SEOとGEOの違いとは?AI検索時代の検索行動とマーケティング戦略

ChatGPTの登場によって「検索はなくなるのではないか?」という議論が広がりました。
しかし実際には、検索そのものが消えたわけではなく、その形が大きく変化しています。

本記事では、AI時代における検索行動の変化と、SEO・GEOを含めた新しいマーケティングの考え方について解説します。

この記事のポイント

・AIの登場によって検索行動は「消えた」のではなく「圧縮」された
・AI検索ではプロンプトが長くなり、ブランド名が直接推薦される機会が増える
・SEOとGEOは対立する概念ではなく、統合して考える必要がある
・AI検索時代では「Top of Mind」より「Top of CEP」が重要になる

AI時代における検索環境の変化

ChatGPTの登場で検索市場はどう変わったのか

2023年、ChatGPTの登場は世界に大きな衝撃を与えました。
週次アクティブユーザーは昨年2月時点で約4億だったものが、直近では8〜9億人規模まで増えていると言われています。

この急成長を受けて、多くのマーケターが「これからは、検索をしなくなるのではないか?」という疑問を抱いたはずです。
しかし、実際のデータはこの予想とは異なっていました。

chatgptの週間アクティブユーザー数の推移とGoogleのシェア率を表したグラフ

Googleの検索シェアは一時的に下がったものの、昨年3月以降は持ち直しており、グローバルでは依然として89〜91%のシェアを維持しています。
また「AIサービス市場」も、ChatGPTが大部分を占めているように見えますが、実際にはGoogleのAI Overviewが圧倒的なシェアを持っています。

つまり、人々はわざわざ新しいAIサービスを探して利用するのではなく、普段から使っているGoogle検索の中でAIが回答してくれることに満足しているということです。

ゼロクリックの増加

AI Overviewが普及するにつれて、ゼロクリック(Zero Click)現象が顕著になりました。
ゼロクリックとは、検索結果ページを確認したものの、どのWebサイトもクリックせず、検索ページ上でそのまま答えを得る行動を指します。

従来の検索結果ページとAI overviewが表示される検索結果ページを比較した図

2024年時点では、ゼロクリックの割合は約60%にまで増加したと言われており、多くの人が「SEOはもう意味がなくなるのでは?」と感じたかもしれません。

しかし、ゼロクリックはAIによって突然生まれた現象ではありません。
ChatGPTが世界的な注目を集めた2023年1月以前の時点で、ゼロクリック率はすでに50%を超えていました。

ゼロクリック率の推移を表したグラフ



天気を検索したとき、サイトをクリックせずに検索結果ページで確認する方も多いと思います。
つまり、AIはこの流れを新たに生み出したのではなく、加速させただけなのです。

しかし、ゼロクリックの増加はブランドと消費者の接点が減少しているというサインです。
これまでは、
検索結果の表示 → クリック → Webサイト訪問 → リード獲得/ブランド体験
という流れが一般的でした。
しかし、このユーザージャーニー自体が検索結果ページの中で完結してしまうケースが増えているのです。

実際、これまで約25年間ほぼ連動して動いていた「インプレッション(表示)」と「クリック」という指標が、2024年3月以降、初めて乖離し始めています。

Evolve2025でahrefsが発表した表示数とクリック数の乖離を表すグラフ

LLM経由トラフィックのコンバージョン率

一方で面白いデータもあります。
SEO業界で広く利用されている有料ツールAhrefsの分析によると、LLM(生成AI)から流入するトラフィックは全体のわずか0.5%に過ぎませんでした。実際に、弊社のGEOプロジェクトに参加している企業でも、AI経由の流入はおおよそ0.5〜2%程度というケースがほとんどです。

「それなら、AI検索はそれほど重要ではないのでは?」と思うかもしれません。
しかし実際には、有料購読へのコンバージョンの12.1%がLLM経由のトラフィックによるものでした。
全体トラフィックに占めるLLM流入はわずか0.5%に過ぎませんが、オーガニック検索流入と比べて約23倍のコンバージョン率を記録しています。

LLM経由の流入割合とコンバージョンのうち、LLM経由トラフィックの割合を表示した図

このような現象から、AIを通じて訪れるユーザーは、すでに必要な情報を十分に理解した状態でサイトを訪問しているということが分かります。

多くのユーザーはAIの回答を見て、そのまま検索を終えてしまいますが、あえてクリックしてサイトまで訪れるユーザーは、すでに比較・検討を終えているケースが多く、そのまま購入や契約につながりやすいということです。

ブランド担当者の視点で見ると、流入数は多くなくても、非常に質の高い顧客と出会える可能性があることを意味しています。

AI検索は確実に消費者の行動を変え始めており、同時に新しいマーケティングの機会も生み出しています。
つまり、検索行動そのものがなくなったわけではなく、AIの登場によって検索の形が変化していると言えるでしょう。

AIはどのように検索するのか

AI検索で自社のサイトや商品が引用・提案されるためには、まずAIがどのように検索し、どのように回答を生成しているのかを理解する必要があります。

従来の検索過程とai検索過程を比較した図

従来の検索の仕組み

例えば、「6畳の部屋におすすめのエアコン」を探すケースを考えてみましょう。

ステップ1
「6畳 エアコン おすすめ」と検索
→ ダイキン、日立、パナソニックなどのブランドを確認

ステップ2
「ダイキン エアコン 6畳 価格」「日立 エアコン 6畳 おすすめ」
→ モデルや価格帯を確認

ステップ3
「ダイキン エアコン 口コミ」「日立 エアコン 口コミ」
→ 実際のユーザー評価を確認

ステップ4
「日立 エアコン 設置費用」「ダイキン エアコン 電気代」
→ 初期費用やランニングコストを確認

購入決定

従来の検索では、ユーザーは段階的に検索しながらファネルを進んでいくと考えられています。それぞれの検索に対して、検索エンジンはその質問に対する答えだけを提示するという仕組みです。

AI検索の仕組み

一方で、AI検索はまったく異なります。
AIは、ユーザーが次に何を質問するかをある程度予測しているため、ユーザーが複数回に分けて質問すると想定される内容を、最初からまとめて回答します。

質問1. 「6畳の部屋に合うエアコンをおすすめして」

AIは次のようなプロセスで情報を処理します。

初期探索:どのような製品があるのか
情報探索:各ブランドの特徴は何か
体験探索:ユーザーの評価はどうか
購入判断:価格や設置費用はどう
すべての情報を統合し、一度に回答を提示

多くの人は、AI検索のほうが圧倒的にスマートだと感じるはずです。
そのため、多くのブランド担当者が「これからはAI検索に完全に移行するのではないか?」と不安を感じたのです。

しかし実際には、約70%のユーザーは依然として従来型の検索を好んでいます。
AIが長い回答を生成するのを待つよりも、必要な情報を自分でクリックして素早く見つけるほうが便利だと感じる人が多いためです。
特に、外出中など急いで検索する場合には、AIの長い回答はむしろ不便に感じられることもあります。

一方で、約20〜30%のユーザーはAI検索のような深い情報提供を好む傾向があります。
そのためGoogleやBingも、検索を完全にAIに置き換えるのではなく、上部にAI Overview/下部に従来の検索結果という構造を採用しています。

検索ジャーニーが「消えた」のではなく、「圧縮された」だけです。
ユーザーは今でも情報を収集し、内容を理解し、比較検討を行い購入を決定しています。
ただし、AIがそのプロセスを短時間でまとめて提示しているのです。

AI検索ではプロンプトが長くなる理由

ここでもう一つ、大きな変化があります。
検索エンジンでは多くの場合、「プロテインバー おすすめ」のような短いキーワードで検索します。
しかし、AIに質問するときは、「仕事帰りにジムへ向かう20分の間に食べられる、手が汚れないプロテインバーをおすすめして」のように長く入力します。

GoogleとchatGPTの入力単語数を比較した図

海外では、検索エンジンとAI検索で使用される単語数が約30倍に増えたというデータもあります。
実際に自分が検索する場合でも、AIのほうが長く入力しているのではないでしょうか。

プロンプトが長いほど質問の解像度が高くなります。そのためこの変化はブランドにとっても重要です。

AIはユーザーの状況や目的を、より詳細に理解できます。
そして、長く質問を入力したユーザーの期待値も高くなります。
具体的な質問をしている以上、回答も具体的でなければ満足されないのです。

この変化は、ブランドにとって重要な意味を持ちます。
具体的なプロンプトになるほど、AIはより具体的なブランドを提案するようになります。
その結果、単なるカテゴリー紹介ではなく、特定のブランド名や製品名が最初の回答から直接言及される機会が生まれるのです。

AIがインテントを分析する5つのレイヤー

AIはプロンプトを受け取ると、次の5つの軸で分析します。

  1. CEP(カテゴリーエントリーポイント):購入が発生する状況やコンテキスト
  2. Nano Intent(ナノインテント):ユーザーの具体的な意図
  3. Buying Factor(購買決定要因):購入に影響する制約条件
  4. RTB(Reason to Believe):購入を後押しする根拠
  5. Emotion & Sentiment(感情):感情や緊急性


1つ例として挙げると、

プロンプト:「トイレットペーパーが残り2ロールしかないんだけど、明日の朝7時の出勤前までに届く方法ある?」
AIの分析
・CEP:トイレットペーパーが残り少ないという状況
・Intent:緊急購入
・Buying Factor:翌朝7時までの配送
・RTB:確実な即日配送
・Sentiment:焦り・不安
「Amazonの当日配送を利用するのがおすすめです」

AIは単に単語を理解しているのではなく、その言葉の背後にある状況・感情・緊急性まで理解しています。
こうした理解の仕組みは、検索最適化の考え方にも大きな影響を与えています

SEOとGEOの違い

検索技術の進化と呼び方の変化

最近、マーケティング業界では「SEOなのか、それともGEOなのか」という議論が増えています。
競合する概念だ、まったく別のものだ、同じものだなど、さまざまな意見があります。

結論から言うと、SEOとGEOは単なる名称の違いであり、目指す目的は共通しています。

検索技術が進化するたびに、ブランドや企業は「どのようにコンテンツを最適化すればよいのか?」という課題に向き合ってきました。

そして、その時代の検索技術に合わせて、最適化の考え方や呼び方が変化してきただけなのです。
現在も AEO、GEO、LLMO などさまざまな言葉が使われていますが、本質的には同じ文脈で語られることが多い概念です。

SEOとGEOの違い

SEOとGEOは、目指す目的という点では共通しています。
しかし、具体的なアプローチにはいくつかの違いがあります。

区分SEOGEO
目的検索結果で上位表示し、クリックを獲得するAI回答内でブランドや製品が言及・引用されるようにする
最適化の基準国別(日本、アメリカ、イギリスなど)言語別(日本語、英語など)
対象範囲自社サイト中心(オウンドメディア)自社サイト+アーンドメディア+ソーシャルメディア全体
主要要素キーワード、バックリンク、テクニカルSEOCEP、コンテキスト、ソーシャルプルーフ

【SEOとGEOの共通点】
・テクニカルな要素とコンテンツの両方が重要
・最終的な目的は、ビジネス成果の創出
つまり、検索環境が変化しても、「検索を通じてユーザーに価値を届け、ビジネス成果につなげる」という本質は変わりません。

【GEOの特徴】
GEOでは、自社サイトだけを最適化すればよいわけではありません。
ブランドが言及されるあらゆる場所を包括的に管理する必要があります。
・ブログ
・ニュースメディア
・ソーシャルメディア
・コミュニティ(掲示板など)
など。

AIは回答を生成する際に、複数の情報源を総合的に判断するためです。

例えば、自社サイトで「この製品は素晴らしい」と書いているだけでは、AIがそれをそのままおすすめするとは限りません。
実際のユーザーによるレビュー、コミュニティでの評価、専門メディアのレビューなど、第三者の情報が組み合わさって初めてAIの回答に反映されます。

SEOとGEOは分けて考えるべきか

SEOとGEOの共通部分の割合を表した図

研究によると、SEOとGEOの共通部分は約40%とされています。
これは、検索結果の1ページ目に表示されるコンテンツが、AIの回答にも含まれる割合を基準にした数値です。

SEOとGEOを完全に分けて運用するのは現実的ではありません。
理由は次の通りです。

  • テクニカルSEOはGEOでも重要
  • Schemaマークアップなどの技術的要素も必要
  • GEO向けコンテンツもSEOの観点で機能する必要がある

実際のプロジェクトでも、SEOとGEOを統合して取り組むケースがほとんどです。
SEOは単独でも実施できますが、GEOはSEOの基盤の上で機能することが多いためです。

ブランドの新しい顧客:人とAI

これまでマーケターが向き合う顧客は、基本的に「人」だけでした。
しかしAI検索の時代では、もう一つの顧客がいます。それがAIです。

つまり、これからのマーケターは2つの顧客を同時に意識する必要があります。
:商品を認知し、実際に購入する顧客
AI:ブランドを理解し、ユーザーに推薦するデジタル顧客

人にブランドを伝える方法

これまでブランド認知を高める方法は、主に次のようなものでした。

  • TV広告やYouTube広告などのプッシュ型広告
  • SNSマーケティング
  • インフルエンサーとのコラボレーション
  • オフラインイベント

こうした施策を通じて、人の記憶の中にブランドを残すことがマーケティングの基本でした。

AIにブランドを理解させる方法

一方で、AIにブランドを認識させる方法はまったく異なります。
AIに対しては、広告で大量に露出することはほとんど効果がありません。

代わりに重要になるのがCEP(カテゴリーエントリーポイント)とブランドを結びつけることです。
AIはプッシュ型広告のような形では学習しません。
ユーザーがブランドを探す具体的な状況や文脈、つまりカテゴリーエントリーポイントと結びついた情報があって初めて、そのブランドを理解します。

Top of MindからTop of CEPへ

Top of mindからTop of CEPへと変化していることを伝える図


従来のマーケティングでは、Top of Mindが重要だと考えられていました。
例えば、「スニーカーといえばどのブランド?」と聞かれたときに「ナイキ」とすぐに思い浮かぶ状態です。
しかしAI検索時代では、Top of CEPを意識する必要があります。

「冬でも履きやすい、幅広のランニングシューズは?」のように、AI検索ではより具体的な状況や条件を含む質問が増えています。
そのため、ブランドはそれぞれの具体的なCEPにおいて、自社ブランドが想起されるかどうかを管理する必要があります。

なぜならAIは、「スニーカーおすすめ」のような曖昧な質問よりも、「冬に履きやすい幅広のランニングシューズ」のような具体的なプロンプトをもとに回答を生成するからです。

AI検索時代のブランド戦略

これからのマーケティングでは、特定のCEPにおいて、自社ブランドが最初に想起されることが重要になります。

つまり、それぞれのCEPで「最初に呼び出されるブランド」になることが、AI検索時代の新しいマーケティング目標になります。

まとめ

AIの登場によって、検索そのものが消えたわけではありません。
しかし、検索の仕組みとユーザーの情報収集プロセスは大きく変化しています。

この変化により、ブランドは単に検索結果で上位表示されるだけでなく、
AIが回答を生成する際に引用・提案される存在になることが重要になっています。

そのためには、SEOとGEOを切り分けて考えるのではなく、検索とAIの両方を前提としたコンテンツ戦略を設計する必要があります。
特にAI検索時代では、Top of Mindだけでなく、Top of CEPが重要になります。

AI検索の普及は、ブランドにとって新しいリスクであると同時に、具体的な質問文脈の中でブランドが直接提案される新しい機会でもあります。

本記事では、AI時代における検索行動の変化と、SEO・GEOの基本的な考え方を整理しました。

CEPの見つけ方やGEOにおけるプロンプト設計手法、AI検索結果の評価基準など、実践に必要な内容は『GEO時代のブランド生存ガイド』プレイブックにて詳しく解説しています。

GEOを実行に移すための具体的なフレームワークや事例については、ぜひプレイブックをご覧ください。


GEO時代のブランド生存ガイドのレポートの表紙

FAQ

SEOとGEOの違いは何ですか?

SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジンの検索結果で上位表示を目指すための最適化です。
一方GEO(Generative Engine Optimization)は、ChatGPTやAI Overviewなどの生成AIが回答を生成する際に、自社のブランドやコンテンツが引用・提案されるように最適化する考え方を指します。
両者は対立する概念ではなく、SEOを基盤としながらAI検索にも対応する形で発展していると言えます。

AI検索が普及するとSEOは不要になりますか?

いいえ、SEOが不要になるわけではありません。
AI検索が回答を生成する際にも、検索結果に表示されるWebページや信頼できる情報源が参照されることが多いためです。
そのため今後は、検索結果での上位表示を目指すSEOに加えて、AIの回答に引用されることを意識したGEOの視点も重要になります。

GEO対策では自社サイト以外の情報も重要ですか?

はい。GEOでは、自社サイトだけでなく、ブランドが言及されているさまざまな情報源が重要になります。
例えば以下のような情報です。
・ニュースメディアの記事
・ブログやレビュー記事
・SNS投稿
・コミュニティでの口コミ
AIは複数の情報源を総合的に判断して回答を生成するため、こうした外部情報もブランド評価の材料になります。

AI検索時代のマーケティングで重要なポイントは何ですか?

AI検索時代では、検索結果で上位表示されるだけでなく、AIが回答を生成する際にブランドが引用・提案されることが重要になります。

そのためには、以下のようなポイントを意識したコンテンツ戦略が求められます。
・自社ブランドが引用・提案されるべきCEPの特定
・検索意図に沿ったコンテンツ設計
・信頼できる外部メディアでの言及
・CEPごとにブランド想起を高める施策

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