう使うか」のインサイトが検索データには現れていました。

1. 米国:スターバックス vs 競合、検索は「ニーズのリアル」

🔍 特徴的な検索パターン

  • 競合ブランド間を横断しながら比較・選択する検索ジャーニー
  • 24-hour coffee shopopen latesunday open など、営業時間に関連した検索が活発
  • starbucks near me に続く検索で dunkin' donuts near me が頻出

💡 インサイト

アメリカの生活者にとってスターバックスは、“今すぐニーズ”を満たすための実用的なブランドです。

検索には、深夜勤務や長距離運転、週末の外出といった日常行動の中で「今、近くで開いているコーヒーショップ」を探す即時性が強く反映されています。また、dunkin' donutsなどの競合ブランドとセットで比較検索されることから、ブランドロイヤリティよりも利便性や距離、時間といったファクターで選択される傾向が見られます。

これは、日本のようにスタバをトレンド体験の場として楽しむ文化とは対照的であり、スターバックスが“感性消費”ではなく、“課題解決のための選択肢”として定着していることを示しています。

2. 日本:スタバ=“飲む”を超えたトレンド発信拠点

🔍 特徴的な検索パターン

  • 検索ジャーニーの序盤では 「スタバ BGM」 に関心が集まり、音楽を通じてブランド体験を楽しむ傾向が見られる
  • 続いて 「スタバ新作」や「スタバ ギフトカード」 など、新メニューや贈答アイテムへの検索が増加
  • 食品・音楽・ギフトに至るまで、多面的なブランド接点が検索に現れている

💡 インサイト

日本におけるスターバックスは、コーヒーショップを超えて“トレンドの中心地”として機能しています。

季節ごとの新作ドリンクはSNSで“コンテンツ”として消費され、ポスターやパッケージデザインも含めて注目されます。スタバで何を飲むかだけでなく、「どんな限定アイテムが出たか」が関心の対象となるのです。

また、「スタバ BGM」への検索人気は、音楽を通じた空間体験の価値を重視する日本の生活者像を反映しています。

韓国がタンブラーなどグッズやフランチャイズに関心を示すのに対し、日本では食品・音楽・ギフトカードまで関心が広がり、生活の中でスターバックスが担う役割の広さがうかがえます。

つまり、スターバックスは日本において“行くだけで流行がわかる”ブランドとして、生活者にとって多層的な意味を持つ存在なのです。

3. 韓国:グッズ探索と「起業」ニーズに着目

🔍 特徴的な検索パターン

  • 検索の流れ:
    근처 스타벅스(近くのスターバックス)스타벅스 온라인 스토어(スタバ公式通販)스타벅스 스토어(ブランドページ)스타벅스 텀블러(スタバタンブラー)
  • MD(グッズ)・限定アイテム・在庫確認への関心が高い
  • 「스타벅스 창업(スタバ起業)」といったキーワードも散見

💡 インサイト

韓国におけるスターバックスは、単なるカフェブランドではなく、「所有する喜び」と「ビジネス機会の探索」が交差する象徴的な存在となっています。

タンブラーやマグカップなどのスターバックスグッズ(MD)は、限定品であることが多く、その希少性から「持ちたい」「集めたい」という欲求を強く刺激しています。実際に「在庫確認」や「限定タンブラー」といった検索が多く見られ、ブランドが単なる消費財ではなく、コレクション対象として機能していることがわかります。

さらに、「スターバックス 起業」などのキーワードからは、韓国における自営業志向の強さ(2023年時点で22.5%)がうかがえ、スターバックスを安定的な収益モデルと捉える傾向が検索データにも反映されています。こうした動きは、日本やアメリカの検索ジャーニーにはほとんど見られない、韓国特有の現象です。

このように、韓国のスターバックスは日常的な消費対象であると同時に、「成功」や「資産性」の象徴でもあり、生活者とブランドの関係性は“所有・収益・価値探索”を軸に構築されていると言えるでしょう。

まとめ:スターバックス検索が映す、日米韓の「文化とブランドの接点」

今回の記事では、スターバックスというグローバルブランドに対する検索ジャーニーから、各国の生活者がどのようにブランドと向き合い、何を価値と見なしているかを比較しました。

  • アメリカでは、「今すぐどこで飲めるか」を重視した 即時性・利便性重視のブランド活用
  • 韓国では、限定グッズや起業といった “所有”と“事業機会”の象徴
  • 日本では、BGMや新作・ギフトまで含めた “流行そのもの”としてのブランド体験

同じスターバックスでも、検索データには国ごとの「当たり前」の違いがはっきりと現れていました。これはブランドが生活者と築いている関係性の鏡とも言えるでしょう。

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今後もこうしたインサイトをより深く、リアルタイムでお届けしてまいります。

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