はじめに
本記事では、「メンズ美容液」市場で成果を最大化するための分析フレームを、実務で使えるステップ形式で解説します。テーマは、多くの企業が見過ごしがちな“取りこぼしキーワード”を発見し、それを具体的なマーケティング施策に繋げる方法です。
男性向けコスメ市場に注力するECマーケターとして、あなたもトレンドに応じて「メンズ美容液」の広告出稿やSEO施策に一通り取り組んでこられたことでしょう。商品ページや特集ページの準備も万端。しかし、日々の運用の中で、ふとこんな思いが頭をよぎることはありませんか?
- 「結局、競合と同じようなキーワードばかり追っていないか?」
- 「本当にウチの売上につながる検索語は、他にあるんじゃないか?」
こうした“もやもや”を解消する鍵は、個人の経験則から一歩踏み出し、データで「伸びしろ」を可視化することです。
そこで本記事では、具体的なツールとしてListeningMindとChatGPTを活用。「重要度は高いのに、自社の検索順位が低い」という、まさに“宝の山”となりうるキーワードを定量的に見つけ出すための実践的な手法をご紹介します。
ステップ1:「メンズ美容液」ジャンルの中で優先度の高いキーワードを抽出する
まずはSEO対策の“土台”となるキーワード選定です。カテゴリとして「メンズ美容液」を起点に設定し、ListeningMindに対して次のような条件でキーワード抽出を依頼します。
使用したプロンプト
「メンズ美容液」ジャンルに関連するキーワードのうち、クラスターapiで重要度が高いもの、かつ検索量apiで月間検索数が競合が激しすぎず、なおかつ流入が見込める中規模ボリューム(500〜2,000件)キーワードを抽出してください。
リスニングマインドのAPI通信を開始する段階で、以下のような確認画面が表示されます。「確認する」をクリックします。
この依頼により、ListeningMindは「メンズ美容液」を起点にクラスタ(関連語ネットワーク)を構成し、ジャンル内での影響力スコア(重要度)と検索ニーズ(検索量)をもとに、施策対象として優先度の高いキーワード群を出力します。これらが、SEO上の“取りこぼし”候補として検討すべき対象になります。
- クラスタapiで重要度が高い(ジャンル内での中心性が高い)もの
- 検索量apiで月間検索数が中規模(おおよそ500〜2,000件)と見込めるもの
キーワード | 重要度 | 月間検索数 |
メンズ美容液おすすめ | 0.910 | 2,400件 |
美容液 メンズ おすすめ 市販 | 0.846 | 1,600件 |
メンズ美容液エイジングケア | 0.765 | 1,600件 |
メンズ美容液 市販 | 0.738 | 1,600件 |
メンズ 美容液 おすすめ 毛穴 | 0.731 | 260件 |
メンズ美容液ドラッグストア | 0.712 | 260件 |
ステップ2:Step1で抽出された各キーワードと、自社サイトの順位をチェックする
ステップ1で抽出した「重要度も検索数も高い注目キーワード」が、本当に自社サイトにとって“取りこぼし”なのかを確認するには、現在の検索順位を把握する必要があります。
そこで、ListeningMindの検索結果apiを活用し、各キーワードにおいて自社ECサイトがGoogleモバイル自然検索の上位20件にランクインしているかどうかを調査します。
使用したプロンプト
以下キーワードについて、urlが Googleモバイル自然検索(上位20件)に表示されているかを、検索結果apiを使って確認してください。
対象キーワード:
・メンズ美容液おすすめ
・美容液 メンズ おすすめ 市販
・メンズ美容液エイジングケア
・メンズ美容液 市販
・メンズ 美容液 おすすめ 毛穴
・メンズ美容液ドラッグストア
Googleモバイル検索結果においてurlがランクインしているかを検索結果apiで調査したところ、以下の通りでした。
キーワード | 掲載順位 |
メンズ美容液おすすめ | 18位 |
美容液 メンズ おすすめ 市販 | 18位 |
メンズ美容液エイジングケア | 20位以内には未掲載 |
メンズ美容液 市販 | 18位 |
メンズ 美容液 おすすめ 毛穴 | 8位 |
メンズ美容液ドラッグストア | 11位 |
- Google自然検索順位:指定キーワードに対して、自然検索結果で該当URLが何番目に表示されているかを示す数値(1〜20位など)
ステップ3:抽出キーワードと実際の検索順位を突合
ここまでで抽出した「SEO施策の有望キーワード」と、実際の検索順位データを突き合わせることで、具体的にどのキーワードを優先的に対策すべきかを定量的に判断できるようになります。
以下は、ステップ1とステップ2のデータを突合し、対策優先度を整理した一覧です。
とくに、「ジャンル内での影響力が高いのに、自社サイトが上位に表示されていないキーワード=流入や売上を逃している可能性のある“取りこぼしワード”」をあぶり出すことが重要です。
キーワード | 重要度 | 月間検索数 | Google自然検索順位 |
メンズ美容液おすすめ | 0.910 | 2,400件 | 18位 |
美容液 メンズ おすすめ 市販 | 0.846 | 1,600件 | 18位 |
メンズ美容液エイジングケア | 0.765 | 1,600件 | 掲載なし(20位以内には未掲載) |
メンズ美容液 市販 | 0.738 | 1,600件 | 18位 |
メンズ 美容液 おすすめ 毛穴 | 0.731 | 260件 | 8位 |
メンズ美容液ドラッグストア | 0.712 | 260件 | 11位 |
さらにこのデータを基に、ヒートマップによる視覚的な分析を試みます。
使用したプロンプト
上記のデータに対して、「重要度」「月間検索数」「Google自然検索順位」を正規化(0〜1スケール)し、ヒートマップで可視化してください。検索順位は、下位に表示されているほどスコアが高くなるように反転スケーリングしてください。
ヒートマップの見方
このヒートマップは、「重要度」「月間検索数」「Google自然検索順位」の3つの指標をそれぞれ0〜1の同一スケールに正規化し、色の濃淡で可視化したものです。
- 重要度:ジャンル内での影響力の高さを示す指標(クラスタapiによる算出)。
- 月間検索数:検索ニーズの大きさを示す指標(検索量apiから取得)。
- Google自然検索順位:検索結果での掲載状況を示す指標で、下位に表示されているほどスコアが高くなるように反転スケーリング(例:18位は高スコア、1位は低スコア)
色が濃いセルほどスコアが高く、対策価値が高いことを意味します。
つまり、3つの指標すべてで濃いセルを示すキーワードほど、SEO強化の優先順位が高いと判断できます。
たとえば「メンズ美容液おすすめ」は、重要度・検索数ともに上位で、検索順位も高くないことから、流入ポテンシャルが非常に高い“取りこぼしキーワード”といえます。検索数は2,400件と中規模(500〜2,000件)をやや上回りますが、それを補って余りある市場影響力を持っており、競合が多い領域でも積極的に施策すべき対象と判断されます。
このようにヒートマップを使うことで、“検索ニーズ×影響力×順位ギャップ”の3軸から優先キーワードを視覚的に選定することが可能です。施策の狙いどころを定量的に把握し、効果的なSEO強化を進めるうえで有効なアプローチです。
まとめ
このように、クラスタapi・検索量api・検索結果apiを組み合わせることで、従来は属人的な判断に頼っていたSEO施策の優先順位を、定量的に可視化・明確化できます。
本当に対策すべきキーワードを、流入ポテンシャルと現状の検索順位のギャップから客観的に特定できるため、施策の精度と成果の再現性が大幅に向上します。
さらに、その結果をもとにSEO強化や広告出稿の優先順位も明確になるため、マーケティングの実行判断をより戦略的かつデータドリブンに進めることが可能になります。
使用したプロンプトのまとめ
「メンズ美容液」ジャンルに関連するキーワードのうち、クラスターapiで重要度が高いもの、かつ検索量apiで月間検索数が競合が激しすぎず、なおかつ流入が見込める中規模ボリューム(500〜2,000件)キーワードを抽出してください。
以下キーワードについて、urlが Googleモバイル自然検索(上位20件)に表示されているかを、検索結果api(serp_by_google_serp_post)を使って確認してください。
対象キーワード:
・メンズ美容液おすすめ
・美容液 メンズ おすすめ 市販
・メンズ美容液エイジングケア
・メンズ美容液 市販
・メンズ 美容液 おすすめ 毛穴
・メンズ美容液ドラッグストア
上記のデータに対して、「重要度」「月間検索数」「Google自然検索順位」を正規化(0〜1スケール)し、ヒートマップで可視化してください。検索順位は、下位に表示されているほどスコアが高くなるように反転スケーリングしてください。
注記
※本記事は、検索データに基づく分析事例であり、特定のブランドや製品のマーケティング戦略を代弁または評価することを目的としたものではありません。
使用されているキーワードは、実際の検索ボリューム、サジェスト、関連検索語などの情報をもとに収集されたものであり、消費者の関心や情報探索パターンを理解するための分析例として提示しています。
記載されているブランド名および製品は、分析構造を説明するための事例として引用しており、各企業の公式な見解や実際の施策とは関係ありません。本文の内容は筆者個人の見解に基づくものであり、誹謗中傷、歪曲、営利目的は一切含まれておりません。