ListeningMind on ChatGPTでブランド連想の分析

ブランド連想(Brand Association)とは、消費者が特定のブランドに対して自然に思い浮かべるイメージ、感情、キーワード、概念などを意味します。つまり、ブランド名を聞いたときに思い浮かべるすべての要素が「連想」です。

使用されたプロンプト

  1. 「スターバックス」のブランド名でクラスターAPIを使用し、消費者の認識に関連する有意義なキーワード群を特定してください。
  2. 同様の手法で、「ドトール」と「ブルーボトル」も分析してください。
  3. 3つのブランド間の比較のため、共通の軸を提案してください。
  4. レーダーチャートで3ブランドの消費者連想を可視化してください。
  5. パーセプションマップを作成するために、どのような軸が適切か提案してください。
  6. Plotlyを使ってパーセプションマップを視覚化してください。各ブランドを異なる色で表示してください。HTMLでダウンロードしてください。

ブランド連想分析は、消費者がブランドと関連付けて思い浮かべる要因を定量的・定性的に分析することで、消費者のブランドに対する認識構造を把握し、マーケティング戦略に反映させることを目的としており、主に以下の3つの目的を達成することができます。

  • ブランドの再ポジショニング:消費者認識に基づき、既存ブランドのポジションを再定義する。
  • 新商品や新ブランドの立ち上げ前の市場理解:製品発売前の市場における連想構造と消費者ニーズを把握する。
  • 競合との差別化要因の把握:競合ブランドと比較して、自社独自の連想キーワードやポイントを導き出す。

ListeningMindの検索データ X AIでブランド連想を分析

数億件の検索データに基づく「リスニングマインド」と「ChatGPT」を通じて、新たなブランド連想分析が可能です。検索データに基づくブランド連想分析には、以下のような利点があります。

  • 実際の行動に基づくデータ(Behavioral Insight):検索データ分析は、消費者が自発的に入力した「実際の検索キーワード」を基にするため、意識上の認識ではなく、行動として現れた純粋な関心を捉えることができます。
  • 無意識的・自然な認識の把握:アンケートが意識的・認知的な反応しか反映できないのに対し、検索データはユーザーが質問されなくても自発的に思い浮かべたキーワードで構成されます。これにより、ブランドに対して実際に想起されている要因をよりありのままに反映し、特に消費者の無意識レベルの認識まで分析することが可能になります。
  • 定量データによる連想強度の測定:検索ボリュームはキーワードごとの月間平均検索数として提供されるため、各要因に対するブランド連想の強度を客観的な数値で比較できます。リスニングマインドには検索ボリュームを提供するAPIがあり、「スターバックス おいしい = 826件」のように連想の強度を判断できます。
  • 全国規模の大規模・不特定多数のデータ確保:特定のパネルや地域の回答者ではなく、全国の実際の検索ユーザーデータを基にするため、サンプルの代表性が非常に高くなります。これは、世代・性別・地域に関わらず、消費者全体の認識傾向を反映できることを意味します。
  • 低コスト・高速な分析:リスニングマインド X AI を活用すれば、アンケートの設計や回答の回収といったプロセスなしに、リアルタイムで連想データを抽出し、様々なブランドとの比較分析が可能になります。また、調査設計者によるバイアスも排除されます。つまり、ブランド側が想定していなかった、しかし消費者にとっては重要なインサイト(dimension)を発見できる可能性があるのです。

では、早速始めてみましょう。分析の例として、私が普段から好きな「コーヒー」ブランドを取り上げます。

ブラウザで、リスニングマインドAPIが連携されたChatGPTのチャンネルを開いて始めます。

プロンプト:「スターバックス」のブランド名でクラスターAPIを使用し、消費者の認識に関連する有意義なキーワード群を特定してください。

リスニングマインドのAPI通信を開始する段階で、以下のような確認画面が表示されます。「確認」をクリックします。

スターバックスに関する消費者の認識(連想)クラスターが、検索データに基づいて抽出されました。下の表の左列が認識要因の軸、右列が該当する代表的なキーワードです。

スターバックス - 消費者認識要因別クラスタ

認識要因代表キーワード例
① ギフト・プレゼント文化スターバックスギフト, ギフトカード, プレゼント
② オンライン購入・限定商品オンライン限定, タンブラー, 福袋
③ デジタル利便性モバイルオーダー, アプリ, ログイン
④ メニュー・カスタマイズメニュー, フラペチーノ, カスタム, サイズ
⑤ ポイント・リワード制度スターバックスカード, 残高, チャージ
⑥ 味・ラテ・カロリー関連ラテ, カロリー, 甘さ調整
⑦ グッズ・デザイン感性タンブラー, 限定, デザイン
⑧ 高級・プレミアム感リザーブ, 限定店舗, 予約制
⑨ 雇用・バイトイメージバイト, 時給, 高校生アルバイト

プロンプト:同様の手法で、「ドトール」と「ブルーボトル」も分析してください。

ドトール - 消費者認識要因別クラスタ

認識要因代表キーワード例
① 価格・コスパ重視メニュー安い順, セット割引, 値段, 福袋
② モーニング・朝利用モーニング, 値段, 時間, クーポン
③ 実用・テイクアウトテイクアウト, セット, ランチメニュー
④ 手軽な商品構成インスタント, ドリップパック
⑤ チェーン展開・アクセス性店舗一覧, 店舗数3位, 珈琲農園
⑥ 雇用・学生バイトバイト, 高校生, 時給, 口コミ
⑦ コーヒー品質コーヒー豆, 味, スペシャリスト
⑧ 季節限定キャンペーン福袋2024, 新作, シェイク

ブルーボトル - 消費者認識要因別クラスタ

認識要因代表キーワード例
① ブランド哲学・創業背景発祥, なぜ人気, 創業者, 特徴
② スペシャルティ品質・豆重視豆, 挽いてくれる, 評判, ドリップ
③ デザイン・世界観タンブラー, マリメッコ, キャンドル
④ ギフト・感性消費ギフト, おしゃれ, 喜ばれる, グッズ
⑤ 地域限定・プレミアム店舗京都限定, 伊勢丹, 清澄白河
⑥ メニュー・カフェ体験渋谷, 代官山, 銀座, メニュー甘い
⑦ グローバルブランド認識日本一号店, 海外店舗, 名前の由来

3つのブランドそれぞれの消費者連想が的確に分析されています。

  • スターバックスは、感情的な価値とデジタル体験を中心に強い消費者認識を形成していることがわかります。単なるコーヒーショップではなく、感情的な体験空間として認識されており、フラペチーノ、限定タンブラー、店舗の雰囲気といったキーワードを通じてブランドの感性を体験しています。また、モバイルオーダー、アプリのポイント、ギフトカードなど、デジタルを基盤とした利便性の高い利用環境も肯定的な要因として作用しており、「贈り物に最適なブランド」としても強く認識されています。
  • ブルーボトルは、消費者にブランド哲学とコーヒーの品質を中心としたアイデンティティを持つプレミアムブランドとして認識されています。特に「なぜ人気なのか」「どこで始まったのか」といったストーリーに基づく検索が活発で、これはブランドの起源や哲学への関心が高いことを示しています。消費者はブルーボトルの豆の品質、ドリップ方式、店舗の選定などを通じて、職人気質、洗練された美学、そして希少価値のある体験を期待しています。また、マリメッコとのコラボや限定グッズなど、デザイン感性の要素が強く、感覚的で高級なブランドとして位置づけられています。
  • ドトールは、価格の安さと実用性を強みとする日常的なコーヒーブランドとして消費者認識が形成されています。検索キーワードでもモーニングセット、安いメニュー、昼休みのテイクアウトなどが高い割合を占めており、特に出勤途中のコーヒーや手軽なランチといった生活動線の中で実用的に利用されるブランドです。また、店舗数が多くアクセスしやすい点や、学生アルバイトが多く親しみやすい入門ブランドとしての雇用イメージも形成されています。

データ可視化

次に、これらのブランド連想をまとめて可視化してみましょう。

プロンプト:ブランド間の比較のため、共通の評価軸を作成し、レーダーチャートで3ブランドの消費者連想を可視化してください。

以下のようなレーダーチャートで、3ブランドの連想強度が分析されました。連想強度は5点満点で定量化されており、主に月間平均検索量のデータに基づいて相対的なスコアを算出する方法が用いられました。この定量化の方法はAIに尋ねることも可能です。

各要因ごとにブランド別検索数を比較し、「最大値を5点」として相対スコアを算出

スターバックスは、「ブランド感性」「デジタル利便性」「ギフト文化」「空間体験」の項目で高得点を記録し、感覚的なブランドイメージと、モバイルオーダーやアプリのポイントシステムといったデジタル中心の使いやすさを両立していることが示されています。

ブルーボトルは、「ブランド哲学」「コーヒー品質」「ブランド感性」「限定・地域性」の項目で高得点を記録しており、これは消費者が単なるコーヒーの味だけでなく、ブランドの起源、価値、デザイン哲学までを考慮していることを示しています。

ドトールは、「価格・実用性」「雇用イメージ」で相対的に高いスコアを示し、出勤途中のコーヒーや手軽な食事、手頃な価格帯といった要素で高く評価されています。「モーニング」「メニュー安い順」「ランチセット」「テイクアウト」「バイト」といったキーワードは、安くてスピーディーに利用できる実用的なブランドとしての認識が強いことを反映しています。

Perception Mapでブランド比較分析

次に、パーセプションマップで各ブランドのポジショニングを確認してみましょう。パーセプションマップとは、消費者が認識するブランドの特性や属性間の相対的な位置を可視化するもので、消費者認識におけるポジションと見なすことができます。どのような軸でマップを描くべきか、AIに尋ねてみましょう。

プロンプト:パーセプションマップを作成するために、どのような軸が適切か提案してください。

X軸: ブランド感性 / プレミアム性

デザイン、哲学、ストーリー、グッズなど、感性的な価値を中心とした認識の強度

Y軸: 実用性 / アクセシビリティ

価格、アクセスしやすさ、テイクアウト、モーニングセットなど、日常的・実用的な要因

しかし、マップに「X」で表示するだけでは、少し味気ないですね。より視覚的に分かりやすくするために、Plotlyを使ってみましょう。

プロンプト:Plotlyを使って視覚化してください。各ブランドを異なる色で表示してください。

Plotlyとは、Pythonのグラフライブラリで、プロンプトで「Plotlyを使って」と指定すると、ChatGPTがPlotlyライブラリを使用してインタラクティブなデータ可視化の結果をHTMLで提供してくれます。Plotly公式サイト: https://plotly.com/python/

HTMLファイルを開くと、インタラクティブなチャートを操作できるため、ChatGPTが標準で提供する静的なチャートよりも表現力豊かな結果を得ることができます。

まとめ

検索データに基づくListeningMindとChatGPTを活用することで、ブランド連想分析および3ブランドのパーセプションマップの作成を行いました。ここまでのプロンプトをまとめると、以下のようになります。

  1. 「スターバックス」のブランド名でクラスターAPIを使用し、消費者の認識に関連する有意義なキーワード群を特定してください。
  2. 同様の手法で、「ドトール」と「ブルーボトル」も分析してください。
  3. 3つのブランド間の比較のため、共通の軸を提案してください。
  4. レーダーチャートで3ブランドの消費者連想を可視化してください。
  5. パーセプションマップを作成するために、どのような軸が適切か提案してください。
  6. Plotlyを使ってパーセプションマップを視覚化してください。各ブランドを異なる色で表示してください。HTMLでダウンロードしてください。

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※ 本記事は、検索データに基づく分析事例であり、特定のブランドや製品のマーケティング戦略を代弁または評価することを目的としたものではありません。

使用されているキーワードは、実際の検索ボリューム、サジェスト、関連検索語などの情報をもとに収集されたものであり、消費者の関心や情報探索パターンを理解するための分析例として提示しています。

記載されているブランド名および製品は、分析構造を説明するための事例として引用しており、各企業の公式な見解や実際の施策とは関係ありません。

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