リスニングマインドで分析した推し活市場

近年、“推し活”という言葉が一般的になり、アイドルやアーティストだけでなく、アニメ、ゲーム、スポーツ選手、キャラクターなど、さまざまなジャンルで推しを応援する文化が広がっています。推しを応援するファンはどのような情報を求め、どのような検索行動を起こしているのでしょうか？

本記事では“推し活”という検索ワードから推し活市場と消費者行動を分析した内容をご紹介します。

インテントファインダーを使った市場分析

まずはリスニングマインドのインテントファインダーを使い、検索量から推し活市場を分析してみます。

推し活とオタ活の検索量比較

“推し活” とは、特定の「推し」（好きなキャラクター、アイドル、俳優、アーティストなど）を応援し、楽しむ活動のことです。
“オタ活” とは、主にサブカルチャーの趣味を楽しむ活動のことで、ジャンルを問わず、アニメ・ゲーム・アイドル・特撮・鉄道など幅広い分野を含みます。

推し活とオタ活は似ているようで少し違うものですが、どちらのキーワードも4年以上前から存在しています。
以前はオタ活の方が検索量が多かったですが、22年9月に逆転現象が発生し、その後“推し活”は上昇傾向、“オタ活”は下降傾向にあります。オタ活のピーク時よりも推し活のピーク時の検索量が多いことから、推し活の市場規模が広く、多くの消費者が検索しているということが分かりました。

推し活の市場規模と構成

推し活は毎月平均で91万回検索されており、年間1000万回以上検索されている市場です。
左側のトピックを見ると、推し活と一緒に検索されている流通はスリーコインズ＞ダイソー＞セリア、アイテムはバッグやポーチ、手帳などでした。

オタ活の市場規模と構成

次にオタ活市場です。
オタ活は毎月平均で12万回検索されており、年間179万回検索されている市場です。
左側のトピックを見ると、オタ活と一緒に検索されている流通はセリア＞ダイソー＞100均で、アイテムはバッグや手帳などでした。

検索規模を見ると推し活の方がオタ活よりも5倍ほど大きいです。
推し活、オタ活、どちらの活動にも求められているアイテムはバッグや手帳などが上位でした。
流通を見ると、スリーコインズは推し活グッズに注力していることもあり、推し活のみ上位に登場しており、どちらも100円～300円のワンコイン以下で販売している流通が人気であることが分かりました。

推し活関連で話題のキーワード

検索量の増減率順位表示し、検索量が増加中のキーワードを見てみたところ、“推し活神社や編み物 推し活、推し活 収納棚、推し活部屋”などのキーワードが1月に検索量が急増していました。

推し活神社を検索する目的を分析してみます。

推し活神社を検索する目的

“推し活神社”に関する消費者認識を調査するために前後2段階に検索されている検索ワードを収集し、目的ごとにグループ化しました。

その結果、消費者が推し活神社を検索する目的、推し活神社に行く目的はライブチケットの当選祈願がほとんどでした。ライブのチケットが抽選のため、当選祈願・良席祈願を行っているようです。神社に行く以外にも待ち受けを変えるなどのおまじないがあるようです。
推し活神社として想起されている神社は福徳神社と車折神社、皆中稲荷神社でした。

パスファインダーを使った消費者分析

次にパスファインダーを使って前後の検索経路から消費者インテントを分析してみます。
冒頭のインテントファインダーを使った分析でも推し活と“収納”に関する検索が多く見られましたが、隠す収納と見せる収納の２つの経路を比較してみました。

推し活グッズの収納方法別の検索経路比較

“推しグッズ 収納 隠す”というキーワードと、“推しグッズ見せる収納”というキーワードの前後の経路を比較してみました。前後の検索経路上の検索ワード1つ1つを見ても、消費者の意図（隠したいのか見せたいのか）が隠れています。

どちらの経路にも登場する共通のキーワードが多く、見せる派と隠す派は全く別の人というよりも、アイテムごとに分けて収納方法を考えている可能性が高いです。

推しグッズ見せる収納の検索目的の分析

見せる派の前後の検索経路上のキーワードを収集し、目的ごとにグループ化してみました。
上記の図のように収納・整理したいという目的（隠す収納）と、飾りたいという目的（見せる収納）が混在していることが分かります。

クラスターファインダーを使った消費者分析

最後にクラスターファインダーを使って消費者認識を分析してみます。

推し活に対する消費者の認識

推し活に関する消費者認識を調査するために前後3段階に検索されている検索ワード4,646件を収集し、目的ごとにグループ化しました。全部で33個のグループに分かれたのですが、その中から推し活の悩みに関するグループを抜粋してみました。

検索データから見えた推し活に関する悩み

上段の青枠がネガティブな悩み、下段のピンクの枠がポジティブな悩みです。
ネガティブな悩みとしては［グッズの整理や金銭面、年齢とのギャップ、疲労感や不満］などがありました。
ポジティブな悩みとしては、［おしゃれなグッズの作り方や推し活の楽しみ方、推し活写真の撮り方、布教活動、推しを一人に絞る方法］などがありました。

推し活が盛り上がりを見せる反面、疲労感や不満、経済的な悩みなども抱えているということが分かりました。今回は、推し活への不満を感じているクラスターを分析してみます。

推し活への不満を感じている人のペルソナは？

推し活への不満のクラスター内のキーワードとSERP画面を分析しペルソナを抽出しました。
下記のように、推し活をしている側と、恋人が推し活をしているという正反対の立場のペルソナと各立場での悩みが把握できました。

ペルソナ1. 推し活を家庭で理解されない主婦、家庭と趣味の両立に悩む人

分析:「推し活家庭」という検索クエリから、家庭内での推し活の位置づけや理解が不足しており、家庭内での推し活に対する許容範囲や理解の深さについて考えていることが示されています。このペルソナは、家庭と自分の趣味のバランスを取ることに苦労していると考えられます。

質問リスト：
1. 家庭内で推し活を理解してもらうためには、どのようにコミュニケーションを取ればいいのか？
2. 推し活と家庭の両立を成功させるための具体的な方法は何か？
3. 家族が推し活を理解しない場合、どのように自分の趣味を楽しむことができるのか？

ペルソナ2.恋人の推し活に嫉妬を感じる人、パートナーとの関係に不安を抱える人

分析:「推し活 気持ち悪い」や「恋人の推し活 どこまで許せる？」という検索クエリから、恋人やパートナーの推し活に対する嫉妬や不安を抱いていることが明らかです。検索結果には、恋人が推し活をしている場合の感情や許容範囲についての考察が多く見られ、関係性の中での推し活の位置づけに悩んでいることが示されています。

質問リスト：
1. 恋人の推し活に対して、どのように自分の気持ちを整理すればいいのか？
2. パートナーの推し活が自分に与える影響をどのように理解すればいいのか？
3. 推し活に対する嫉妬心をどのように克服すれば、より良い関係を築けるのか？

まとめ

検索データから見えてきた推し活市場。推しを応援するファンの関心は日々変化し、新たな推し活のスタイルが生まれています。今後も推し活市場は拡大し、より多様な楽しみ方が登場するのではないでしょうか。

今回は“推し活”という検索ワードから消費者分析を行いましたが、推す対象によって、消費者の関心や行動は異なります。自分の推しについてどのようなことが検索されているのか気になる方や、推し活用のグッズのアイディアを探している方は、是非リスニングマインドで分析してみてください。