乾燥対策や寝る前のリラックスタイムの定番だったフェイスパックは、いまや“時短ケア”や“朝の習慣”としても活躍の場を広げています。毎日使えるシートタイプから、朝専用に設計されたパックまで、用途はどんどん多様化。
本記事では、この進化の背景にある消費者ニーズや市場の変化を掘り下げます。
ブランド別の検索量推移から見る市場の変化
安定の「ルルルン」、復活が課題の「メディヒール」

パックは安定した人気を保ちつつも、ブランドごとの注目度に変化が見られています。
検索量において、ルルルン パックは2023年以降安定して首位を維持しており、根強いブランド力とファン層の存在がうかがえます。
一方で、かつて人気を誇っていたメディヒール パックは2021年以降検索量が減少傾向にあり、2025年7月時点では他のブランドと同程度の検索ボリューム(約22,200)にまで落ち着いています。新たな話題化施策の必要性が示唆される結果です。
新勢力「アヌア」「ダーマレーザー」「ナンバーズイン」「トリデン」

検索量の推移を見ると、2024年から特に勢いを増したブランドは、ダーマレーザー、トリデン、ナンバーズインです。
注目すべきはアヌア パックの検索動向です。急激なバズこそないものの、2024年以降は安定して検索数を伸ばし続けており、2025年7月時点では22,200と、先行していたダーマレーザーやトリデンと肩を並べるまでになっています。
アヌアはもともと美容液などで高評価を得ているブランドで、成分に基づいた訴求を得意とする点が特徴です。こうした成分への信頼感が、パックや他のカテゴリにも着実に広がっていると考えられます。
日本ブランドのルルルンやダーマレーザーは、7枚入りや30枚入りといった袋タイプが主流で、日常的に使いやすい仕様が特徴です。一方、韓国ブランドは1枚ずつの個包装タイプが中心で、その日の肌状態に合わせて選ぶ“セレクト型”の使用スタイルが浸透しています。
このように、パック市場ではケアスタイルの多様化が進んでおり、ブランドの勢力図も特定ブランドが突出する時代から、多ブランドが拮抗する時代へとシフトしつつあります。
朝パックの定着と注目ワードの推移

近年、デイリーに使えるパックに加えて、朝パックというスキンケア習慣が、生活の中に着実に浸透しつつあります。これまでパックといえば夜に使うものという印象が強くありましたが、2023年4月にサボリーノ 朝パックがメディアで話題となったことをきっかけに、朝のスキンケアに取り入れる動きが急速に広まりました。
実際、朝パック関連キーワード全体の検索回数は、月間で約35,799回、年間では40万回超にのぼっており、“時短”や“メイク持ち”といった価値が、朝のスキンケアルーティンにおいてしっかりと定着してきていることがわかります。さらに、2025年4月に発売された“朝のパックでメイク崩れ知らず”は検索量が急増しており、こうした実用性にフォーカスした朝パックへの関心がますます高まっていることがうかがえます。
朝パックを検索する消費者の行動パターン分析

朝パックを検索する消費者の検索経路を分析すると、その関心は単なる“時短ケア”にとどまらず、目的に合わせて効果的に使いたいという意識の広がりが見えてきます。
検索の前段階では、“パック朝と夜どっち、朝パックの順番、洗顔の代わりになるか”などの使い方に加え、“メイク崩れ防止、化粧ノリへの影響、朝に使ってもいい成分か”など、実感重視・成分重視の層による疑問や不安の解消を目的とした検索が多く見られます。
その後、検索はルルルンやサボリーノといった具体的なブランドの比較に進み、年代別のおすすめ商品や、敏感肌・ニキビ肌といった悩み別の深掘りに展開されていく傾向があります。
このように朝パックは今や、肌悩みやライフスタイルに合わせて使い分けたいという多様なニーズに応えるスキンケアアイテムとして、幅広い層から注目を集めていることがわかります。
時短・タイパ志向が生んだ「ながらパック」需要

スキンケアの中でもながら時間を活用する“ながらパック”への関心が高まっています。
検索数が多いのは、“パックしながらドライヤー、パック 寝ながら、スチーマー パックしながら”といった夜のルーティンと組み合わせた使い方でした。
ほかにも“パックしながら美顔器、お風呂、歯磨き、運転、扇風機”などのワードも見られました。
時短・タイパ志向の高まりとともに、「ながらスキンケア」は着実に生活に浸透していることがわかります。
「パックしながらドライヤー」で見えるリアルな悩み

「スキンケアとドライヤー、どっちが先?」「パックとドライヤーの順番は?」といった検索キーワードからは、ながらケアを取り入れる上での“正しい手順”を知りたいというニーズが多く見られます。また、「パック中 何する」といったワードからは、パック中の時間を無駄にせず有効活用したいという意識もうかがえます。
さらに、「パック 前髪 べたべた」「髪の毛 ギシギシ」「パックべたべた 苦手」「パックした後 洗い流す」などの検索からは、使用後の不快感や肌・髪への影響に不満を感じている人が一定数いることがわかります。
パック使用後の“髪問題”を抱える2つのペルソナ
検索データを基に髪への影響に不満を感じているペルソナとペルソナが抱えている質問について分析しました。

#ペルソナ 1 お風呂上がりのスキンケアとドライヤーの正しい順番や方法に悩む人
質問リスト
- お風呂上がりにスキンケアとドライヤーはどちらを先にするのが正しい?
- スキンケアの後にドライヤーをすると肌や髪にどんな影響がある?
- 乾燥を防ぐためにスキンケア後のドライヤーで注意すべきポイントは?
#ペルソナ 2 スキンケア後の肌や前髪のベタつき・べたべた感に悩む人
質問リスト
- スキンケア後に前髪や顔がベタベタになる原因は?
- スキンケア後のべたつきを防ぐためにどんなケアやアイテムが効果的?
- ドライヤーを使うときにスキンケアのベタつきが気にならない方法は?
まとめ
このようにフェイスパックは今、乾燥対策やご褒美ケアだけでなく、朝のスキンケアや“ながら美容”として日常に取り入れられるアイテムへと進化しています。
選ばれるブランドの多様化に加え、使用シーンや目的も細分化され、それに伴って新たな疑問や課題が検索という形で顕在化しています。
今後は、“自分に合うパックを、目的やシーンに応じて選ぶ”という視点がより重要になり、それを支える正確な情報のニーズもますます高まるでしょう。
こうした動きや変化は、検索データを活用することで、誰でも・客観的に・リアルタイムに把握することが可能です。ぜひ検索データをもとに、商品開発・マーケティング施策・コンテンツ戦略に活かしてみてはいかがでしょうか。
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