韓国から日本・アメリカへ拡散するPDRNブーム|検索トレンドで見る消費者インサイト

美容業界で注目度が急上昇している成分 PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)
韓国では“サーモンDNA”として知られ、クリニックの施術から日常のスキンケアアイテムまで幅広く使われています。日本やアメリカでも検索が急増していますが、その背景にはどんな要因があるのでしょうか?

本記事では、検索データをもとに各国の消費者がPDRNをどう捉えているのかを読み解きます。

各国の検索量推移と流行タイミング

3か国の検索量と検索トレンドを比較すると、PDRNに対する関心の広がり方には明確な違いがありました。

日本:2024年秋頃から大きな上昇が始まりました。注目すべきは9月・11月のQoo10メガ割が、pdrnの検索急増のタイミングと重なっている点です。メディキューブを始めとしたPDRNで認知のあるブランドがメガ割りに合わせてPDRNの商品マーケティングを強化した結果、pdrnという成分名の認知が広まり、検索が増加したと言えます。(※メディキューブは2024年11月のメガ割のタイミングで「PDRNピンクアンプル」の特別セールを実施)
特に11月にはメガ割での打ち出しだけでなく、日本製PDRN美容液が登場したことにより注目度が一気に上がりました。

韓国:2024年前半から検索量が急伸し、美容施術やスキンケア成分としての認知が一気に拡大しました。特にオリーブヤングの売り場でPDRNを前面に打ち出した月と検索ピークが重なり、店頭プロモーションが検索行動を刺激したことが分かります。

アメリカ:伸び始めはやや遅く、2025年に入ってから本格化。メディキューブやリジュオールの製品、さらにリジュラン施術関連の検索が増えており、スキンケアだけでなく、医療文脈での成分検証も行われています。

結果として、PDRNの流行は 韓国 → 日本 → アメリカ の順に広がったといえます。
また、検索量を押し上げているのは単なるブランド施策ではなく、Qoo10メガ割や店頭VMDといった流通プロモーションが強力な起点となっている点が共通しています。

各国の検索トピック比較

日米韓の検索トピックを比較すると、PDRNに対する消費者の態度や関心領域の違いが浮かび上がります。

まず大きな特徴は、どの国でも注目されるブランドの多くが韓国発である点です。PDRN成分の流行の震源地が韓国・韓国コスメであることが改めて確認できます。

日本:メディキューブ、アヌア、イニスフリーなど韓国コスメブランドが多く検索され、「使い方」「順番」「併用」といった具体的な使用シーンと美容液やパックなどのスキンケアアイテムの検索が目立ちます。PDRNを“スキンケア成分”として日常にどう取り入れるかが焦点です。

韓国:アンプル、クリーム、注射といった施術とスキンケアの両方での関心が強く、店頭展開や施術体験に結びついた検索が多数あります。さらに“ダイソー PDRN”など、流通チャネル起点の検索も多く見られます。

アメリカ:「PDRN serum」「collagen」「peptide」「FDA」など、他成分と比較・検証する文脈が中心です。医療的・科学的に価値を確認する姿勢が強く表れています。

日本とアメリカではレチノール、ペプチド、コラーゲンなど他の成分と組み合わせて検索されるケースが多く、PDRNが単独で認知されるのではなく“次世代成分のひとつ”として比較検討されています。

このように、韓国では“定着した施術成分”、日本では“新しい成分の取り入れ方を模索”、アメリカでは“科学的に検証する対象”として捉えられていると言えます。

日本の消費者の検索経路から見える購買導線

日本における検索経路を分析すると、消費者は以下のようなステップを踏んでいます。

成分理解から商品選びへ:購買導線の可視化

「pdrnとは」「pdrn効果」「pdrn美容液おすすめ」など、成分理解から始まり商品認知へと繋がります。さらに「植物性/動物性」「日本製」といった由来や原産国への関心が強く、成分の信頼性・安全性を確かめたいというニーズが鮮明です。ここからは“安心感をどう訴求するか”が鍵になります。

使用シーン・実用性への関心

「パック」「美容液」「化粧水」「クリーム」などアイテム単位での比較が盛んで、さらに「順番」「併用不可」「レチノール併用」「効果ない」「ニキビ跡」など、実際の使用方法や効果に関する疑問が多数見られます。これは消費者が購入前に“具体的な使用シーン”をイメージしていることを示しており、FAQ・HowTo・使用例コンテンツでの補完が大きな差別化ポイントになります。

ブランド選定と口コミ重視の傾向

最終的には「口コミ」「レビュー」へと関心が移り、実際の利用者の声を重視して購入を検討していることが分かります。口コミ評価の獲得と可視化が購買決定を左右する要素となります。

このように、購買導線は成分理解 → 効果確認 → ブランド選定 → 使用方法検討 → 口コミチェック という明確な導線が見えます。「効果ない」「併用不可」といったネガティブ検索は、口コミ活用や不安解消型のコンテンツマーケティングでカバーできます。
日本市場では「国産・日本製」への関心が高く、韓国ブランドが席巻するPDRN市場に日本ブランド参入の余地があると言えます。

韓国の消費者の検索経路から見える三層構造

韓国の検索経路を分析すると、PDRN市場は高額施術ブランド(リジュラン)、ミドル価格帯コスメ(メディキューブやアヌア)、低価格のマス流通チャネル(ダイソー)の三層構造で形成されています。

1. 美容施術からコスメまで広がる関心

検索経路を見ると「リジュラン」関連のキーワードが多く、PDRNを用いた美容医療施術やその効果に直結する検索が目立ちます。
一方で「PDRN 化粧品」「アヌア PDRN」などスキンケア文脈も強く現れており、韓国の消費者はPDRNを施術成分としても日常コスメ成分としても捉えていることが分かります。つまり両者の境界が曖昧で、施術とスキンケアの両輪で市場が形成されているのが特徴です。

2. 流通チャネルとしての「ダイソー」

「ダイソー PDRN」「ダイソー PDRN セラム」といった検索が多く、韓国ダイソーでPDRN商品を探す行動が目立ちます。従来は高価格帯クリニック成分だったPDRNが、ダイソーというマス流通チャネルで手頃に入手できるようになったことが話題化要因となり、認知を一気に押し上げています。さらに、インフルエンサーによるレビュー発信(例:「ダイソー ロロ定食」)も検索拡大に拍車をかけています。

  1. 高額施術ブランド(例:リジュラン)
  2. ミドル価格帯コスメ(例:メディキューブ、アヌア)
  3. マス流通チャネル(例:ダイソー)

この三層が相互に作用し、施術から日常コスメまで幅広い層にPDRNが浸透しています。ここから分かるのは、流通戦略がそのまま成分認知を拡大するドライバーになっているということです。
日本でも美容医療の認知や流通の拡大によりpdrnという成分が一気に一般化する可能性もあります。

まとめ

このように韓国から広がったPDRNブームは、今や日本やアメリカにも波及しています。ただし、検索データを詳しく見ると、消費者の関心の持ち方や市場の立ち上がり方には国ごとの違いがはっきりと表れています。検索データは、実際に生活者が行動に移した“検索”という行為に基づくため、リアルな消費者インサイトが隠れています。海外市場の動向を読み解くことで、海外展開の戦略や、日本市場での効果的な訴求方法のヒントを見つけることができるでしょう。

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Q. PDRNとは何ですか?
A. サーモンDNA由来の再生成分で、美容医療施術やスキンケアに使われています。韓国コスメを中心に注目されています。

Q. PDRNはどんな効果がありますか?
A. 肌の再生促進・保湿・ハリ改善などが期待されます。韓国ではリジュラン注射、美容液、マスクなど幅広く利用されています。

Q. 日本でPDRNが注目されたきっかけは?
A. 2024年秋のQoo10メガ割で複数ブランドがPDRN商品を大きく打ち出したこと、さらに日本製PDRN美容液の登場が背景にあります。

Q. 韓国と日本でPDRNの捉え方はどう違いますか?
A. 韓国では施術と日常コスメの両輪で浸透、日本では新しい成分をどう取り入れるかに関心が集中しています。