
2017年5月1日、イラストレーター・ナガノさんが自身のTwitterに「こんなふうに生きていきたい」と投稿した一枚のイラスト。そこから誕生したのが、キャラクター「ちいかわ」です。
その後もじわじわと人気を集め、ついに2022年4月からはアニメ化もされ、今では多くの人に愛される存在となりました。
ちいかわの人気は日本国内にとどまらず、今や海外にも広がっています。グッズを手に入れるためにポップアップストアに行列ができたり、ちいかわと写真を撮ろうと人が殺到したりと、そうした光景は日本だけのものではなくなっています。

今回は、リスニングマインドの検索データを使って、「ちいかわ」がなぜこれほどまでに人気なのかを深掘りしてみました。
🔍 ちいかわの検索市場をチェック!

まずは「ちいかわ」というキーワードに関する検索規模を見てみましょう。
- 年間検索数:1,500万件以上
- 関連キーワード:約8.5万語
- トピック:約3.2万件
これは、サンリオなど他の有名キャラクターと比べても同等以上の規模です。
検索ボリュームの内訳を見ると、「ちいかわ」単体はもちろん、「アニメ」「マーケット」「一番くじ」などの関連キーワードが上位に入っています。
📺 アニメ化でさらに拡大した注目度
2022年4月に始まったアニメ版「ちいかわ」は、月間約24万6千件、年間で300万件以上の検索があり、人気が検索データにもはっきりと表れています。

検索ボリュームの推移を見てみると、放送直前から検索数は増加し始め、その後も安定した関心が続いています。

また、アニメ放送にあわせて、他のキーワードの検索も2022年7月以降には関連キーワードも急増し、特定のキャラクターやエピソードへの注目が高まっていることが分かります。
🎭 人気エピソードと検索意図を分析
こちらは「ちいかわ アニメ」の前後に検索されたキーワードを自動でクラスタリングした結果を可視化したものです。この中からエピソードに関連するクラスタを抽出し、AIレビュー機能を使って、それぞれのエピソードが人気を集めた理由を分析しました。

① ホラー系エピソード
検索データでは「怖い」「ホラー」「心霊現象」などのワードが多く、視聴者は「ちいかわ」の可愛い世界観の中に潜む恐怖要素に強い関心を持っていることがわかりました。特に、特定の怖いエピソードやシーンに注目が集まり、「どの話が怖いのか」「なぜ怖いのか」といった考察や深掘りを求める視聴者が多い傾向にあります。
② オフィスグリコ回
「オフィスグリコ」や「おっきい討伐」といった特定のエピソードに関する検索が目立ち、視聴者はストーリーの詳細やキャラクターの関係性を深く理解しようとしていることが分かります。さらに、「感動回」や「新しいともだち」といった検索ワードも多く、視聴者が単なるエンタメとしてだけでなく、共感できるストーリーや感情的な要素にも関心を持っていることが示されています。
③ 散髪エピソード
「散切り頭」や「散髪」に関する検索が多く、視聴者はキャラクターの外見の変化やコミカルなストーリー展開に興味を持っています。特に、「散髪の失敗」「毛量」といったワードが含まれており、ユーモラスなシーンやキャラクターの表情の変化が話題になっていることが伺えます。また、関連グッズの検索も多く、視聴者がキャラクターを身近に感じ、実際にグッズを購入したいと考えている傾向も見られます。
🏆 人気キャラクターランキング(検索データより)
ちいかわには個性豊かなキャラクターがたくさん登場しますが、中でも人気が高いのは誰なのでしょうか?リスニングマインドの「インテントファインダー」で見てみると…

1位:ちいかわ
2位:うさぎ(約38万件)
3位:モモンガ(約20万件)
続いて「くりまんじゅう」「ハチワレ」「シーサー」
中でも注目すべきは「くりまんじゅう」と「ハチワレ」。検索ボリュームではくりまんじゅうがハチワレを約6,000件上回っているものの、関連キーワード数ではハチワレがその2倍以上という結果に。
これは、ハチワレについてユーザーがより多様な視点で検索をしていることを示しており、次にその理由を詳しく見ていきます。

各キャラクターごとのトピックを分析してみると、ハチワレには他のキャラクターには見られない、2つの特徴的な傾向があることが分かりました。
1つ目は、関連キーワードの中に「うさぎ」など他キャラクターの名前が多く含まれている点です。これは、キャラクター同士の関係性に注目して検索しているユーザーが多いことを示しています。
2つ目は、「詳細」や「ショップ」といった、他のキャラクターにはほとんど見られないキーワードが多く含まれている点です。

「詳細」系のキーワードを詳しく見てみると、検索ボリューム自体は多くないものの、さまざまな商品に関する具体的な情報を探している検索が多いことが分かります。
例えば、他のキャラクターではこうしたトピック自体が存在しなかったり、あっても非常に少ない傾向があります(モモンガの場合はわずか9件)。
このことからも、ハチワレに関心を持つファンや、ハチワレ関連グッズを探すユーザーは、よりこだわりを持って検索していると考えられます。
🧸 グッズ関連の注目ワードは?
最後に、グッズに関するキーワードを見ていきましょう。
リスニングマインドの「インテントファインダー」のトピック機能を使い、グッズ関連の検索キーワードを以下のような分類基準で整理しました。

まず、グッズと一緒に検索されたブランド名の中で最も多かったのは、セブンイレブンで、検索ボリュームは35万件以上にのぼりました。
その後に続くのは、しまむら、ロッテ、ファミリーマート(ファミマ)、イトーヨーカドーといったおなじみのブランドです。
次に、グッズの形態に注目してみると、
「一番くじ」と「エニマイくじ」がそれぞれ1位・2位を占めており、いずれも“くじ”形式のグッズであることから、ちいかわグッズではくじ系アイテムの人気が特に高いことがわかります。
そのほか、「コラボ」(約7.9万件)、「キーホルダー」「ぬいぐるみ」「チョコ」といったアイテムに関する検索も多く、幅広い商品カテゴリへの関心がうかがえます。
また、ちいかわは公式オンラインショップ「ちいかわマーケット」のほか、公式カフェやレストランも展開しており、これらに関する検索も多く見られます。
中でも、2024年10月末にオープンした公式ベーカリーが最も多く検索されており、続いて「マーケット」も高い関心を集めていることが検索データから読み取れます。
セブンイレブンが挙げられた理由は?

詳細な関連キーワードや検索グラフを見てみると、2024年12月の「セブンイレブン ちいかわ くじ」の検索ボリュームが74,000件まで急上昇していることが分かります。
その他の関連キーワードも同時期に軒並み増加しており、当時実施されていた「エニマイくじ ちいかわ」が大きな反響を呼んだことがデータから読み取れます。

最も反響の大きかった「くじ」は?
では、これまでで最も反響の大きかった「くじ」イベントはいつだったのでしょうか?

「くじ」を含む検索キーワードの推移を過去4年間で分析したところ、特に反響が大きかったのは以下の2つの時期でした:
- 2022年8月の一番くじ:検索数 約55万件
- 2025年1月の一番くじ:検索数 約45万件
いずれも、キャンペーン実施と同時に検索が急増しており、発売タイミングがいかに注目されているかが分かります。


ぬいぐるみ:定番と急上昇シリーズは?
定番人気
ぬいぐるみに関連するキーワードを年間検索ボリュームで並べてみました。

キャラクターの人気と同じく「うさぎ」と「モモンガ」が特に検索数の多いことがわかります。
また「ガチャガチャ」「ご当地」といったワードも多く、地域限定やレア商品としてのぬいぐるみへの関心も高いことがうかがえます。
小さめサイズの「キーホルダーぬいぐるみ」に対する検索も安定して多い傾向です。
最近急上昇中のぬいぐるみは?
検索量変化分析機能を使い、直近1ヶ月で注目度が急上昇したぬいぐるみを調査しました。

検索数が特に伸びたキーワードは以下の通りです:
- ちいかわ寝そべりぬいぐるみガチャガチャ(+3,430)
- ちいかわガチャガチャ ぬいぐるみ(+2,720)
- ちいかわイヤッぬいぐるみ(+2,080)

検索増加率で見ると、
「ちいかわハチぬいぐるみ」がなんと前月比59,000%増でダントツの伸びを記録。
他にも、
「ちいかわ寝そべりぬいぐるみ再販」や「ちいかわパイロットぬいぐるみ」など、注目キーワードTOP5には入らなかったものの、急成長しているワードも確認されました。
検索キーワードは少しずつ異なるものの、最近特に注目を集めているぬいぐるみシリーズは、
「寝そべり」「ガチャガチャ」「パイロット」「イヤッ」「ハチ」であることが分かります。
まとめ
検索データをもとに「ちいかわ」の人気の理由を分析した結果、単に「かわいいキャラクター」という枠にとどまらず、さまざまな視点から多くの人に愛されていることが分かりました。
アニメを通じて広がった世界観には、感情を揺さぶるストーリーや時にホラー要素すら感じさせる意外性があり、それが視聴者の好奇心をかき立てています。また、キャラクター同士の関係性や心の機微に共感するユーザーが多く、それぞれの登場人物が“推し”として注目されている様子も検索データに表れていました。
さらに、グッズへの関心も非常に高く、くじやぬいぐるみ、コラボ商品といった多様なジャンルにわたって検索されており、購買意欲が可視化されているのも特徴的です。特に「くじ」のイベントは話題性が高く、検索数の急増からファンの熱量の高さが伝わってきます。
こうした検索行動の裏側には、「ちいかわ」というコンテンツを単なる視聴対象としてではなく、“自分の感情と深く結びつけた存在”として楽しんでいるユーザーの姿があります。
検索データは、ユーザーの「関心」や「期待」、「行動」を映し出すリアルな鏡です。
コンテンツの可能性や、今後の展開を考える上でも、非常に貴重なヒントを与えてくれます。