前回の記事ではMBTI診断に関する消費者インサイトをご紹介しました。
今回は検索データから内面ではなく外見に関する診断である“パーソナルカラー診断”について分析してみました。
パーソナルカラーの検索規模と推移
まずはパーソナルカラーの検索規模と4年間の推移を見てみます。
パーソナルカラーとブルベ、イエベに関連するキーワードの数は8万5千個あり、月平均555万回、年間で7千万回検索されています。
検索量の推移を見ると毎年3月に検索のピークを迎えており、春になり、新生活・新学年に向けて自分に合ったメイクやファッションを調べていることが分かりました。
では、どのパーソナルカラーが1番多く検索されており、どのパーソナルカラーが色んなキーワードで検索されているのでしょうか?
パーソナルカラー別検索ランキング
左の図が検索量順に見た結果、右の図がキーワードすう順に見た結果です。
検索量が多いということは、多くの人が興味を持ってたくさん検索しているということ、キーワード数が多いということは、そのパーソナルカラーに関して様々なキーワードで検索が行われているということです。
赤枠内を見ると、イエベの方が検索量は多いですが、ブルベの方が質問の数(キーワードの数)が多いです。
日本にはブルベ夏が多いのでしょうか?検索量もキーワード数もブルベ夏がTOPです。
イエベ春は検索量は多くないですが、キーワード数は他のタイプと同等です。検索量の総数は多くなくても、細かく、様々な検索がされていることが分かりました。
各パーソナルカラー別に気になっていることは?
各パーソナルカラー別に検索されているトピック上位15位まで見てみました。
ブルベの場合はメイク(アイシャドウ、リップ)に関する検索が上位ですが、イエベの場合は髪色が上位となっています。
また、イエベ秋だけ“垢抜け”というトピックがあり、イエベ秋が検索している目的やニーズ、意図が分かります。
一緒に検索されているブランドを見ると、どのタイプでもリップモンスター、ロムアンド、キャンメイク、セザンヌが検索されており、パーソナルカラーマーケティングに成功したブランド達だと言えます。
パーソナルカラーを検索する目的
では、パーソナルカラーを検索する目的は何なのでしょうか?
“パーソナルカラー診断”の前後2段階に検索されている約1万4千個のキーワードを収集し、目的ごとに分類してみました。
70個以上に分かれたクラスターから、特徴的なものをいくつかご紹介します。
①自分に似合うものが知りたい
パーソナルカラーを分析する目的は自分について知り、自分に似合うものを把握したいという目的がメインです。
メイクや髪色、ファッション(コーデ)だけでなく、ジュエリーやマフラー、ウィッグを選ぶ際にも自分に合った色を選ぶためにパーソナルカラー別に検索していることが分かりました。
②より細かく自分の外見について知りたい
– パーツごとに詳しく把握したい
パーソナルカラーの延長線で、“血管の色や地毛の色、目の色、手の色や肌質”など、自分の外見の各パーツについて詳しく把握したくて検索しているユーザーの目的が見えました。
– 他の診断方法で詳しく把握したい
他にも、パーソナルカラーを4タイプではなく16タイプに分けた診断や、骨格診断、カラー診断、スキントーン診断、バースカラー診断、イメージカラー診断、ディズニープリンセス診断など、別の診断方法で、自分の顔や体系など外見について診断し、把握したいという目的が見えました。
③似合う和装が知りたい
普段の服やメイクは当たり前ですが、普段着ることのない、一生に一度の晴れ舞台で着る和装を選ぶ際にもパーソナルカラーを参考にしています。
成人式で着る振袖や、結婚式や前撮りで着る色打掛について検索しているユーザーもいました。
普段着ないから分からない、一生に一度だから似合う和装を選びたいという消費者の悩みが見えました。
ターゲットが明確なので、和装のレンタルショップや写真スタジオはもちろんのこと、コスメブランドの場合には普段のメイクではなく和装に合ったメイクの提案、ヘアサロンの場合は髪型だけでなく似合う振袖の選び方などを提案するのも一つの手です。
ちなみに毎年7月にはパーソナルカラー+浴衣に関する検索が増加します。(ピーク月の検索量は2000~3000回ほど)
こちらも夏祭りに合わせて、年に1度着れるかどうかのレアなアイテムのため、失敗したくないという気持ちから、パーソナルカラーを参考にしていることが分かります。
④男性による検索
パーソナルカラーは女性だけでなく男性も検索しています。
メンズパーソナルカラー診断というグループだけでなく、色黒用BBクリームを検索しているユーザーのキーワードを見ると、メンズに関するキーワードが多く見つかりました。
ペルソナを見たところ、色黒の男性が自分の肌に合うBBクリームを求めているということが分かります。
女性と男性では色黒の基準も異なるので、男女に分けて色黒のユーザーに合う化粧品を提案する必要があります。
女性の場合、メイクや髪型に関する検索が多いですが、男性の場合、髪色やコーデ、ファッション(スーツ、ジャージ、眼鏡など)に関する検索が多かったです。
⑤パーソナルカラーを気にしたくない消費者
パーソナルカラーに合うものを求めている消費者だけでなく、パーソナルカラーを気にしなくていいコスメを探している消費者もいます。
どのような消費者なのでしょうか?
– パーソナルカラー診断に疲れた消費者
AIによるペルソナ分析の結果、【パーソナルカラー診断に疲れた女性】であるということが分かりました。
パーソナルカラー診断に対して疲れや嫌気を感じており、パーソナルカラーを過度に気にすることがストレスになっている様子が伺えます。パーソナルカラーに縛られず自由にメイクを楽しみたいと考えているかもしれません。
このペルソナが気になっていることや抱えている疑問は下記の通りです。
1) パーソナルカラーを気にせずに楽しむためにはどうしたらいいのか?
2) 自分の好みのメイクをするために、パーソナルカラーを無視しても大丈夫なのか?
3) 他の人はどのようにパーソナルカラーを気にせずにコスメを選んでいるのか?
パーソナルカラー診断に疲れた消費者に向けて、このような情報をコンテンツとして発信すると良いでしょう。
“パーソナルカラーうざい”というキーワードの前後の経路を見ると、
・“パーソナルカラーくだらない、パーソナルカラー診断 意味ない”等パーソナルカラー診断に対する懐疑(茶色のハイライト)
・“パーソナルカラー診断 恥ずかしい、パーソナルカラー診断 ダサい”等のパーソナルカラー診断に対する心情(黄色いハイライト)
・“パーソナルカラー バカバカしい、パーソナルカラー商法、パーソナルカラー胡散臭い”等、パーソナルカラーの信頼性に関する検索(緑のハイライト)
等、パーソナルカラーに疲れた消費者のリアルの心情が見えました。
– 中間色だからパーソナルカラーを気にしない消費者
パーソナルカラーを気にしない理由は疲れたからだけではありません。
“パーソナルカラー関係なく使えるアイシャドウ プチプラ”というロングテールキーワードの前後の検索経路を見たところ、パーソナルカラーが分からない人や、中間色の人が、パーソナルカラー関係なく使えるものを求めていました。
“パーソナルカラー関係なく使えるアイシャドウ プチプラ”検索経路上のキーワードとSERP画面を分析し、ユーザーを目的別に分類してみました。
- パーソナルカラーと関係ない、イエベブルベ共通のコスメを求めているグループ
- ニュートラルのアイシャドウ、メイク情報を求めているグループ
- グリベのカラー選びに悩んでいるグループ
- プチプラのアイシャドウを求めているグループ
- セザンヌのアイシャドウを求めているグループ
に分かれました。
セザンヌが唯一クラスターとして登場したブランドであるということも新たな発見です。
ブルベ向け、イエベ向けの訴求だけでなく、中間色やパーソナルカラーに振り回されたくない人に向けた訴求も重要であることが分かりました。
まとめ
今回はパーソナルカラーについて見てみましたが、何か新しい発見はありましたでしょうか?
パーソナルカラー自体が新しいトレンドではなく、既に定着している状況ですが、検索データを活用することで、このように様々なインサイトが見つかります。
各ブランドごとにブルベに人気なのかイエベに人気なのかも見れますし、パーソナルカラーと一緒に1番検索されている有名人も把握できます。
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