はじめに:従来の調査手法の限界と新しいアプローチ
これまでのキーワードリサーチやトレンド分析では、検索ボリュームや関連ワード、ランキングといった“断片的なデータ”に頼るケースがほとんどでした。これらのデータから「人気キーワード」や「話題の商品」を把握することはできますが、実際のユーザーがどのような順番で情報を調べ、どのように比較・検討し、どこで意思決定を行うのかまでは把握しきれないのが現実です。
また、ユーザーが検索の過程でどのようなテーマや属性に興味を持ち、何がきっかけで他の情報や商品へ流れていくのかという「リアルな行動ストーリー」まで深掘りするのは、従来手法では非常に困難でした。
そこで、ListeningMindとChatGPTを組み合わせて活用することで、“単なる検索数”や“点”としてのデータではなく、ユーザーの実際の検索経路(フロー)や、その過程で浮かび上がる注目のテーマ(クラスター)を“流れ”として把握できるようになります。これにより、マーケティング戦略やコンテンツ設計がユーザー目線で一気に高精度化されます。
使用したプロンプト
・「男性香水おすすめ」をクラスタAPIで分析し、最も検索量が多く伸びているクラスターを特定。そのクラスタに関連する主要キーワードを用いて経路APIを実行し、ユーザーの実際の検索経路を分析。各ステップごとに最適なコンテンツ戦略を設計してください。
・Plotlyを使ってSankey Diagram(またはAlluvial Diagram)で上記の検索経路データとクラスタ分布を可視化してください。
ListeningMindのAPI通信を開始する段階で、下記のような確認画面が表示されます。「確認」をクリックしてください。

クラスター選定とユーザー検索ジャーニー
1. 分析対象クラスターの選定
クラスターとは、ユーザーの検索行動を基に、関連性の高いキーワードをまとめたグループです。「男性香水おすすめ」を対象にクラスター分析を行うと複数のクラスターが抽出されますが、その中で「めちゃくちゃいい匂いの香水メンズ」というクラスターを選択します。
このクラスターは、「男性につけてほしい香水ランキング最新」や「めちゃくちゃいい匂いの香水メンズ」を中心に、「良い香り」「最新人気」「年代別/価格別の分岐」などを含みます。
クラスター内の主要キーワード:
- めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ(直近の検索数が最大、注目度も急上昇中!)
- 月間平均検索数:4,133、直近1カ月:8,100
- 競合性:高い(広告単価も高め)
- トレンド:2023年~2025年にかけて継続して上昇。メンズ香水市場で最もアツいテーマ
2. 実際のユーザー検索経路(パス)
このクラスター内キーワード「めちゃくちゃいい匂いの香水メンズ」の検索経路を3段階で分析します。
【第1段階】
・「メンズ香水」→「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」
・「香水 おすすめ」→「メンズ香水 人気」→「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」
【第2段階】
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「めちゃくちゃいい匂いの香水 メンズ安い」
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「最強 のモテ香水 メンズ」
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「男性につけてほしい香水ランキング」→「男性につけてほしい香水ランキング30代」
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「香水メンズおすすめ」→「大学生香水メンズ」
【第3段階】
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「香水メンズおすすめ」→「30代香水メンズ」→「メンズ香水30代ハイブランド」
・「めちゃくちゃ いい匂いの香水メンズ」→「香水メンズおすすめ」→「メンズ香水女子ウケ」
・(つまり、「良い香り」→「安い/高級ブランド/年代別/女性ウケ/大学生向け」などへ分岐)
3. 各段階に合わせたコンテンツ戦略の提案
このクラスター(良い香り・最新人気)は検索数の伸びが非常に大きく、特に20~30代ターゲットへの実購買につながりやすい傾向があります。「集客→比較→細分化→実践活用」まで、ユーザーの自然な検索ジャーニーに合わせてコンテンツを段階設計するのが重要です。ポイントは -
- 感情に訴えるフック、
- 目的別の細分化、
- 実用性の高い情報を各パス段階ごとに分けて設計すること。
Step 1
・「本当にいい香り」「今話題の香水」「最新人気ランキング」といったキュレーション、トレンド紹介型コンテンツ
・実際の口コミやインフルエンサーのおすすめ、「なぜこの香水が人気?」など感情的なフックも重要
Step 2
・年代別(30代/50代/大学生など)、価格帯別(安価~ハイエンド)、目的別(女性ウケ/モテ/学生)でおすすめリストを細分化
・「コスパ最強TOP5」「彼女が絶賛した香水」「20代社会人にぴったり」など、具体的なペルソナごとのコンテンツ
Step 3
・実用ノウハウ(季節・シーン・服装別の使い分け方)、「香水を長持ちさせるコツ」、「女性ウケするつけ方」などの実践的アドバイス
・ブランド比較、ハイエンドvs安価ブランドの違い、「女性が本当に好きなメンズ香水BEST5」など、深掘りレビューや比較コンテンツ
4. 分析結果の可視化
分析で得られた検索経路や各クラスタのボリュームは、SankeyダイアグラムやAlluvial Diagramなどのグラフを使って視覚化することで、全体像や重要ポイントをより直感的に把握できます。
プロンプト:
Plotlyを使ってSankey Diagram(またはAlluvial Diagram)で上記の検索経路データとクラスタ分布を可視化してください。
このように指定すると、ChatGPTがPythonの可視化ライブラリPlotlyを活用し、インタラクティブなHTML形式のグラフを自動で生成してくれます。可視化されたグラフによって、ユーザーの購買フロー全体や、どこで比較・分岐・意思決定が起きているかを一目で把握でき、レポート資料やマーケティング施策の会議でも説得力が格段にアップします。

PlotlyとはPythonで動く強力なグラフライブラリで、プロンプトに「Plotlyを使って」と入れるだけでChatGPTがグラフ生成コードからHTMLデータまでサポートします。公式サイトはこちら: https://plotly.com/python/
まとめ
このように、ListeningMindとChatGPTを組み合わせることで、
「ユーザーがどんな順番で検索し、どこで迷い、何を求めて次に進むのか」というリアルな検索フローを可視化し、分岐ごと・段階ごとに最適なコンテンツ戦略へ落とし込むことが可能です。
今回使ったプロンプト
・「男性香水おすすめ」をクラスタAPIで分析し、最も検索量が多く伸びているクラスターを特定。そのクラスタに関連する主要キーワードを用いて経路APIを実行し、ユーザーの実際の検索経路を分析。各ステップごとに最適なコンテンツ戦略を設計してください。
・Plotlyを使ってSankey Diagram(またはAlluvial Diagram)で上記の検索経路データとクラスタ分布を可視化してください。
さらに、「自社のターゲットではどんな流れになる?」「他のジャンル・商材でも同じ分析がしたい」など、もっと実践的な使い方や業界ごとの最新事例を知りたい方は、ListeningMind公式サイトのセミナー情報一覧もぜひご覧ください。
マーケティング現場のご相談や実際のデータでのワークショップ依頼もお気軽にどうぞ!
注記
※本記事は、検索データに基づく分析事例であり、特定のブランドや製品のマーケティング戦略を代弁または評価することを目的としたものではありません。
使用されているキーワードは、実際の検索ボリューム、サジェスト、関連検索語などの情報をもとに収集されたものであり、消費者の関心や情報探索パターンを理解するための分析例として提示しています。
記載されているブランド名および製品は、分析構造を説明するための事例として引用しており、各企業の公式な見解や実際の施策とは関係ありません。本文の内容は筆者個人の見解に基づくものであり、誹謗中傷、歪曲、営利目的は一切含まれておりません。
この記事のタグ