9月16日、クラフトボスの新CM「宇宙人ジョーンズ・アイドル」が公開されました。このCMは、人気アイドル・ユウミのデビューまでのストーリーやドーム会場でのパフォーマンスを描いた内容で、視聴者から好評を得ています。
しかし、マーケターであれば「好意的な反応を得た」というだけでは十分ではありません。この広告が実際にどの程度の効果をもたらし、消費者にどれほど印象を与えたのか、検索データを用いて具体的に確認してみました。
インテントファインダー
概要とグラフ分析
まず、「クラフトボス」と「ボス コーヒー」をインテントファインダーに入力し、関連キーワードとその検索量を確認しました。その結果、キーワード数は約2,000件、トピック数は数千件、月間平均検索量は約8万6千件、年間平均検索量は約76万件であることが分かりました。
9月に広告が公開された後のグラフを見てみると、CM関連の検索キーワードの検索量が急増していることが分かります。「クラフトボス」製品の検索ボリュームも前月の9,900件から約11%増加し、14,800件に達しました。
また、9月の「クラフトボスCM」の検索ボリュームは33,000件、「クラフトボスCM アイドル」の検索ボリュームは22,000件に達しました。月間平均検索ボリュームが86,309件であることを踏まえると、9月の広告は非常に成功したといえるでしょう。
過去4年間のクラフトボスCMに関するキーワード検索グラフを見てみると、「クラフトボス CM アイドル」というキーワードは8月まで存在せず、9月に突如として出現し、3万件を超える検索ボリュームを記録しました。また、「クラフトボス CM 女優」というキーワードは、この4年間で最も大きな反応を得たことが分かります。
関連キーワードの傾向
関連キーワードを月間検索ボリュームで並べ替えると、CMに関連する検索キーワードが大きく増加し、上位を占めていることが確認できます。
消費者の検索意図
では、消費者は具体的にCMについて何を知りたくて検索しているのでしょうか?パスファインダーを使って、どのような意図でどの経路から「クラフトボスCM」を検索しているのか、また広告の効果を分析してみました。
パスの分析
「クラフトボスCM」の以前の検索ワードを確認すると、「クラフトボスCM」に関心を持つユーザーが、「ボスCMの女優と俳優」「クラフトボスの商品情報」にも関心を持っていることが分かります。この関心はその後の検索にも引き継がれ、俳優や女優に関する質問が続いています。特に、赤い線でつながる部分では、CM出演者の情報を積極的に調べている様子が見られます。また、CMのキーワードやアイドルに関連する多様なキーワードも登場しています。
消費者のペルソナ分析
「クラフトボスCM」を検索する人々のペルソナを分析すると、多くがCM出演者に関する情報を求めていますが、少数ながら「甘くないイタリアーノ」のクラフトボスの新商品について検索しているクラスターも見つかりました。広告を通じて製品にも関心を持つユーザーが存在することが確認できます。
過去と現在のパスの比較:「クラフトボスCM」
3か月前のパスと現在のパスを比較すると、消費者の関心の変化が観察できます。
「クラフトボスCM」について、3か月前のパスと現在のパスを比較してみると、現在のパスには新たに「CMに登場するアイドル」や「そのアイドルが誰なのか」を尋ねるパスが現れていることが分かります。
過去と現在のパスの比較:「クラフトボス」
「クラフトボス」の3か月前のパスと現在のパスを比較すると、以前は「クラフトボスCM」で終わっていたパスが、新たに「BOSSのCM 女の子は誰ですか?」という「宇宙人ジョーンズ・アイドル」に関心を示すキーワードと、それに関連するパスが発生していることが確認できます。
さらに注目すべき点として、3ヶ月前までは「クラフトボス CM」というキーワードが「クラフトボス」というキーワードとだけ直接結びついていたパスが、現在では「クラフトボス CM」と「クラフトボス 新商品」や「クラフトボス 種類」といったキーワードとも直接的に繋がるようになった点です。広告によって製品への関心が高まり、これがパスとして現れている様子がうかがえます。
他社CMとの比較
他社CM(例:「タリース缶コーヒーCM」)と「クラフトボスCM」のパスやペルソナを比較した結果、ほとんどの場合、広告モデルへの関心と製品への関心の組み合わせで構成されており、「クラフトボスCM」で見られる傾向と大差ありませんでした。
しかし、少し特異な傾向を示すパスがあったため、ご紹介します。それが「ジョージア コーヒー CM」のキーワードです。「ジョージア コーヒー CM」のパスとペルソナををみてみると、検索した後に、ボスコーヒーCMについて気になる人々のペルソナが見られました。
「ジョージア コーヒー CM」のキーワードを検索した人々が、ボス(BOSS)に関連するどのようなキーワードを検索しているのかを確認したところ、CMだけでなく、ジョージアとボスの商品を比較するキーワードも見つかりました。一方、クラフトボスCMの場合、ジョージアに関連するキーワードはパス上で見られなかった点が対照的です。
「なんてったってアイドル」を巡るユーザーの意識変化
CMで使用された楽曲「なんてったってアイドル」は、1985年に小泉今日子が発表した17枚目のシングルです。この曲に対する人々の意識はどのように変化してきたのでしょうか?
キーワードの「前後の検索ワード」を最大2万件まで収集し、同じインテントでグループ化することで、ビッグデータを基に消費者インテントを把握し、顧客の関心やトピックを一目で発見できる機能である「クラスターファインダー」を活用して調査しました。
調査の結果、「ボス(BOSS)」が含まれる多様なクラスターが確認されました。さらに、広告モデルである河合優実の名前を含むクラスターや、競合他社であるジョージア コーヒーに関連するクラスターも登場しています。このような検索結果から、今回の広告が消費者の記憶にしっかりと刻まれ、強い印象を与えたことが明らかになりました。
「なんてったってアイドル」という楽曲とCMの組み合わせは、単に懐かしさを呼び起こすだけでなく、新しい文脈での関心を生み出し、競合商品と比較されるほどの影響力を持った広告戦略であったといえます。
まとめ
今回の分析では、クラフトボスの新CM「宇宙人ジョーンズ・アイドル」が消費者にどのような印象を与えたかをデータに基づいて確認しました。CMの公開後、関連キーワードの検索量が急増し、広告モデルの河合優実や楽曲「なんてったってアイドル」に関連するクラスターも発見されました。これにより、広告が消費者の記憶にしっかりと刻まれ、さらにブランドや商品に対する関心を引き出したことが明らかになりました。
広告やキャンペーンの成果を測定する方法は多岐にわたりますが、今回のようにリスニングマインドを活用することで、ビッグデータを基にした客観的で明確な分析が可能になります。これにより、単なる感覚や推測ではなく、確かなデータに基づいたマーケティング戦略を構築することができます。
リスニングマインドは、検索データを活用して消費者のインサイトを可視化し、成果を数値化するための強力なツールです。皆さんもリスニングマインドを活用し、独自のデータに基づいた効果的な広告戦略を見つけてみてはいかがでしょうか。