ListeningMind & ChatGPTでこれからの成長分野の発掘

「次にどんな商品やサービスが伸びるのか?」 この問いは、多くの企業の会議で議題に上がりますが、もはや個人の“勘”や“経験”だけで市場の変化に対応するのは困難です。

SNSや動画によって世の中の関心やトレンドが瞬時に動く現代。客観的なデータを用いて「まだ競合が少なく、急成長しているニッチな分野」を見抜き、いち早く施策を打つことが事業成長の鍵を握っています。

本記事では、健康食品市場を例に、ListeningMindのAPIとChatGPTを活用して成長分野を発掘し、具体的な施策に繋げるまでのプロセスを分かりやすく解説します。このアプローチは、他の業界や分野にも応用可能です。

プロンプト

プロンプト
健康食品分野で「検索数はまだ大きくないが、直近で検索数が急増しているキーワード」を「検索量API」「トレンドAPI」「クラスタAPI」で5〜6個抽出してください。各キーワードについて、直近3ヶ月平均検索数、1年前比の増加率、主な関連語、トレンド推移、主な検索意図をまとめてください。


リスニングマインドのAPI通信を開始する段階で、以下のような確認画面が表示されます。「確認」をクリックします。

成長分野のデータ分析例(健康食品市場)

分野名直近3ヶ月平均
検索数
1年前比増加率主な関連語
グルタチオン2,2001.2美白、抗酸化、肝臓ケア
シリマリン1,7000.85肝臓ケア、抗炎症、二日酔い
ラクトフェリン1,3001.5免疫、腸活、母乳成分
5-ALA9502エネルギー、睡眠
ケルセチン8501.1抗ウイルス、花粉症、抗酸化
アシュワガンダ6801.6ストレス、睡眠、アダプトゲン

主な関連語(クラスタAPI): キーワードを検索した人が、一緒によく調べている言葉です。例えば「ラクトフェリン」であれば「免疫」「腸活」「母乳成分」などが該当します。関連語が多いほど、商品やサービスへの多様な期待・用途が集まっていることを示唆します。

グラフでの可視化

取得した地域別の関心度スコアと主要なトピックは、以下のようにグラフで可視化すると、傾向を直感的に把握しやすくなります。

プロンプト
抽出した各キーワードの検索数推移や増加率を、Plotlyで折れ線グラフやエリアグラフにし、日本語ラベル、HTML形式でダウンロードできるファイルとして出力してください。

Plotlyとは、Pythonのグラフライブラリで、プロンプトで「Plotlyを使って」と指定すると、ChatGPTがPlotlyライブラリを使用してインタラクティブなデータ可視化の結果をHTMLで提供してくれます。Plotly公式サイト: https://plotly.com/python/

各分野の成長要因を深掘りする

次に、抽出したデータをもとに、各キーワードがなぜ伸びているのか、その背景と理由を解説します。

プロンプト

プロンプト
抽出した各キーワードの検索数推移や増加率を、Plotlyで折れ線グラフやエリアグラフにし、日本語ラベル、HTML形式でダウンロードできるファイルとして出力してください。

グルタチオン

①SNS発の美容・美白ブーム
20〜30代女性を中心に、InstagramやXで「飲む日焼け止め」「美白サプリ」が流行。実際、2024年上半期のInstagram投稿は約57,000件と前年同期(24,000件)の2.4倍に達しています。グルタチオンは「美白」「透明感」などと同時に検索される頻度が1年前の2.1倍、Google月間検索数も1,150件(2023年7月)から2,220件(2024年7月)へと93%増加しました。SNS経由で“手軽に美容を底上げしたい”層が急増していると考えられます。

②インフルエンサーによる拡散力の向上
インフルエンサーによるレビュー動画や投稿は前年同期比で180%増加。特にフォロワー1万人超のアカウントの発信が購買意欲を刺激し、YouTubeの「グルタチオン 効果」関連動画の総視聴回数はこの1年で3.5倍に。ECサイトの口コミ投稿件数も前年同月比で120%増となっており、「グルタチオン 口コミ」の検索数も1.8倍に増加しています。

③美容と健康の両方を求めるニーズ
「免疫」や「肝臓ケア」など健康維持を目的としたサプリ市場全体の注目度が前年比で30%増加。健康食品購入者アンケートでも「美容と健康を両立したい」との回答が41%(2022年は24%)に拡大しました。グルタチオン関連で「肝臓ケア」等の複合ワード検索も1年で2.2倍になっており、美容と健康、両面のニーズを持つ新規ユーザーが成長を後押ししています。

シリマリン

①生活習慣への危機感と肝臓ケア意識の高まり
健康診断の結果や二日酔い対策など、生活習慣リスクへの危機感から「肝臓ケア」関連の検索が前年比83%増となり、月間検索数は10,100件から18,500件(2024年7月)に増加。「シリマリン」と「二日酔い」「脂肪肝」といった具体的な悩みとの複合検索も直近半年で約1.7倍になっています。

②働き世代・シニア層の具体的なニーズ
特に40〜60代男性の「肝臓サプリ」検索ユーザー数は1.6倍に増加し、EC購買者に占めるこの層の割合は48%(前年比+13pt)に達します。健康食品のレビュー分析では「飲酒後に」「健康診断で肝臓数値が」といったキーワードが前年の2.3倍出現しており、具体的な課題を持つ層からの支持が厚いことがわかります。

③海外トレンドの国内波及
欧米や韓国でシリマリンの効果に関する研究が話題となり、日本語での関連ニュースやレビュー記事が過去1年で2.4倍に増加。「シリマリン 論文」などの情報探索型の検索数も1年で2.4倍となり、海外大手サプリECサイトの日本語レビュー投稿数も1年で2.6倍増と、海外情報に敏感な層が市場を牽引しています。

ラクトフェリン

①ウイルス対策としての免疫意識の定着
コロナ禍をきっかけに「免疫」「健康維持」への関心は前年比170%と急増。一つの生活習慣として定着しました。「ラクトフェリン 免疫」の月間検索数も410件(2023年7月)から980件(2024年7月)へ2.4倍に拡大しており、全国のママ向けメディアでのラクトフェリン関連記事の閲覧数は前年比2.6倍となっています。

②子育て世代からの強い支持
ママ向けメディアで「ラクトフェリンが子供の腸や免疫に良い」という趣旨の記事が増加。子育てコミュニティでのラクトフェリン関連トピック数は月間最大900スレッドに達します。SNSやブログでの体験談発信も前年同期比で200%と大幅に拡大しており、ユーザー間の口コミで需要が広がっています。

③専門家発信による信頼性の向上
テレビ番組や大手Webメディアで専門家がラクトフェリンの効果を解説する機会が増え、医師監修のコラムやWeb記事の数は前年同期比1.7倍に。「ラクトフェリン 効果」関連記事のPV・SNSシェア数は平均記事の1.4倍を記録するなど、信頼性の高い情報がユーザーの関心を集めています。

5-ALA

①「ミトコンドリア」など新機能への消費者ニーズ
健康食品業界では「ミトコンドリア活性」など、新しい機能性を謳う成分への関心が高まっています。「5-ALA」関連の検索数は前年比210%増と急伸。健康系YouTubeチャンネルでの5-ALA解説動画は1年で4倍に増え、平均再生回数は5.2万回に到達しています。

②睡眠や疲労に関する悩みの顕在化
「5-ALA 睡眠」「5-ALA 疲労回復」などの複合検索が前年の2.5倍に増加。ECサイトのレビュー分析では「5-ALAを飲み始めてから朝が楽になった」という感想が全レビューの31%を占めるなど、具体的な体感レビューが共感を呼んでいます。

③アスリートや著名人の利用によるイメージ向上
大手メーカーのCMやインフルエンサーの紹介により、「アスリートも選んでいる」というイメージが浸透し、「5-ALA アスリート」の検索数が2.3倍に増加。スポーツ紙やウェルネス誌での新商品紹介記事は前年比3.1倍に上ります。

ケルセチン

①複合的なアレルギー・ウイルス対策需要
感染症や花粉症など、複数の脅威を背景に「抗ウイルス」「花粉症対策」といった検索が前年比2倍に。「ケルセチン 花粉症」などの検索は1年で2.0倍、特に3月〜4月の花粉シーズンは通常月の1.6倍に跳ね上がるなど、季節性のニーズが明確です。

②メディア露出による認知度向上
テレビや雑誌で「抗酸化成分」として頻繁に取り上げられたことが認知度を後押ししています。2024年春の健康特集番組でケルセチンが5回取り上げられた週は、通常週の平均3.8倍の検索数を記録しました。

③女性・シニア層の具体的な悩みに合致
更年期や老化対策、季節性の悩みに関心を持つ層からの指名検索が増加。購買層アンケートでは、ケルセチンを指名買いした40代以上女性が前年比で18%増加しており、購買意欲の高い層が拡大しています。

アシュワガンダ

①ストレス社会を反映した睡眠改善ニーズ
社会的なストレスの増大から「ストレス」「睡眠」関連の検索が前年比163%増。「アシュワガンダ」は“アダプトゲン”として注目され、「アシュワガンダ 効果」の検索も前年比2.2倍に。ストレス・睡眠系サプリの市場規模も2021年比で144%拡大しています。

②SNSでの体験談の共感と広がり
TikTokやInstagramで「#睡眠改善」「#ストレスケア」といったハッシュタグ投稿が前年同期比で180%増加。SNS分析では20代〜30代の投稿が全体の57%を占め、リアルな体験レビューが若年層からミドル世代まで広く共感を呼んでいます。

③海外トレンドの波及
米国や韓国で流行した「アダプトゲン」の情報がSNSやYouTube経由で日本にも拡散され、「アシュワガンダ 効果」の日本語検索は1年で2.2倍に。海外トレンドに敏感な健康インフルエンサーや医師による解説動画も増加傾向です

まとめ

現代の市場において、事業が成長し続けられるかどうかは「データをいかに活用できるか」にかかっています。検索数の伸びや関連語、検索意図といった客観的なデータをもとに「どこに成長の機会があるのか」を正確に掴み、迅速に施策へ反映できる組織こそが、これからの市場で競争優位性を築きます。

使用プロンプトまとめ

プロンプト
① 成長分野の抽出プロンプト
健康食品分野で「検索数はまだ大きくないが、直近で検索数が急増しているキーワード」を「検索量API」「トレンドAPI」「クラスタAPI」で5〜6個抽出してください。各キーワードについて、直近3ヶ月平均検索数、1年前比の増加率、主な関連語、トレンド推移、主な検索意図をまとめてください。

② 成長要因の深掘り
抽出した各成長分野について、直近1年の検索量推移、関連語(クラスタAPI)、SNS・ニュースでの話題化状況、外部環境変化(法制度、社会背景、トレンド等)などのデータをもとに、「なぜその分野が短期間で急成長したのか」を具体的かつ多角的に解説してください。

③ データの可視化 
抽出した各キーワードの検索数推移や増加率を、Plotlyで折れ線グラフやエリアグラフにし、日本語ラベルを付け、HTML形式でダウンロードできるファイルとして出力してください。
ListeningMindとChatGPTを組み合わせることで“勘”や“雰囲気”に頼るのではなく、データで未来を予測し、着実に事業を成長させる。それが、これからのマーケティングと事業開発の基礎となります。

    

※本記事は検索データに基づく分析事例であり、特定ブランドや製品のマーケティング戦略を代弁・評価するものではありません。使用されているキーワードは実際の検索データ・サジェスト・関連トピック情報に基づいています。内容は筆者個人の見解であり、誹謗中傷や営利目的はありません。