【日米韓データ比較】Beauty of Joseonが米国検索3位に急浮上─日米韓で異なるブランドポジションとは?

1. アメリカの日焼け止め市場はどれほど大きい?

アメリカの化粧品市場はカテゴリーが非常に多岐にわたりますが夏場に検索数が急増する代表的アイテムが『日焼け止め』です。

インテントファインダーで「Sunblock」と「Sunscreen」というキーワードを調査したところ、検索量は6月にピークを迎え、12月に最も低くなるという明確な季節トレンドが確認されました。
さらに、関連キーワードは約5万件、年間検索ボリュームは5,162万件超に達しており、日焼け止めに対するアメリカ市場の関心の高さが際立っています

2. Beauty of Joseon(以下、BOJ)とは?

検索上位には、意外なブランドがランクインしています。それが、韓国発のスキンケアブランド「Beauty of Joseon(BOJ/ビューティーオブジョソン/朝鮮美女)」です。
「Beauty of Joseon Sunscreen(BOJ 日焼け止め)」は、アメリカの日焼け止め関連のキーワードの中で、検索量で全体3位にランクインしており、その注目度の高さがうかがえます
検索推移を見ると、2022年初頭からじわじわと上昇し、2024年7月には月間検索数20万件を突破。現在もなお高水準を維持しており、関心の継続が見られます。

3. 日本と韓国市場におけるBOJのブランドポジション

アメリカで急成長を遂げているBOJですが、日本や韓国ではどのような位置づけのブランドなのでしょうか?
単なる海外向けのトレンド商品なのか、それともアジア圏でも浸透しつつある本格的なグローバルブランドなのか。
インテントファインダーの検索データから、日本・韓国市場における認知度や検索傾向を比較分析しました。

JP 日本市場におけるBOJの現状と可能性

① 検索数はまだ限定的ながら、成長スピードは圧倒的
月平均検索量は約3.7万回、年間では29万回に達しており、まだ規模は小さいものの、認知の広がりは急加速中です。
特に注目すべきは、「朝鮮美女 日焼け止め」は3か月前と比較して+27%増加、「パック」は+276%増加している点です。

② 「購入直前」の検索が中心
CPCは低めに抑えられている一方で、広告競争度は90以上と高く、多くの広告主が出稿を狙う“売れるキーワード”として注目されていることが分かります。
これは、ユーザーが購入直前フェーズで検索しているケースが多く、トラフィック特性がコンバージョンに直結しやすいことを示しています。

KR 韓国市場におけるBOJの浸透状況

月間5万超・年間53万回以上の検索量で、既にブランド認知を獲得
「Beauty of Joseon(조선미녀)」「日焼け止め」「米サンクリーム」「セラム」など、複数の製品名や成分キーワードでの検索が行われており、ブランド単体ではなくラインナップ全体の認識が広がっているのが特徴です。

ブランド名のみでの検索が顕著
「Beauty of Joseon(조선미녀)」というキーワード単体での検索量が、月間19,000回以上と非常に高く、BOJが“話題のコスメブランド”として確実に定着していることが伺えます。

③ SNSコンテンツとの高い連動性
中でも「米サンクリーム」の検索量が3か月前と比較して+41%と大きく伸長。他にもティントやセラムなどの検索も上位に入り、「SNS上のレビューが製品検索に繋がる構図が見て取れます。

このように、韓国ではブランドとしての認知が確立し、日本では新たな選択肢として拡大中アメリカでは検索起点のブームが進行中という、日・米・韓それぞれ異なる成長フェーズを持つブランドモデルが形成されつつあります。

4.BOJ vs EltaMD — アメリカ市場におけるリアルな競合構図

クラスターファインダーによる分析の結果、BOJと頻繁にセットで検索されているブランドが「EltaMD」であることが明らかになりました。つまり、消費者がこの2つのブランドを“比較対象”として認識していることを意味しています。

そこで両ブランドのカスタマージャーニーを比較し、意思決定プロセスや関心の違いを分析しました。

○ 購買ジャーニー比較分析:BOJ vs EltaMD

■ BOJ:トレンド起点の共感型ジャーニー

トレンド認知:K-Beauty関連のSNSや口コミでブランドを認知
ブランド探索:日焼け止めやセラムなどのレビューをチェック
製品選定:「Sunscreen」「Tinted」「Stick」などを比較し検討
購入決定:AmazonやSephoraで価格・クーポンを確認して購入
使用後:使用感を検索・共有し、気に入ればリピートへ

■ EltaMD:課題解決型の専門志向ジャーニー

問題認識:肌荒れ・敏感肌などをきっかけに情報収集
専門性検証:「Dermatologist recommended」などで到達
製品研究:「UV Clear」「UV Daily」などの詳細を比較
価値評価:口コミ・価格・安全性を多面的に評価
購入実行:皮膚科や専門店経由で購入・継続使用へ

このように、BOJは“共感・トレンド重視型”、EltaMDは“専門性・信頼重視型”のカスタマージャーニーを構築しており、訴求軸やタッチポイント設計に大きな違いが見られます。

○ 主な違いまとめ

項目Beauty of Joseon(BOJ)EltaMD
初期接点SNS・口コミなどトレンド起点肌悩み・専門家の推奨
判断基準コスパ重視+感性的評価効果・専門性・信頼性
購入チャネルオンライン(Amazon, Sephora)オフライン(皮膚科・専門店)中心
情報源SNS・レビュー・コミュニティ医療系フォーラム・YouTubeなど
リピート傾向複数製品を試す傾向同一製品を継続使用

まとめ:検索データが描き出す、2つのブランドの“存在意義”

「BOJ」と「EltaMD」は、単なる競合ではなく、異なる戦略軸に立つ並行ブランドであることが検索データから浮かび上がります。

  • BOJはトレンドと共感を軸に成長するトレンドドリブン型ブランド
  • EltaMDは課題解決と信頼を軸に支持されるソリューションドリブン型ブランド

検索の起点・情報源・購入チャネルもまったく異なるこの2ブランドは、異なるカスタマージャーニーを構築しながら共存しています。
つまり、検索データを深掘りすることで見えてくるのは、商品比較の枠を超えた、ブランドと生活者との関係性そのものだと言えるでしょう。

◎ リスニングマインドで、日米韓のブランド調査を!

リスニングマインドでは現在、日本・韓国市場に加え、2025年7月末より米国検索データの提供を開始いたします。これによりアジアと北米をまたいだグローバルな検索分析が可能となり、ブランド戦略における新たな一手を導くサポートがさらに強化されます。
今後も、検索という“行動データ”を通じて、各国の生活者の思考や価値観を読み解くインサイトをお届けしてまいります。

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