【レポート】大阪万博が残した関心のかたち─日米韓の検索データ比較

2025年の開幕を前に注目を集めた大阪・関西万博は、10月にその幕を閉じました。しかし、開催前後で世界の関心がどのように変化したのかを把握することは、今後の国際イベントや観光戦略を考えるうえで非常に重要です。

ListeningMindでは、検索データをもとに日本・アメリカ・韓国の3か国の生活者が大阪万博をどのように捉え、どのような意図で検索していたのかを分析しました。本記事では、インテントデータレポート「日米韓消費者から見た大阪万博の関心比較」 の一部を抜粋してご紹介します。全体レポートはこちらからご確認ください。

国ごとに異なる関心の高まり

日米韓3か国の検索量推移を見ると、万博への関心がそれぞれ異なるタイミングと目的で高まっていたことが分かります。日本では開幕直前の4〜5月に大きなピークを迎え、「チケット」「アクセス」など実際の来場準備に関する検索が集中。
一方、アメリカでは「World Expo」「Expo 2025 Osaka」などグローバルイベントとしての情報探索が中心で、韓国では「大阪旅行」「観光」「チケット」など観光計画と結びついた関心が見られました。
このように、同じイベントでも国ごとに「関心が高まる時期」「検索テーマ」「目的」が異なる構造が可視化されました。

日本で関心を集めたトピック

日本国内では、「パビリオン」「キャラクター」「テーマソング」など、体験や楽しみ方に関する検索が目立ちました。
さらに「チケット」「混雑状況」「アクセス」など、実際に行くための情報収集も継続的に発生しており、万博を“観る”だけでなく“参加するイベント”として捉えていたことが分かります。
特に「未来社会」「SDGs」「AI」「ロボット」などの検索増加からは、展示そのものを通して未来への期待や学びを求める姿勢も読み取れます。

検索経路に見る日米韓の関心構造の違い

検索パスの比較から、日本・アメリカ・韓国のユーザーが大阪万博をどのような文脈で捉えていたかが明らかになりました。

日本では「チケット」「パビリオン」「キャラクター」「アクセス」など、来場を前提とした具体的な行動検索が中心。
展示内容や混雑情報まで細かく調べるなど、“参加のための情報探索”に軸が置かれています。

アメリカでは「expo osaka」「world expo」「expo 2025 dates」など、万博をグローバルイベントの一環として位置づける検索が多く、実際の観覧よりも万博の意義や国際的なテーマへの関心が目立ちました。

一方、韓国では「大阪美術館」「京都美術館」など、文化・展示施設と万博を結びつける検索経路が特徴的。「チケット」「口コミ」などの実務的な語も見られますが、観光や文化体験の延長としての万博という認識が強い傾向です。

つまり、日本=体験型イベント/アメリカ=国際的意義/韓国=文化的訪問体験というように、万博への関心は国ごとに異なる視点から形成されていたことが分かります。

まとめ

検索データを通して見えてきたのは、同じイベントでも国によって“関心の意味”がまったく異なるということ。日本では「体験」、アメリカでは「意義」、韓国では「文化」というように、大阪・関西万博はそれぞれの国の価値観を映し出す鏡となりました。

関連レポートのご案内

本記事は、インテントデータレポート「日米韓消費者から見た大阪万博の関心比較」 の一部を抜粋して構成しています。レポート全文では、各国の検索意図の違いや検索経路分析(パスファインダー)、話題トピックの推移などをより詳しく解説しています。