いま、マーケターの間で注目を集めている「カテゴリーエントリーポイント(CEP)」という考え方をご存じでしょうか?
CEPとは、“消費者が特定のカテゴリーの商品やサービスを思い出す“きっかけ”のことを指します。
この“きっかけ”が多ければ多いほど、ブランドが想起される頻度が高まり、購買につながる可能性も高くなります。
本記事では、ウェビナー「消費者インテントから探るカテゴリーエントリーポイント」でご紹介した内容の一部を抜粋し、解説します。※ウェビナー動画は、以下よりご視聴いただけます。
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なぜ「検索データ」に注目すべきか?
検索データは、バイアスの少ない全数データである点が大きな特徴です。
顧客データだけでなく、未顧客も含んだデータであり、検索という行動自体が「誰かに見られることを意識せずに行われる」ため、消費者の無意識的なニーズや“言葉にしないホンネ”が表れやすいのです。
実際に検索ワードを観察すると、そこには消費者の欲求や意図が潜んでいることがわかります。

たとえば、
- 「カレー レシピ」には“家でカレーを作って食べたい”という意図が、
- 「カレー レシピ 隠し味」には“一工夫していつもと違う味を楽しみたい”という意図が読み取れます。
このように検索データを分析することで、消費者の意図が把握でき、“消費者の本音”に近付くことができます。
事例分析:ノンアルコールビールのカテゴリーエントリーポイント発見法
では、実際に検索データを使って、カテゴリーエントリーポイントをどのように発見できるのか、ノンアルコールビールを例にご紹介します。
ノンアルコールビールと一緒に検索されるキーワードから探る

「ノンアルコールビール」というキーワードと一緒に検索された語句を収集・分析することで、消費者の検索シーンや背景を読み解くことができます。
たとえば次のような状況で検索されていることがわかりました。
- 運転予定があるとき
- ダイエット中でカロリーを気にしているとき
- 妊娠中でアルコールを控えているとき
ノンアルコールビールの“前後”に検索されているキーワードから探る

「ノンアルコールビール」という単語が含まれていない検索ワードであっても、その前後の検索行動をたどることで、意外なCEPを発見することも可能です。
実際の検索データを分析すると、「筋トレ前」や「筋トレ後」といったタイミングに、「疲労回復」「水分補給」などの目的でノンアルコールビールが検索されていました。
つまり、“筋トレの前後に飲みたい、運動中の水分補給に”というカテゴリーエントリーポイントが見えてくるのです。
検索経路から、消費者像の解像度をさらに高める

検索行動の前後の流れ(検索経路)を追うことで、消費者の思考や背景をより深く理解することも可能です。
たとえば“ノンアルコールビール 筋トレ”と検索した人の行動をたどると、「スポーツ選手」や「アスリート」などの関連キーワードが見つかり、一般ユーザーだけでなく、プロのアスリート層もターゲットになり得ることが見えてきました。
さらに、「飲酒はしたいが、筋トレの効果は損ないたくない」という本音・葛藤が読み取れます。
検索キーワードからCEP設計へ──「思い出される商品」になるために

発見されたカテゴリーエントリーポイントをもとに、適切なコミュニケーション設計を行うことで、消費者が必要性を感じた瞬間に、自社商品を“思い出す”状況をつくることができます。
CEPを押さえたブランドは、より自然なタイミングで想起され、“選ばれる存在”へとつながっていきます。
たとえば、「筋トレ後の水分補給に最適」といったメッセージを強化することで、
- 単に「筋トレ前後にはノンアルコールビール」ではなく、
- 「筋トレ前後には○○(自社ブランド)のノンアルコールビール」と、
具体的なブランド想起へと導くことが可能になります。
このように、検索キーワードから得られたCEPを起点にコミュニケーションを設計することで、“想起されるシーン”を増やし、ブランド選好を高める戦略的アプローチが実現できます。
まとめ:検索データで“本音”を捉えるマーケティング戦略へ
検索データには、消費者のリアルな欲求や悩みが、そのままのかたちで反映されています。
こうした“言葉にしないホンネ”に耳を傾けることで、アンケートやインタビューでは見落とされがちな、新たなカテゴリーエントリーポイント(CEP)のヒントを発見することができます。
従来の枠を超えた、より消費者に寄り添ったマーケティングを実現するために、検索データを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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