お酒・コスメ・ヘッドホンの消費者インサイト[マーケティングWeek-春2024-]

4月17日(水)~19日(金)に開催された「マーケティングWeek(春)」にリスニングマインドが初出展しました。マーケティングWeekは日本最大級のマーケティング総合展示会で、今回は3日間で2万4千名以上が来場されました。

今回、マーケティングWeekに合わせて準備した酒類・コスメ・ヘッドホン市場のインテントデータレポートをご紹介します。

検索データに注目するべき理由

データのジレンマ

消費者の真の指向性を分析するにはバイアス(偏向)のない消費者全数データが必要です。
しかしほとんどのデータは、パネルデータであったり、バイアスが入ったデータです。

CRMデータは正確ですが、既に自社の顧客であるユーザーのデータであり、まだ自社の顧客でない、自社を認知していないユーザーを分析するには不十分です。
アンケートやFGIは、出題者が求めている答えに誘導されたり、無意識のうちに周りの意見に影響を受けたり、“自分を良く見せたい”という思いから理想の自分を演じてしまうことがあります。マクドナルドのサラダマックが事例として挙げられるでしょう。

検索データはバイアスのない全数データであり、消費者を理解するのに理想的なデータソースであると言えます。
私たちは1日に何度も検索行為をしており、昨日何を検索したかも思い出せないくらい、無意識のうちに行っています。検索データでは、他人に見られることを意識しない、“ありのままの自分”が求めているものが見えるのです。

お酒:ウイスキーの消費者インサイト

酒類市場の規模

検索データで見た酒類市場
インテントファインダーで見た酒類市場

厚生労働省が2月に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。
酒類市場の縮小が懸念される中、国内の酒類市場がどうなっているのかを検索データで見てみました。
月平均検索量は5800万回、年間6億回以上検索されている大きな市場です。
ウイスキーの検索量が22年の年末から伸びており、山崎ウイスキーが月平均128,333回も検索されていることが分かりました。

山崎ウイスキーを検索するユーザーの目的

山崎ウイスキーを検索する目的
ペルソナビュー:山崎ウイスキーを検索している目的

山崎ウイスキーの前後に検索されているキーワードから、山崎ウイスキー検索しているユーザーを目的ごとに分類すると大きく3つに分けられました。
1.山崎ウイスキーを手に入れたい+賢く買いたいユーザー
2.山崎のハイボール缶を購入したいユーザー
3.蒸留所に興味があるユーザー


山崎ウイスキーが入手困難で、抽選販売がされているということや、
コンビニなどでハイボール缶を購入したいユーザーがいること、
家で飲むだけでなく、蒸留所の見学(体験)を求めているユーザーもいることが分かりました。

コスメ:リップの消費者インサイト

コスメ市場を見ると、リップに関する検索が月平均1300万回、年間1.4億回以上検索されており、コスメの中でもトップを争う大きな市場であることが分かりました。

 リップモンスターの購入過程

リップモンスターの検索経路
パスファインダー:リップモンスターの前後の検索経路

指名検索1位の “リップモンスター”(月平均249,333) を検索した後の検索経路を見てみました。
・年齢やパーソナルカラー別の人気色が知りたいユーザー
・新作・限定・発売日の情報を求めているユーザー
・色番号やカラー名での検索
既に購入意思を持っているユーザーが多いということが判明。

ロムアンド リップの購入過程

ロムアンドの検索経路
パスファインダー:ロムアンドリップの前後の検索経路

 次に“ロムアンド リップ”(月平均167,000) の前後の検索経路を見てみました。
•ローソンやサンリオなどコラボ関連の検索
•パーソナルカラー別の人気色を検索(色番号やカラー名の検索は少ない)
•ブランド情報や公式サイト、色一覧を検索
→認知はされているが、購入のための正確で信頼できる情報が欲しいユーザーがいることが判明。

ブランドや商品によってユーザーが求めていること、検索経路が異なるということが分かりました。

ガジェット:ヘッドホンの消費者インサイト

イヤホン、ヘッドホン、スピーカーなどの音響市場について見たところ、既に有名ブランドがシェアを確保しているため、ブランド指定の検索が多かったです。

ノイズキャンセリングが必要な人、シーンは?

ノイズキャンセリングが必要なシーン
クラスターファインダー:ノイズキャンセリングを検索する目的

多くのユーザーに求められているノイズキャンセリング機能。
どのような場面で、どのようなユーザーが必要としているのかを見てみたところ、
集中したい時:勉強用(受験生)やテレワーク用
移動時:通勤通学などの電車や飛行機の中
聴覚過敏の対策
子供対応というニーズが見えました。

子供対応ノイズキャンセリング:実際に使用するユーザーが異なる2つのペルソナ

子供対応ノイズキャンセリングというクラスターをAIで分析してみたところ、実際に使用するユーザーが異なる2つのペルソナが見つかりました。

子供対応ノイズキャンセリングのAI分析
AIレビュー:子供対応ノイズキャンセリングの分析結果

(AIによるペルソナ分析結果)

ペルソナ1. 赤ちゃんの泣き声に悩む親
検索ワードには「ノイズキャンセリング」と「子供の声」が含まれており、検索結果には赤ちゃんの泣き声に関する情報が多い。この親は赤ちゃんの泣き声によるストレスや騒音に悩んでおり、その対策としてノイズキャンセリング機能を持つ製品を探している可能性が高い。
 – 質問リスト:
1) 赤ちゃんの泣き声にも、ノイズキャンセリング機能のイヤホンやヘッドホンは効果がありますか?
2) 赤ちゃんの泣き声によるストレスを軽減するために、どんな種類のノイズキャンセリング製品がおすすめですか?
3) 赤ちゃんの泣き声を聞きながらでも音楽を楽しむために、ノイズキャンセリング製品が必要でしょうか?


ペルソナ2. 子供向けのノイズキャンセリング製品を探す保護者
検索ワードには「ノイズキャンセリング」や「子供の声」が含まれており、検索結果には子供向けのノイズキャンセリング製品に関する情報が多い。この保護者は子供が騒音や外部の音に敏感であることを考慮し、子供向けのノイズキャンセリング製品を探している可能性が高い。
 – 質問リスト:
1) 子供向けのノイズキャンセリング製品は、どのような特徴、機能が重要?
2) 子供が長時間使用しても安全なノイズキャンセリング製品は?
3) 子供向けのノイズキャンセリング製品を選ぶ際に注意すべきポイントは?

このようにリスニングマインドを使うとペルソナの分析と各ペルソナが持っている疑問を簡単に把握することができます。


本記事はインテントデータレポートの一部を抜粋し、作成しました。
是非、フルVerのレポートをダウンロードし蒸留所が人気のウイスキーメーカーや、コスメブランド間の流出過程などもご確認ください!

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