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JTBDと検索データ分析を合わせた “ニューペルソナ”[Ad Asia 2023 セッション Summary]

本文は’Ad Asia 2023 seoulにて発表した”タイトル:消費者の欲望、検索データで見る隠されたインテントの世界” サブタイトル:JTBDと検索データ分析を合わせた”ニューペルソナ”が広げるマーケティングの可能性”セッションの一部を要約した内容です。顧客の問題に集中したJTBDフレームワークと、消費者の悩みと欲望が最も反映される検索データの結合。顧客に対して真の理解を深めるニューペルソナについてのインサイトを発見してみてください。
(※本記事の検索データは韓国のデータが基となっております。ご参考までにご覧ください。)

ペルソナとは?

典型的なペルソナは、マーケティングを成功させるために顧客の代表的な特性や行動をモデリングした仮想のキャラクターで、年齢、性別、職業、趣味、購買力など様々な要素が含まれます。
企業が顧客をより理解することで、顧客に合った製品やサービスの開発、マーケティングの方向性などの決定をする際に役立ちます。

ペルソナ設定例

一部の会社ではリサーチ会社を通して消費者に対する調査を行い、調査結果をベースにペルソナを定義することもあります。
しかし、このペルソナが私たちの顧客を正確に理解する上で必要な要素を全て含んでいますでしょうか?
実際に、顧客を定義する過程で私たちは多くのミスを犯します。ペルソナをデータドリブンとして定義するには、現実的に難しい部分があるからです。

既存のペルソナの限界

ペルソナの限界
  1. 過度の単純化や根拠のない憶測 : ペルソナは複雑な顧客の行動とニーズを、単純な要素に集約しようとする傾向があります。これにより、重要な情報を逃すことがあります。また、ペルソナの情報を充実させるために根拠のない内容を反映することもあります。
  2. ペルソナ情報の固定 : ペルソナは時間が経ったり、状況が変わるとブラッシュアップが必要です。しかし、実際にはペルソナの情報の見直しが頻繁に行われていません。
  3. 表面的な顧客の悩みとニーズの理解 : ペルソナは、顧客へのアンケートやインタビューでの不正確な回答や、表面的な回答に基づき作成されることが多く、顧客が製品やサービスを購入する際の実際の動機や悩み、ニーズを把握することが難しいです。

検索データとJTBDの結合

ここ数年、ペルソナの限界を打破するためにJobs To be Done理論(ジョブ理論)を結合してみようという意見が多くありました。JTBDになぜ興味を持ったのでしょうか?消費者が物を買う目的がその物にあるのではなく、解決しようとする目的や課題にあります。
すなわち、消費者の悩みを解決するという観点ではJTBDがとても重要です。

JTBDで顧客の問題を定義する時は、基本的に顧客インタビューを行います。既存のペルソナを定義する時と同じ偏りが発生します。
では、この問題をどのように解決できるのでしょうか?
JTBDフレームワークと、消費者の悩みと欲望が最も含まれている検索データを結合するとペルソナを新しい観点で定義することができます。

検索データは信用できるのか?

検索データは、偏りがない全数データです。
データの偏りについて見てみましょう。
企業が多数保有しているデータであるCRMデータは、既に私たちが確保した顧客に対するデータです。まだ確保できていない消費者を対象にマーケティングを行うには十分でないと言えます。まだ顧客ではないけど、これから顧客となる可能性のある消費者を見るために、ソーシャルバズデータを確認することが多いです。主にテキストとハッシュタグ(#)を基に分析しますが。しかしソーシャルデータの場合、人に見られる領域なので偏りがちになります。

検索データは非偏向の全数データ

では、検索データはどうでしょうか?
この記事を読んでいる皆さんは、自分の検索履歴を全て公開することができますか?
ほとんどの人は検索バーの前では包み隠さず、正直です。
検索バーの前では自分の悩みや問題、欲望を素直に打ち明けます。

結婚式欠席理由の検索経路

結婚式 欠席理由、結婚式行けない理由、結婚式欠席 言い訳
など、結婚式に招待されたが行きたくない場合、このようなキーワードを検索バーに入力します。
人間の正直な欲望と悩みが検索データに含まれているのです。

ニューペルソナとは何か?

ニューペルソナはジョブ理論(Jobs to be Done, JTBD)と検索データを統合した顧客理解のモデルで、既存のペルソナの限界を超えることができます。
ニューペルソナを通じて企業は顧客が実際に悩んでいる問題やニーズを細分化し、検索行動と意図を把握して、メッセージやサービスを提供できるようになります。

ニューペルソナ定義のケース : ミスカル

*ミスッカル/ミスカル : 穀物や豆の粉を使った韓国の健康食品。

ミスカルはタンパク質ドリンク、プロテイン、健康ドリンクなどと関連して、話題の製品です。
忙しい現代人にとって食事代わりにもなり、身体にも良い健康ドリンクの需要が高まったのでしょう。


ミスカルに関する検索データ
Googleと韓国のNAVERで全ての関連ワードの検索量を見てみると、年間検索量が3,279,877回、 直近3か月の平均が月に393,382回と、多くの消費者が検索していることが分かります。関連キーワード数だけでも2,418個もあります。ミスカルの関連ワードの検索ボリュームだけでも月に283,956回と、圧倒的に多いです。(上位5つのキーワードが検索ボリュームの72.1%)
そして驚くことにミスカルはもう大人のおやつではなく、20代が求める健康ドリンクになりました。(年代別関心度 : 20代 > 50代 > 30代)

ミスカル関連の検索データ

ミスカルを検索する前の経路分析
ミスカルを検索する前に、消費者は何を検索しているでしょうか?
様々な穀物の粉、食事の代わりのドリンク、プロテインを探して、ミスカルにたどり着くケースがありました。

ミスカル検索前の経路

ミスカル検索後の経路分析
ミスカルの後に検索される経路として、ミスカルの情報(成分、効能、栄養、副作用、カロリー)、ミスカルの作り方(黄金比、香ばしいミスカルの作り方)、ミスカルを飲む目的(ダイエット、食事代わり、体重増量) などがありました。

ミスカル検索後の経路

検索目的別にペルソナを抽出

ミスカル検索結果のクラスタリング

上記のような検索経路の中で、同じ目的を持って検索されたキーワードをクラスタリングしてみました。
同じ目的を持った検索シーケンスは実際の行動を基にした全数データで、消費者の行動の裏に隠された意図、欲求、悩みなどを解決しようとするニーズと筋道が見えます。これらは正に検索目的別のマイクロペルソナと言えます。
このような側面からミスカルを検索する前と後の様々な経路で見つけた顧客のニーズとペルソナは次の通りです。

ミスカルのニューペルソナ1
  • ペルソナ 1. ミスカルを使ってバルクアップしたいスポーツマン
    ミスカルを使ったバルクアップの方法を探しており、ミスカルと関連した食事やレシピを知りたいスポーツマンが検索したと想定されます。
  • ペルソナ1の質問リスト
    1) ミスカルとプロテインを混ぜて飲むとバルクアップに効果がありますか?
    2) 体重を増やすためにはミスカルをどう使えばいいですか?
    3) ミスカルとプロテインを混ぜて飲む時の比率は?
ミスカルのニューペルソナ2
  •  ペルソナ2. ダイエットのためにミスカルを探している人
    検索ワードに ‘痩せた 初心者 男性’、 ‘体重60kg’ 等の単語があります。これは体重を増やして、筋肉量を増やすためにバルクアップをしたい瘦せ型の男性が検索したものと想定できます。
  • ペルソナ 2の質問リスト
    1) ミスカルをダイエット中の食事に入れるとどのような効果がありますか?
    2) ミスカルをどのように摂取すればダイエットに効果的でしょうか?
    3) ミスカルをダイエット中の食事に入れる場合、注意するべき点は何ですか?

ニューペルソナの役割

ニューペルソナはマーケティングファネルの中の消費者のインテントをカバーするための、現実的な顧客理解のフレームです。
私たちは市場に存在するマイクロセグメントを定義できるようになり、マイクロセグメントにより各セグメントにどのようなメッセージとコンテンツを発信するべきか、考えることができるようになります。

既存のペルソナはサンプル化の限界による過度の単純化、または根拠のない憶測で顧客のニーズに対して表面上だけ理解するようになります。
実際の消費者の動機やニーズの把握は難しいです。
ニューペルソナは下記のミスカルの例のように、既存のペルソナと実際の行動基盤データで構成されたJTBDです。 

既存のペルソナと検索データから作られたJTBD

本記事の検索データは、リスニングマインドを使用して抽出されました。
下記より7日間の無料トライアルも可能です。
是非みなさんもニューペルソナを見つけてみてください!

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