日本発の伝統飲料「抹茶」が、いまや世界的なトレンドになりつつあります。美容や健康を意識する層を中心に、海外市場でも注目を集め、抹茶ラテや抹茶スイーツは日常的に楽しまれる存在となりました。実際に検索データを見ても、国内外での関心は年々高まっていることがわかります。
今回は、検索データをもとに日本・韓国・アメリカの消費者インサイトを比較し、それぞれの市場で広がる抹茶人気の特徴をご紹介します。
日本で広がる抹茶人気の動向

近年、日本における抹茶の人気はますます高まっています。検索データを見ると、2023年以降は検索量が右肩上がりで増加しており、2024年3月以降は毎月およそ30万回もの検索が行われています。まさに“抹茶ブーム”が継続していることが伺えます。
抹茶スイーツ専門店への関心
特に注目されるのが、抹茶スイーツ専門店への関心の高まりです。たとえば「the matcha tokyo」と「抹茶館」は代表的な存在ですが、2023年までは「抹茶館」の検索数が優勢だった一方、現在は「the matcha tokyo」が上回るという逆転現象が起きています。背景には、「the matcha tokyo」が首都圏の主要エリアに出店し、若年層や観光客との接点を広げており、検索量の増加にもつながっていると考えられます。

季節限定商品への関心
また、季節性の要因も大きく影響しています。毎年3〜4月にはミスタードーナツの期間限定抹茶メニューが注目を集め、過去4年間で最も関心が高まったのは2024年度でした。年々「限定抹茶」への期待が高まっていることが伺えます。

日常生活にまで広がる抹茶ラテ
さらに、コンビニ市場での動きも無視できません。ローソンが2024年5月に「マチカフェ」ブランドから発売したアイス宇治抹茶ラテは、同月の検索数が6万回を超えるほどの反響を呼びました。こうした事例は、抹茶が日常生活にまで広がり、身近な商品として浸透していることを物語っています。

このように、検索データから見える抹茶人気は「日常の定番化」と「イベント性の高まり」の両面で進化しているといえそうです。
日本の消費者が抹茶に期待する効果

“抹茶 効果”の前後に検索されているキーワードを見ると、抹茶は単なる嗜好品ではなく、セルフケアの手段としても捉えられていることが見えてきます。
まず目立つのは、「健康管理への期待」です。便秘改善や腸活、ダイエット、美容効果、さらには肝臓ケアや風邪予防まで、日常の体調管理と直結するニーズが検索の中心を占めています。
一方で、「リスクや不安」に関する検索も同時に存在しています。胃腸の不調に関するキーワードや、妊娠中のカフェイン摂取への懸念がその典型です。「摂り方や量によっては体に負担をかけるかもしれない」という認識が一部の消費者には根付いてることが分かりました。
海外での抹茶の反応
アメリカでの抹茶人気は?

アメリカでも2024年以降、抹茶への関心が高まり続けています。特に2025年5月には「抹茶」の検索数が 100万回 を突破し、過去最大のピークを記録しました。抹茶は一過性のブームではなく、すでに 定着フェーズ に入りつつあるといえます。
検索動向を見ると、「matcha near me」や「matcha cafe maiko」などカフェや店舗を探すニーズ が増加しています。加えて、「matcha powder」 の検索も伸びており、家庭での利用・日常生活への取り込みも進んでいます。
韓国での抹茶人気は?

韓国では2025年に入り、抹茶の検索量が増加傾向にあります。特に6月には「抹茶」の検索数が 8万3千回 に達し、過去3年間で最も高いピークを記録しました。
検索内容を見ていくと、「抹茶ラテ」や「フラペチーノ」などカフェで楽しむメニューが中心で、さらに「ビンツ」や「チョコパイ」といった チョコレート菓子と関連する検索も多く見られます。
また、検索ユーザーの 約8割が女性であり、特に20〜30代の若年層が多いのも特徴です。こうしたデータから、韓国における抹茶は 「女性が楽しむトレンドカフェドリンク」 という位置づけが強く、カフェ文化や季節スイーツとの結びつきが際立っていることがわかります。
年代別に異なる抹茶への関心(韓国)
20代

20代では「ティコ 抹茶」「抹茶 ビンツ」「抹茶 ペペロ」「シュークリーム 抹茶ラテ」「抹茶リキュール」など、お菓子やデザート関連の検索 が多く見られました。抹茶味の新商品への関心が非常に高く、手軽に楽しめる抹茶スイーツやお菓子に敏感に反応していることがわかります。ブランドの新商品に対する期待値も高い層といえるでしょう。

30代

一方、30代では「抹茶 撃沸」「抹茶道具」「抹茶 茶碗」「抹茶 茶筅セット」といった、伝統的に抹茶を点てて楽しむスタイルに関連する検索が目立ちました。さらに「スタバ 抹茶ラテ カフェイン」といったカフェ飲料関連のキーワードも多く、抹茶を自分で点てて楽しむことに加えて、カフェドリンクとして取り入れる関心も高いことが伺えます。また、健康面やカフェインの有無など、より細かな要素にまで気を配る傾向が見られます。
このように、日本だけでなくアメリカや韓国など世界各国でも、抹茶は一時的なブームを越えて、着実に定着しつつあります。韓国ではカフェ文化を中心に、アメリカでは健康やライフスタイルへの浸透を軸に、それぞれ独自のかたちで抹茶が広がっていることがわかりました。
まとめ
日本企業にとって、抹茶人気を活用できる機会は国内外で広がっています。
まず国内では、カフェが外国人観光客に向けて抹茶ラテをアピールし、本場ならではの味を体験できる商品やメニューを提案することが可能です。特に、日本に訪れる韓国の20代をターゲットに、抹茶を使った菓子やデザートを打ち出すことで、新たな需要を喚起できるでしょう。
また、抹茶メーカーが現地市場との連携を深め、海外展開することも大きなチャンスです。たとえば、韓国では人気のお菓子メーカーやカフェとコラボレーションすることで、抹茶をトレンド商品として広げることができます。さらにアメリカでは、カフェ出店や飲料商品を展開することで、すでに高まっている健康志向・ライフスタイル需要を取り込むことができます。
検索データから、日本では「専門店・日常浸透・健康への期待」、韓国では「カフェ文化・スイーツトレンド」、アメリカでは「健康・ライフスタイル」など、国ごとに抹茶が持つ意味や楽しみ方が異なるということが分かりました。検索データを活用すれば、このように各国の消費者の関心事を比較し、具体的なインサイトとして把握することができます。
日本企業がこのインサイトを基に、伝統×トレンド×健康 を融合させた戦略を展開できれば、グローバル市場でさらなる成長が期待できるでしょう。
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