ListeningMind & ChatGPTを用いて、日米消費者のペインポイントを比較分析

日本企業にとって、アメリカは最も重要な市場の一つと言っても過言ではありません。特に、日本の主要産業である自動車産業にとってアメリカは最大の市場であり、SUBARUのように世界販売台数の大部分をアメリカ市場が占めるケースもあります。

しかし、アメリカ市場とアメリカ消費者を理解するのは容易なことではありません。言語が異なるだけでなく、地理的にも離れているため、「アメリカ消費者の理解」は、大企業にとってさえ常に難しい課題です。特に、日本の本社がアメリカの現地法人のマーケティング戦略、実行計画、そして予算執行までを管理する場合、現地と日本の本社との間に認識のギャップが生じることも少なくありません。

使用したプロンプト
1. APIを使用し、米国データ基準、「ロボット掃除機」カテゴリについて、クラスターおよび実際の検索量、トレンドデータに基づき、以下のフォーマットで表を作成してください。 
[ペインポイント項目 | 総検索量(月) | トレンド(直近1年の増減率 %) | 代表キーワード | 深刻度 | ペインポイントの解釈]

2.上記、日本とアメリカのロボット掃除機関連のペインポイント分析について、項目別の深刻度を比較する中央基準の左右対称な横棒グラフを作成してください。

リスニングマインドは、日米数億件の検索データを提供しており、ChatGPTとの連携により、プロンプトだけでアメリカ消費者の実際の検索データに基づいた分析が可能になりました。

今回は、「ロボット掃除機」という製品カテゴリーにおける消費者のペインポイントについて、日本とアメリカを比較分析してみたいと思います。

まず、日本の消費者のペインポイント分析については、以前公開した記事「ListeningMind & ChatGPTによるペインポイント分析とアイデア創出」で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。当時分析した日本の消費者のペインポイントは以下の通りです。

日本のロボット掃除機 ペインポイント分析

ペインポイント項目月間検索数トレンド(前年比%)代表キーワード深刻度ペインポイント解釈
隅・デッドゾーンの掃除不足5,400+4%デッドゾーン, 隅, ブラシ届かない★★★★☆隅や家具の脚周りなど“デッドゾーン”のゴミが完全に取りきれない。手動での掃除が必要になる。
ペット毛・髪の毛・微細埃の除去不十分4,200+7%ペット毛, 髪の毛, ミクロダスト★★★★☆ペットの毛や髪の毛、微細な埃の完全な除去が困難。ブラシへの絡まりや、繰り返しの掃除が必要。
障害物・コード・小物の回避不足3,100+9%障害物, 電線, 玩具, ペットトイレ★★★☆☆コードや障害物の検知・回避が不十分。複雑な家庭環境では衝突やスタック、掃除残しが多発。
自動化の限界・メンテナンスの煩雑さ1,900+11%自動ゴミ収集, 給水, フィルター交換★★★☆☆ゴミ捨てや給水、フィルター交換などのメンテナンスが依然として必要。「完全ほったらかし」にはできない。
水拭き機能・衛生/悪臭1,500+13%水拭き, 水拭き臭い, 衛生★★★☆☆水拭き後の雑菌や悪臭問題、掃除後の衛生面への不安。モップの洗浄・乾燥機能への需要が高まる。


  • トレンド(%):直近1年間における該当ペインポイント関連キーワード群の検索数増減率(前年比)
  • 月間検索数:主要キーワード合計の月間検索回数
  • 深刻度:実際のレビュー/質問/クラスタリング分析に基づく深刻度(★の数で表現)

次に、アメリカの消費者のペインポイントを同じ視点で分析してみましょう。

プロンプト
APIを使用し、米国データ基準、「ロボット掃除機」カテゴリについて、クラスターおよび実際の検索量、トレンドデータに基づき、以下のフォーマットで表を作成してください。 [ペインポイント項目 | 総検索量(月) | トレンド(直近1年の増減率 %) | 代表キーワード | 深刻度 | ペインポイントの解釈]

リスニングマインドのAPI通信を開始する段階で、以下のような確認画面が表示されます。「確認」をクリックします。

アメリカのロボット掃除機 ペインポイント分析

ペインポイント総検索量(月)トレンド(直近1年の増減率 %)代表キーワード深刻度ペインポイントの解釈
ペット毛の除去不十分1,966+26%robot vacuum pet hair★★★★☆ペットの毛や細かい埃が完全に除去できないことへの不満が大きく、ブラシ詰まりも発生しやすい。
自動ゴミ収集機能への需要8,533+82%self-emptying robot vacuum★★★★☆ゴミ捨ての手間を削減したいというニーズが強く、完全自動化への期待が急上昇している。
モップ機能への過剰期待8,933+124%robot vacuum and mop combo★★★★☆水拭き機能に対する期待が高いものの、実際の清掃能力や衛生面に不満を持つ声も多い。
充電・故障トラブル1,400+81%shark robot vacuum not charging★★★☆☆特定ブランドの機種に関する故障や充電不良の問い合わせが多く、信頼性に課題が見られる。
静音性への期待1,4000%quiet robot vacuum★★★☆☆家庭内での静かな掃除へのニーズは根強い。特に夜間や在宅勤務層に人気。
価格と品質のバランス3,6000%best budget robot vacuum★★★☆☆価格を重視するユーザー層の増加に伴い、性能不足への不満も一定数存在する。
商用利用での性能制限2,093-12%commercial robot vacuum★★★☆☆カフェやオフィス、ホテルなどでの利用ニーズはあるが、稼働時間や清掃範囲に制限がある。
レビュー情報の信頼性不足1,3000%best robot vacuum reddit★★☆☆☆比較レビューに関する情報が多すぎることによる疲れや混乱が一部で見られる。
プール用ロボットとの混同22,466+308%pool vacuum robot★★☆☆☆プール清掃用ロボットとの混同検索が多く、カテゴリーの誤認が起きやすい。
  • トレンド(%):直近1年間における該当ペインポイント関連キーワード群の検索数増減率(前年比)
  • 月間検索数:主要キーワード合計の月間検索回数
  • 深刻度:実際のレビュー/質問/クラスタリング分析に基づく深刻度(★の数で表現)

日米消費者のペインポイント比較

共通点

まず共通点として、両市場ともに水拭き機能ペットの毛の除去に対する不満が強く表れています。日本では「水拭き機能・衛生/悪臭」、アメリカでは「robot vacuum and mop combo」というキーワードが高い検索量と共に、深刻な課題として認識されています。

ペットの毛の除去に関しても、両国でブラシへの絡まりや吸引力不足などが代表的な不満点として挙げられています。

完全自動化」への期待は、日本の「自動ゴミ収集」やアメリカの「self-emptying robot vacuum」といったキーワードから共通して読み取れ、未だにフィルター清掃や給水など、ユーザーの手間が必要な点に不満が存在しています。

相違点

一方で、相違点も明確です。日本では様々な機能に対する不満が比較的均等に分布しているのに対し、アメリカでは「ペットの毛」と「モップ機能」という特定の課題に検索が集中する傾向が見られます。

また、アメリカでは「shark robot vacuum not charging」や「repair」、「reset」といった製品の故障や信頼性に関するキーワードが頻繁に検索されていますが、日本ではこうした直接的な言及はほとんど見られません。

価格に対する感度にも違いがあります。アメリカでは「budget」や「costco」、「deals」といったキーワードが多く登場し、コストパフォーマンスを重視する消費スタイルが強くうかがえます。対照的に、日本では価格への直接的な言及は少なく、製品の機能的な完成度や衛生面をより重視する傾向が見られます。

共通点と相違点の比較チャート

両国の共通点と相違点をより分かりやすく比較するために、チャートで可視化してみましょう。(TIP:どのようなチャートやグラフが効果的か分からない場合は、GPTに「この分析に適したチャートを推薦して」と尋ねてみるのも一つの手です)

プロンプト
上記、日本とアメリカのロボット掃除機関連のペインポイント分析について、項目別の深刻度を比較する中央基準の左右対称な横棒グラフを作成してください。

まとめ

ListeningMindとChatGPTを活用することで、アメリカ消費者の「本音」も深く分析することが可能です。さらに、AIの力によって言語の壁もなくなりました。例えば、「robot vacuum and mop combo(ロボット掃除機+水拭き一体型)」のように、英語と日本語を併記することも当然可能です。

アメリカの現地担当者とListeningMind & ChatGPTの分析結果を共有し、両国の共通点と相違点を深く議論しながら、より効果的なマーケティング戦略を立案できるとしたらどうでしょうか?

プロンプト
1. APIを使用し、米国データ基準、「ロボット掃除機」カテゴリについて、クラスターおよび実際の検索量、トレンドデータに基づき、以下のフォーマットで表を作成してください。 
[ペインポイント項目 | 総検索量(月) | トレンド(直近1年の増減率 %) | 代表キーワード | 深刻度 | ペインポイントの解釈]

2.上記、日本とアメリカのロボット掃除機関連のペインポイント分析について、項目別の深刻度を比較する中央基準の左右対称な横棒グラフを作成してください。

※ 本記事は、検索データに基づく分析事例であり、特定のブランドや製品のマーケティング戦略を代弁または評価することを目的としたものではありません。 

使用されているキーワードは、実際の検索ボリューム、サジェスト、関連検索語などの情報をもとに収集されたものであり、消費者の関心や情報探索パターンを理解するための分析例として提示しています。 

記載されているブランド名および製品は、分析構造を説明するための事例として引用しており、各企業の公式な見解や実際の施策とは関係ありません。 

本文の内容は個人の見解に基づくものであり、誹謗中傷、歪曲、営利目的は一切含まれておりません。