前回の記事では新たなCEPと未顧客の発見事例として、コスメブランドであるWAKEMAKEの事例をご紹介いたしました。
今回は、ラーメンに関するデータを分析していたところ、辛ラーメンのCEPを発見したので、CEPからペルソナ分析、ターゲットへのアプローチ方法までご紹介します。
(画像出典:農心公式サイト)
*カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、消費者が特定のカテゴリーの商品やサービスを思い浮かべる際の「きっかけ」や「入り口」を指し、消費者が特定のブランドやカテゴリーを自然に思い浮かべる瞬間(CEP)を特定し、マーケティングに活用することでより効果的にアプローチができるようになります。
消費者の認識調査:辛ラーメン
クラスターファインダーを使うと、入力したキーワードを検索する前後2段階の検索データ(キーワードとSERP画面)を収集・分析し、特定のブランドが想起される様々なシーンや消費者が抱えている課題や悩み、比較検討されているブランドなどを把握することができます。
辛ラーメンの場合、上の図のように“蒙古タンメンやヤンニョムチキンラーメン、ジンラーメン、宮崎辛麺”などと比較検討されており、“辛ラーメンの種類やアレンジレシピ”に関する関心が高いことが分かります。
その中でも“ホットプレートラーメン料理”と、“妊娠中の辛ラーメン”というクラスターは、カテゴリーエントリーポイント(CEP)であると言えます。
この2つのCEPについて詳しく見てみます。
CEPの発見:ホットプレート料理
まずは“ホットプレート ラーメン料理”のCEPについてAI機能を使い、分析してみました。
AIによるカテゴリエントリーポイント(CEP)分析の結果は下記の通りでした。
ホットプレートを使用した調理やアレンジレシピに関心を持っており、以下のような状況や感情が考えられます。
– With Whom:家族や友人と一緒に食事を楽しむため。
– With What:ホットプレートや他の具材(野菜、肉など)を使って新しい料理を作るため。
– For What:手軽に美味しい食事を楽しむため、または特別な食事の場を演出するため。
これらのCEPは、消費者が「辛ラーメン」を選ぶ際に、ホットプレートを使った調理法が特に魅力的であることを示しており、消費者は「辛ラーメン」を選ぶことで、楽しい食事の体験や新しい料理の発見を期待していると考えられます。
ホットプレートで作ろうとしている料理
では、消費者の頭の中でホットプレートで作る料理と言えば何が想起されているのでしょうか?
ラーメンは想起されているのでしょうか?
同じくクラスターファインダーで、“ホットプレート レシピ”の前後2段階に検索されているキーワードを収集し、想起されている料理について見てみました。
餃子や焼肉、すき焼き、ビビンバなどの料理や、なす、餅、ジャガイモなどの食材、クレープ、パンケーキなどのデザートなど、様々な料理や食材が連想されていました。
その中に“焼きラーメン”もあり、ホットプレートを使った料理の1つとして認識されていることが分かりました。
ホットプレートラーメンの市場規模と推移
ラーメンがホットプレートで作る料理の1つとして認識されていることが分かったので、次に市場規模や推移を見てみました。
ホットプレートとラーメンと言う単語が含まれたキーワードを収集した結果、検索量自体は月平均800回くらいですが、4年間の推移を見てみると徐々に増加していることが分かりました。
今は辛ラーメンのみがブランド指名で検索されていますが、他のブランドが新たな機会として参入することもできますし、辛ラーメンがこちらのターゲットに向けたマーケティングを強化し、“ホットプレートラーメン=辛ラーメン”という認識を確立することもできます。
CEPの発見:妊娠中・授乳中の辛い食べ物
次に“妊娠中の辛ラーメン”のCEPについて詳しく見てみます。
本記事の冒頭でお見せしたように、“辛ラーメン”の前後に検索されているキーワードを集めた場合にも“妊娠中の辛ラーメン”というクラスターが見つかりましたが、“辛ラーメン アレンジ”の前後に検索されているキーワードを集めてみたところ“妊娠中・授乳中の辛い食べ物”というより具体的なターゲットが見つかりました。
“妊娠・授乳中の辛い食べ物”のCEPについてAI機能を使い、分析してみた結果は下記の通りでした。
妊娠中や授乳中などの特別な状況が背景にあり、関連キーワードには「つわり」や「母乳」などが含まれ、消費者が妊娠や育児に伴う身体的・精神的なニーズを反映している。
– For What:妊娠中の特別な食事体験を求めており、辛いものを楽しむことでストレス解消や満足感を得たいというニーズがある。
– How Feeling:妊娠中の食事制限に対するストレスや、食べたいという強い欲求が混在している。
このCEPは、特に妊娠中の女性が辛ラーメンを楽しむための方法を模索する際に、健康や安全性を考慮しつつ、食事を楽しむきっかけとなります。
“妊娠中・授乳中の辛い食べ物”を検索しているペルソナは?
具体的なニーズや欲求が把握できたところで、次にジョブ指向ベースのペルソナを分析してみました。
こちらもAI分析を活用した結果、異なる2つのペルソナが見つかりました。
各ペルソナと、ペルソナが抱えている疑問、求めている情報を見てみましょう。
①妊娠中の辛い物好きな女性
【分析結果】
検索ワード「つわり 辛ラーメン」や「妊娠中辛ラーメン 性別」から、妊娠中の女性が辛い食べ物を食べたいという欲求を持っていることがわかる。また、検索結果には妊娠中に辛いものを食べることに対する注意点が多く含まれており、妊婦としての健康や赤ちゃんへの影響を気にしている様子が伺える。
【質問リスト】
1) 妊娠中に辛ラーメンを食べても大丈夫なのか?
2) 辛いものを食べることで赤ちゃんに影響はないのか?
3) つわりがある時に辛いものを食べたくなる理由は何か?
他にも“妊娠中 辛ラーメン 性別”や“妊婦 辛いもの 性別”など、妊娠中に食べたくなったもので、お腹の中の赤ちゃんの性別を予想する妊婦やママたちの検索がありました。
②授乳中の女性
【分析結果】
検索ワード「授乳中辛ラーメン」や「辛ラーメン 母乳」から、授乳中の母親が辛い食べ物を摂取することに対する関心が見受けられる。検索結果では、授乳中に辛いものを食べても母乳に影響がないことが言及されており、母乳の質や赤ちゃんへの影響を気にしていることがわかる。
【 質問リスト】
1) 授乳中に辛いものを食べると母乳の味が変わるのか?
2) 辛ラーメンを食べることは授乳中に問題ないのか?
3) 辛い食べ物が赤ちゃんに与える影響は何か?
実践できるアプローチ方法の提案
CEPの把握から、ペルソナの分析までできたところで、実際にどのようなアプローチができるのかを考えてみました。
①新商品の開発
これらの情報を基に、妊娠中・授乳中の女性が気にせず食べられる辛いラーメンを新たに商品化し、販売することができます。
②新規ターゲットとして設定し、マーケティング強化
新商品の開発が難しい場合や、既存の商品でカバーできる場合は、妊娠中・授乳中の女性をターゲットとして消費者の状況に寄り添ったメッセージを発信することができます。
想像ではなく、実際に消費者が検索しているデータを基にターゲットのニーズや状況を理解することで、よりターゲットに合ったメッセージを作成することができます。
③コンテンツとして配信
中長期的に考えると、コンテンツマーケティングも欠かせません。
各ペルソナが抱えている質問に対する回答になるコンテンツを作成したり、妊娠中・授乳中におすすめのレシピを配信することができます。
この場合、自社のオウンドメディアで配信することもできますが、検索結果画面で上位に表示されている、特定のターゲットに特化したメディアを活用することも一つの手です。
メディア選定の際にリスニングマインドの上位URL分析機能を使うと、上位表示されているドメインやURLを素早く把握することができます。
辛ラーメンの前後に検索されている全て(6894個)のキーワードの場合、ヤフーや農心、クックパッド、楽天などが上位に表示されています。
しかし、“妊娠・授乳中の辛い食べ物”のクラスター内のキーワード(146件)の場合、マイナビ、ママリなどのメディアが上位に表示されています。
マイナビやママリが、妊娠中や授乳中の女性との接点が多いメディアということなので、こちらのメディアと連携してコンテンツを発信したり、レビュー記事の作成を依頼してみるのも良いでしょう。
広告掲載が可能なメディアであれば、広告を掲載することも考えられます。
今回はリスニングマインドで見つけた辛ラーメンのCEPとペルソナについてご紹介しました。
リスニングマインドではCEPの把握から、ターゲットのニーズやペルソナ把握、市場規模のリサーチまで簡単に行えます。
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