忙しい毎日の中で、“タイパ”を重視し、できるだけ手間をかけずに食事を済ませたいというニーズが高まっています。共働き世帯や一人暮らしの増加、育児や介護による時間の制約、そして健康意識の高まりを背景に、外食だけでなく、冷凍食品・ミールキット・惣菜・テイクアウト・作り置きなど、“時短食”の選択肢が多様化しています。
本記事では、こうした生活スタイルの変化に伴って広がる“時短食”のニーズや検索動向をもとに、消費者の関心や行動の変化を読み解きます。
*本記事はインテントデータレポ―ト「時短・冷凍・健康│3つの視点で読み解く簡便食トレンド」の一部を抜粋して作成しております。レポートはこちらからご確認ください。
時短食の市場状況

冷凍食品、ミールキット、惣菜、テイクアウト、チルド食品など、“時短食”に関連するキーワードの検索ボリュームは、月間約3,700万回にのぼります。
この検索量は、時短食がすでに大規模な市場を形成していることを示しています。
中でもテイクアウトの検索量は圧倒的に多く、2023年以降も増加傾向が継続しています。
また、冷凍弁当や惣菜といったカテゴリーの検索数も堅調に伸びており、日常的な食事選択肢としての浸透が伺えます。
購入型の食品だけでなく、作り置き・下味冷凍などの“自作型”時短調理法も幅広く検索されており、消費者は“買う”と“作る”を生活シーンに応じて柔軟に使い分けていることが読み取れます。
時短食は単なる利便性ニーズにとどまらず、生活者の食習慣そのものに影響を与えつつあるカテゴリーといえるでしょう。
時短食が求められる背景

まずは“手抜きしたいとき 夕飯”の前後3段階にわたって検索された6,753件の検索ワードから、手抜きをしたい背景や、手抜きとみなされる条件、検討される料理、使用される調理器具の傾向が明らかになりました。
・手抜きしたい理由・背景:
時間の制約(遅い時間の夕食準備など)、
体調・気力の問題(疲労、体調不良、面倒さ)
・手抜きの基準:
片付けが少ない、洗い物が少ない、包丁を使わない、レンジで完結、買い物不要など
→調理時間だけでなく、前後の時間を短縮したいニーズ。
・検討されている料理・レシピ:
卵、鶏肉、サラダ、雑炊、丼もの、炒め物
→一品で成立する料理が中心。作り置きや惣菜を活用するニーズも。
・使われる調理器具:
電子レンジ、 フライパン
→“加熱だけで” “焼くだけで”のニーズ
検索意図から見えてきたのは、調理時間そのものではなく、準備・後片付けを含む一連の工程すべてが対象となっており、各工程に対して「面倒」「負担」といった心理的ハードルを感じていることが、検索ワードから見えてきました。特に調理時間の短縮に向けては、包丁や火を使わずに済むこと、電子レンジで調理できることが重視されていました。
洗い物なし料理のニーズ

“洗い物なし 料理”の検索経路を分析したところ、洗い物を避けたいニーズは“食事の時間帯”ごとに異なる背景を持っていることが分かりました。
- 朝は、火も包丁も使わないといった調理工程を極力省略するニーズが中心。限られた時間の中で、短時間で済ませたい意図が見受けられます。
- 昼になると、洗いやすいお弁当箱など、帰宅後の片付けへの関心が強まります。
- 夜は、何も作りたくない時の夕飯・メニューが決まらないといった検索が多く、疲労時の調理回避やメニュー選定の負担感が大きな課題となっています。
また注目すべきは、“ポリ袋調理”というキーワードです。
もともとは防災用として注目されていたこの調理法ですが、近年では洗い物が出ない、キッチンが汚れない、片付けがラクといった日常的なメリットから、ふだんの食事づくりでも積極的に採用される傾向が見られます。
まとめ
本記事では、検索データから時短食がどのように生活者に根付いているのかを紐解きました。
利便性だけでなく、疲労や気分、片付けの負担といった心理的側面まで含めて、消費者の行動が変化していることが分かります。
次回は時短食の中でも冷凍食について分析したデータをご紹介します。
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01.時短
時短食の基準と背景
カット野菜利用/レンジ・フライパン調理/洗い物なし料理のニーズ/買い物回避の理由
02.冷凍
冷凍弁当の広がり/お弁当を支える冷凍食品/冷凍ブロッコリーの選択理由
03.健康
低カロリートレンドと高カロリー需要/タンパク質ニーズの拡大/塩分ニーズの二極化
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