検索データは顧客を理解する言語であり、説得の根拠となる

DXE

個人情報保護に関する規制が強化され、従来のパフォーマンスマーケティング手法だけでは成果を出すのが難しい時代に突入しています。広告最適化だけでは限界があり、広告代理店においても、広告だけに頼る戦略から、フルファネル視点でブランドと消費者の関係を築くアプローチへとシフトが進んでいます。

DXEは、CJ ENM傘下のデジタル広告代理店として2018年に設立され、データドリブンなフルファネルマーケティングを強みとする企業です
現在は広告代理店の枠を超え、ブランディングやCRMまでを包括する「データベース型フルファネルマーケティングカンパニー」としてのポジションを確立しつつあります。CJグループおよびCJ ENMが保有する膨大なデータと、韓国最大級のメディアネットワークを活用し、より精緻なターゲティングとマーケティングソリューションを提供。単なる広告運用にとどまらず、ブランド認知から流入、定着、ロイヤルティの向上に至るまで、一貫した戦略的マーケティングを実践しています。

こうしたマーケティング環境の変化の中で、検索データが意思決定にどのような影響を与えているのか、またリスニングマインドの導入によってどのような変化があったのかについて、DXEマーケティングコンサルティングチームの皆さまにお話を伺いました。

画像出典:DXE公式サイト

導入企業様の紹介

DXEのご紹介と注力している取り組みについて

近年、広告代理店の役割が変化しつつあります。以前は広告効果の分析や最適化が中心でしたが、現在ではブランディングとパフォーマンスを融合させ、カスタマージャーニー全体を設計する戦略的な役割が求められています。DXEでもこの流れに対応し、「ブランディング・パフォーマンス・CRM」を統合したフルファネルマーケティングに注力しています。

デジタル上のカスタマージャーニーをデータで可視化し、消費者の心に響くブランド体験を設計することが私たちの目標です。かつては広告の効率向上が主な目的でしたが、今ではブランドと消費者の関係構築という“プロセスそのもの”を重視し、データ分析・ブランドメッセージ設計・CRMを一体化させたマーケティング戦略を推進しています。

リスニングマインド導入のきっかけ

リスニングマインドを導入するに至った経緯を教えてください。

2022年、R&Dプロジェクトの一環としてリスニングマインドを初めて知りました。当初はSEOの内製化や検索データの活用可能性を検討しており、「SEOの最適化ツール」として「良さそうだな」との印象を持っただけで、すぐの導入には至りませんでした。

しかし再びリスニングマインドに触れる機会があり、その際「検索データは消費者インサイトを把握する上で非常に有効な手段である」と実感しました。特に、FGI(フォーカスグループインタビュー)やデスクリサーチとは異なり、検索データは消費者の“本音”や“悩み”を定量的に示すデータであり、「これはパフォーマンス広告だけでなく、ブランディングにも活用できる」と確信を得ました。

リスニングマインドの活用方法

リスニングマインドを活用した事例を教えてください。

A自動車保険:検索データを活用したカスタマージャーニー分析と広告戦略の最適化

A社の自動車保険においては、リスニングマインドを活用してカスタマージャーニーの分析と広告戦略の再設計を行いました。保険業界では、典型的な型にはまった提案がほとんどで、検索広告の入札調整や上位表示が中心だったため、消費者の実際のニーズを把握し、それを反映する方法がありませんでした。

そこでまず「インテントファインダー」を用いて、自動車保険関連の1万件以上の関連検索語を抽出。検索量が0のワードを除外し、ニーズ別に分類、ジャーニーの段階ごとにマッピングしました。このように検索データをもとにトピックごとにニーズを整理することで、体系的なインテント分析が可能になり、広告主からも新たな戦略として高く評価され、受注に成功しました。

スポーツブランドB社:キャンペーン効果の分析と次回戦略の策定

スポーツブランドB社では、キャンペーン施策の効果測定にリスニングマインドを活用しました。従来はクリック率やインプレッション数などの指標を重視していましたが、今回は検索データを通じて消費者のブランド認知の変化を分析しました。

キャンペーンの前後30日間におけるB社の関連キーワードの推移を比較したところ、新たな検索キーワードが登場し、既存ワードよりも検索量が大きく伸びていることが判明。これにより、消費者がブランドメッセージをどのように受け取ったかを定量的に把握できました。次回のキャンペーンでは、得られたインサイトをもとに特定商品を強調した広告メッセージを展開し、さらなる成果につなげました。

また、「パスファインダー機能」を使った検索経路の分析により、これまで把握が難しかった離脱ユーザーの行動も追跡可能となり、広告配信とメッセージの最適化に活用しました。

リスニングマインドで最も活用している機能は何ですか?

最も活用しているのは「パスファインダー機能」です。従来の広告ツールでは流入キーワードしか把握できませんでしたが、パスファインダーを使えば、検索行動の流れを可視化でき、消費者がブランドや競合をどのように比較・検討しているかをシーケンスで詳細に確認できます。
消費者の意図をより正確に把握し、それに合ったカスタムメッセージを企画できます。

また「クラスターファインダー」は、特定市場のニーズを把握したり、新たなインサイトを見つけたりする際に非常に活躍しています。

導入後の変化と効果

導入後、業務の進め方に変化はありましたか?

従来はデスクリサーチやFGIに頼ったインサイト抽出が主流でしたが、主観が入りやすく、実際の消費者行動を正確に反映できないという課題がありました。

しかし、リスニングマインドの導入後は、検索データという客観的かつ定量的な情報をもとに、消費者が製品やサービスを探す過程で何に悩み、どう意思決定するのかを分析できるようになりました。以前は感覚や勘で戦略を立てることも多かったですが、今ではより体系的なデータ分析が可能になりました。
検索データはリアルな消費者行動が反映されるので、客観的で信頼性の高いインサイトを得るのに非常に役立っています。

リスニングマインドの導入によって社内の意思決定にどのような変化がありましたか?

以前は広告戦略の立案において勘に頼ることが多かったですが、今ではデータ分析に基づいて戦略を立て、広告主にも定量的な根拠を提示できます。検索データは消費者が自ら入力した関心事を反映しているため、広告メッセージを設計する際にも、より正確な“消費者ワード”が使えるようになりました。結果的に広告主との信頼関係もより深まりました。

今後の展望

今後、リスニングマインドをどのように活用していきたいですか?

今後、検索データを単なるトレンド分析にとどまらず、マーケティング戦略の中核として活用していく予定です。ブランドごとのコアキーワードを深掘りし、そこからブランドポジションを強化していきたいと考えています。
また、リスニングマインドを活用し、より精緻なカスタマージャーニー分析を行い、各段階において最適な広告メッセージを提供することで、ブランドと消費者の関係構築をさらに強化していく計画です。

本日はありがとうございました。

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