去年からテレビやメディアなどで退職代行サービスを見かけるようになり、退職代行サービスというものをご存知の方も多いのではないでしょうか?実際に退職代行サービスの市場は拡大傾向にあり、利用者も増加しているそうです。
しかし退職や退職代行に関してはSNSでの消費者分析が難しく、アンケート調査でも本音を聞き出しにくいカテゴリーではないでしょうか?見られることを意識せず、無意識に行う検索という行為、検索データから退職代行市場を分析してみました。
リスニングマインドで見た市場の規模と推移
退職・離職市場

退職・離職に関する検索は月平均1000万回以上、年間で1.4億回ほど検索されています。
退職関連のキーワードの検索量推移を見ると、“退職届”や“退職届 書き方”が期末である2~3月やボーナス受領時期である6月ごろに微増していますが、他の月も一定の量の検索があります。
最近話題の退職代行の検索量が24年の5月と25年の1月に増加しており、長期の連休がある月に需要が伸びることが分かりました。
退職代行市場
退職代行に関する検索は年間で470万回検索されております。
23年以降増加しており、退職代行の市場が成長していること、消費者の関心が高まっていることが分かりました。“令和の虎 退職代行”の検索量も1月に急増しており、メディアへの出演効果も大きかったことが分かりました。

各退職代行サービスの検索量を比較してみたところ、下記のようにモームリの検索量が圧倒的に多かったです。(直近1年間の合計検索量)
- モームリ:595,390
- やめたらええねん:41,570
- 退職代行ガーディアン:36,380
- 退職代行exit:34,930
- 退職代行jobs:24,510
退職代行の検索経路から見えた新たなターゲット

退職代行の前後の経路を見たところ、以前の経路には“株式会社ローキ、退職110番、わたしnext、やめたらええねん、クリア退職、ニチロー”などの退職代行サービス名と、“退職 代理人 家族、退職旦那に言ってもらう、退職親同伴、退職届 妻 代理”など退職の代行を家族にお願いしたいという願望や、企業側に必要な離職や早期退職を予測するaiに関する検索ワードが見られました。
以降の経路にはモームリがあり、“退職代行使われた会社一覧”などのキーワードから、退職代行を使われたということが避けるべき会社・ブラック企業を見極める判断基準の1つになりつつあるということが分かりました。
では、家族による退職代行を検討している人はどのような人なのでしょうか?AI分析機能を使い、ペルソナを抽出してみました。
家族による退職代行を検討するペルソナ

1.退職を考えている家族を持つ配偶者、退職の手続きを代理で行いたい人
分析:このペルソナは、配偶者が病気であるため、退職の手続きを代わりに行う必要がある状況に置かれており、配偶者の代わりに退職届を提出する方法や、代理での連絡が可能かどうかを調べている。検索結果には、代理で退職届を提出することができるか、どのように手続きを進めるべきかに関する情報が含まれており、特に家族が代理で行うことに関する法的な制約についての情報が多く見受けられる。
質問リスト:
1. 夫が病気の場合、私が退職届を代理で提出することはできますか?
2. 退職の意思を伝えるために、どのような手続きを踏むべきですか?
3. 退職届を代理で提出する際に注意すべき法律的なポイントは何ですか?
2.新卒社員の親、子供の退職を心配している人
分析:このペルソナは、新卒社員の親であり、子供が会社を辞めたいと考えているが、直接連絡を取ることに不安を感じており、子供の退職意向を代わりに伝えたいという思いが読み取れる。検索結果では、親が子供の退職意向を代理で伝えることの可否や、どのように手続きを進めるべきかに関する情報が多く、特に法的な観点からの理解を深めたいと考えていることが伺える。
質問リスト:
1. 私が子供の代わりに退職の意思を会社に伝えることはできますか?
2. 子供が無断欠勤した場合、どのように退職手続きを進めるべきですか?
3. 子供の退職をサポートするために、私が知っておくべきことは何ですか?
このように退職をしたい本人ではなく、家族による検索であることが分かりました。退職代行サービスを行っている会社であれば、退職したい本人に向けたアプローチだけでなく、その家族に向けたコンテンツやマーケティングメッセージの発信も効果的なのではないでしょうか?
リスニングマインドで見つけたサービス拡大のチャンス

退職代行に関する消費者認識を調査するために前後2段階に検索されている検索ワードを収集し、目的ごとにグループ化しました。
退職代行サービスの評価やリスク、一覧、比較、体験談などの詳細な情報を求めており、弁護士による退職代行も候補として比較検討されていました。他にも“バックレ退職の影響”というクラスターから、自ら退職を言い出せず、退職代行を使うか、バックレるかという選択肢の中で悩んでいる様子が伺えます。
“退職・休職代行サービス”を求めている消費者が見つかったので、詳しく見てみます。
退職代行以外にも求められている休職代行サービス

退職代行の前後に休職代行や内定辞退代行などが検索されていることから、退職に限らず、休職や内定辞退などの言いづらい話を代行してくれるサービスのニーズがあることが分かります。
他にも“仕事休む 言いづらい、仕事休むのが怖い、仕事休む 電話怖い”などの検索ワードから、1日や短期間休むことを伝えるにもかなりのストレスを感じてる人がおり、“電話代行や電話が怖い”という検索ワードから、電話に慣れていない世代、電話が苦手な若い世代にとっては、電話という行為がハードルが高く、苦痛であることが見て取れました。
退職代行会社としてはサービス拡大や、ターゲット拡大のヒントになるデータではないでしょうか?
検索データから見えた仕事辞めたい理由


退職を検討している、仕事を辞めたい人の状況や悩みを把握することで、ターゲットの理解が深まり、より効果的なアプローチが可能となります。“仕事辞めたい”の前後2段階に検索されている8266件の検索データを収集し、目的ごとに分類した結果、仕事を辞めたい理由や、悩みが見えてきました。
辞めたい理由としては、主に①仕事が嫌/合わない ②モチベーションが低下した/無気力 ③激務/仕事量過多/職場で振り回されている ④仕事が暇などが挙げられます。(黄色いハイライト)
悩みとしては退職後の再就職や転職先についての不安、退職後の人生設計や精神健康を懸念しています。他にも仕事の辞め時が分からない、退職手続きや退職を伝える方法とタイミングが分からない、家族に転職をどのように伝えれば良いのか分からないなどの悩みも見えました。(水色、緑のハイライト)
辞めたいという思いは同じですが、各々違う理由や悩みを持っています。アンケート調査では聞き取れない消費者の本心が検索データでは見えてきます。各ユーザーの悩みを把握することでより寄り添ったメッセージや適切なコンテンツの発信ができるようになります。
まとめ
今回は話題の退職代行について市場調査から消費者分析まで行ってみました。今回紹介した内容以外にも検索データから様々な消費者インサイトを見つけることができます。アンケート調査やSNS調査ではなかなか把握できない消費者の本音を検索データから見つけ、マーケティングに活用してみてください!
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